アメリカの社会学者A・トフラーは、著書の「第三の波」の中で人類史を大きく「三つの波」に分け、前8000~前1650年ごろの農耕と定住開始を「第一の波」として「農業革命」とよび「第二の波」を18世紀後半に起こった「産業革命」、そして「第三の波」を20世紀後半に起こった「情報革命」であるとした。
日本では、1980年代になってから、パソコンやワープロなどのOA機器が普及し始めて、現在では、職場のみならず、一般家庭で誰でもが必要な情報を検索で取り出すことが当たり前になっている。「情報とは何か」。「情報」という言葉は明治時代から使われている。けれどもその当時は、情報そのものに価値を見出していたわけではない。2度にわたる世界大戦を経るなかで、「秘すべきものとしての価値」を意味する言葉として使われるようになる。情報が新たな行動を起こすための原動力となりうるものとして意識されるようになるのは、1950年代以降のことである。
私は若い頃、図書館で目録カードを作成していたことがある。分類、書名、著者名、件名などの種類がある。アメリカでは辞書体目録といってこれを統一したような目録があると聞いていたが、ついに日本では実現できなかった。やがてコンピューターの時代となってキーワード(検索語)で検索できるシステムが開発された。カード目録式の索引は旧時代のものであるが、本から直接に書誌を作成できる時代に生きたことを喜びに感じている。「検索」ということばは日常的な言葉ではなかったが、スマホ全盛の現在では当たり前にだれでもが「検索」という言葉を用いているが、当時図書館では「情報の探索」とか「調べもの」と呼んでいた。
ここで一般的な検索までの流れを整理しておこう。
step1 調査目的・内容を明確にする
step2 データーベースを選ぶ
step3 検索語を選ぶ
step4 検索式の作成
検索
step5 検索結果の詳細
検索終了
step6 文献の入手
検索者が思いついた言葉もそのまま検索語として使用できるが、検索漏れを防ぐためにあらかじめ1つの主題に関する検索語を集中化しておく方法(「統制法」)が考えだされました。たとえば、「エアコン」「クーラー」「冷房装置」「暖房装置」は、全て「空気調和装置」という言葉を使いましょうとルールブックのようなもので決めてあります。主な統制語には「シソーラス」と「件名標目」があります。シソーラスという言葉は、ギリシャ語の原意「宝庫」からきており、転じて「辞典、百科辞典その他同類の「知識の宝庫」を意味する用語となった。1852年、イギリスの医師ロジェ(1779-1868)が「英語修辞学辞典」を編集した。本書2部から成り、第1部は著者が着想語とよぶ概念語を体系的に分類排列し、その一つ一つの着想語のもとに、幾通りもの言い回しの言葉や語句を列挙した。この着想語の概念をドキュメンテーションに応用したのが、文献上、ルーン(1896-1964)が最初といわれる。1957年のことである。彼は情報検索用件名標目表をシソーラスとよび、件名標目に当たるキーワードを文献上にあらわれたる用語に結びつけ、キーワードは体系的に分類しておいて、別にキーワードもそうでない用語もすべて一連のアルファベット順に排列した索引と対にした。こうして作られたシソーラスは、上位語と下位語を体系づけて従来の件名標目では果たせなかった検索上の便宜を提供している。
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