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2026年3月 8日 (日)

情報化と図書館の歴史

 現代は誰でもがスマホを携帯し、いつでもどこでも電子化された新しい情報を瞬時に得ている。このような人類の行為ははるか4000年前に文字によって記録された資料を収集・保存することから始まった。文字により記録された図書は図書館として整備されるようになる。文字のある古代文明国家にはなにがしかの帝室図書館がそんざいしていたものと考えられる。文明がの歩みとともに、膨大な知識や経験が記録され、図書館の歴史は、実質的に人類文化の発展に必要不可欠な記憶装置となってきた。前7世紀頃のアッシリア王国の首都ニネヴェのアッシュールバニパル王の宮殿から出土度された多数の楔形粘土板は、あきらかに王室図書館といえるものである。シリアの古代都市エブラ宮殿遺跡から、紀元前2250年頃に書かれた粘土板が大量に保管された文書館が発見されている。古代の図書館の中でも「世界三大図書館」として名高いのがアレクサンドリア図書館、ペルガモン図書館、ケルスス図書館である。中世ヨーロッパにおいては修道院が図書と学問が重視され、古代古典の保存に大きな役割をはたした。図書を納める戸棚をアルマリウムといい、そうしたことから修道院の図書館はアリマリクスと呼称され、またライブラリスともいわれていた。中世の図書館といえばウンベルト・エーコの「薔薇の名前」に登場する修道院図書館を思い浮かべる人も多いだろう。小説の中では、8万5000冊もの蔵書数があったことになっているが、当時の修道院には多くても500冊ほどの蔵書しかなかったという。スペインのマドリード近郊にある聖ロレンソ修道院図書館は世界遺産に登録されている。

 本の歴史においては蔡倫の紙の発明、そしてグーテンベルクの活版印刷術の発明が大きい。中世から近世初期頃までの、学術文明といえばヨーロッパ全体がギリシア文明またはラテン文明一色であったものが、近世に入ると次第にフランス的文明、ドイツ的文明というように分化し、分化したその国の文明がこれまた次第に上層から一般的民衆の間に浸透していき、それに伴って民衆一般をも対象としたいわゆる近代図書館が発生発達していくことになります。

    国内すべての出版物を集めて保存している国立国会図書館が、あと7年で限界となる報道があった。いずれは閲覧申請のない古い本は箱詰めするか、本をタテに置かずに横に積み上げる、それでもだめなら電子データ化したものは廃棄するという方法がとられるだろう。紙の本はいずれは消滅する運命にある。つまり粘土板や木簡やパピルス、羊皮紙など媒体にかかわらず情報・記録が蓄積保存される機能を図書館情報学の世界では「図書館」と呼んでいるのであろう。

    歴史的に見ると、ここ2世紀間は近代図書館の理念は公立図書館として展開してきたと考えられる。図書館は教育機関としてその整備は公の責任においておこうなうという考え方が浸透してきた。ところが文化の殿堂としてのハコモノの管理運営に要する経費はふくらみ、美術館・博物館ほどではないが、早晩、図書館冬の時代が必ず到来する。つまり人的経費のかかる図書館が自治体に負担となってのしかかってくる。民間委託をするにしても経費の削減はさぼど変らないという報告もある。こうした変貌する図書館にあって注目すべきは「図書館の分化」であろう。これまで公や組織が運営する公共図書館、大学図書館、学校図書館が一般に図書館の中心であったが、いまやその他の図書館の出現を注目している。たとえば商工図書館、点字図書館、演劇図書館、病院図書館、刑務所図書館など専門図書館もあるだろう。アーカイブスなどの文書館もあるだろう。このほか公民館図書室などのように図書館同種、類似施設もある。都市部ではブック・カフェ、マンガ喫茶なども出現している。また伝統的な家庭文庫、こども文庫・地域文庫などもある。最近のニュースでは宝塚のある主婦が自分の庭の空き地に約500冊ほどのミニ図書館を作った。名づけて「さんしょ文庫」。お手本は池田市の「まち角図書館」だそうだ。街角に本棚を置いて誰でもが利用できるようなする活動だそうだ。一人の試みは小さくても、このような活動の輪がもっと広まれば図書館の町になる。コストもかからず、資源の有効活用になる。宝塚市内には500冊程度の小さな文庫から1万冊を超える文庫まである。家庭文庫が増えて、宝塚は図書館の街に生まれかわるかもしれない。

2025年10月28日 (火)

ハーバード大学図書館

   アメリカ最古の高等教育機関であるハーバード大学が、いつの時点で発足したのかは、はっきりとしていない。一般には1636年10月28日を創立年とみなしている。ハーバード大学図書館は1638年に創立され、アメリカで最も古い歴史がある図書館になっている。この大学と図書館は、イングランド生まれの聖職者ジョン・ハーバードが1638年に死去した際に、遺言で400冊の蔵書と所有不動産の半分をカレッジに寄付するとともに、自分も名前を遺すことになった。1790年ころの蔵書数はわずか1万2000冊を超すにすぎなかったが、図書館の飛躍は、1915年に総合図書館であるワイドナー図書館が創設されてからのことで、当時の蔵書数は56万冊を超えていた。現在、この大学図書館組織には70を超える図書館が所属しており、あわせた蔵書数は1310万冊に及ぶ。世界で米国議会図書館、大英図書館、フランス国立図書館に次いで4位となっている。

2025年7月13日 (日)

遊園地、動物園、美術館、図書館のはじまり

800pxdyrehavsbakken_i_1800tallet_2     デンマークにある1583年オープンのデュアハウスバッケン(右画像)が世界最古の遊園地といわれる。1728年にはロンドンでヴォクスホル・ガーデンが開園した。動物園で最も古いのは1752年にオーストリアのウィーンにできたシェーンブルン動物園。1793年にはフランスのパリのジャルダン・プラント動物園、1828年にはロンドン動物園が創設され、のち一般にも公開された。世界最大級の美術品を収集するルーヴル美術館は1692年以来収集されていたが、正式には1793年がオープンとなっている。動物園の原型ともいえるのは、メソポタミアや古代中国などにみられる。例えば、紀元前9世紀イラク北部を支配したアッシリア帝国はでは、征服地かに猛獣や珍奇な動物を集めることで自らの富や権力を誇示したのである。「チコちゃんに叱られる」関西大学の溝井裕一教授の解説によると、アシュル・ナツィルパル2世が、王都にライオンや象、ダチョウなどを飼育していたという。

   図書館の歴史は古代メソポタミアの粘土板のように紀元前7世紀のアッシリアの図書館にまでさかのぼるが、一般公開となると、賢明王と称されるフランスのシャルル5世の国立図書館が1364年にルーヴル城に開館しており最古の図書館である。当初はわずか1200冊だったが、この図書館がカペー朝、ヴァロワ朝、ブルボン朝と王家が変わっても順調に発展を続ける。16世紀フランソワ1世は学者、芸術家を保護し、フランスにおけるルネサンスの発達を援助した。ギュイヨーム・ビュデを王室図書館長に任命し図書館の蔵書を増やしていった。これが現在1300万冊を蔵するフランス国立図書館の基礎となっている。(ビブリオテーク・ナショナル・ド・フランスの起源)。

 

 

2025年5月21日 (水)

本の整理とは、「捨てる」ことではない

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   5月のこの季節は「曝書」といって本の整理の季節でもある。ドラマ「戦う!書店ガール」で店員が本棚に並んでいる本を傾けて前に出すような仕草をしている。視聴者からも何の目的でしているのか、と疑問の声があがった。書店の経験はないので、定かではないが、背表紙を本棚の前面のツラあわせをしているのではないか。図書館では、背にラベルが貼っていて分類記号順に並べる。そして本は棚の全面に背表紙が揃うように前に出して並べる。このほうが背ラベルが見やすく、本を探しやすいからである。利用者は本を手に取って、しまうとき奥に突っ込む習慣があるので、いくら並べても一日で開架の本はぐちゃぐちゃになってしまう。通常、図書館では開館前の30分くらいは開架整理の時間に当てている。本の整理って意外と難しい、「整理術」という書名の本が何冊もでているくらいだから。あるトーク番組で整理整頓とは捨てること(いま流行りの断捨離)と言っていたが、本の整理=捨てることではない。整理ということは、必ず保存とセットが考える必要がある。断捨離ですっきりした感覚というのは、心理学的にみると不安感や脅迫感の裏返しである。若い主婦がモデルルームのように快適なリビングを理想に描くが、子どもが増えると現実にはモノがどんどん増えて汚部屋になってしまう。収納術は結構だが行き過ぎた断捨離は要注意だろう。五木寛之の新著「捨てない生き方」まだ読んでいないが、参考にしたい。むしろ本の整理とは、ホコリを取り除き、探しやすいように並べ、弱いジャンルを補強する、充実するための作業である。

 

 

 

2025年3月26日 (水)

名もなき小さな図書館


 NHK「おはよう関西」で「みんなでつくる図書館」が紹介されていた。「まちライブラリー」はみんなが本を持ち寄って、テーマに沿って本棚を作っていく。寄贈者のメッセージを記入し、次に読んだ人が感想を連ねていく。本をきっかけに人と人とがつながる。また本棚を囲んでお茶会を開催したりする。磯井純充さんが2011年に大阪市中央区のピルの一室から始めて、現在ではカフェやお寺、病院など全国に約110ヵ所に広がっている。海外では「リトル・フリー・ライブラリー」という図書ボックス(ミニ私設図書館)が流行している。郵便ポストか鳥小屋のような小さな本棚を庭先につくり、近隣の人たちに利用してもらう制度である。

 

 

 

 

 

 

2024年4月24日 (水)

アメリカ議会図書館

 1800年4月24日、アメリカ議会図書館が設立される。略称はLC。蔵書数3200万冊、世界最大規模の図書館。1814年ワシントンを攻略したイギリス軍が議事堂に火を放った際に、蔵書はほとんど失われたが、1815年ジェファーソンの蔵書約6000冊を購入し、これを核にして再建された。その後1825年と1851年にも火災に遭い、1897年に現在地に移転した。蔵書の増加に伴って、1939年に別館が開設され、1980年に新館マディソン・ビルが完成した。1899年3月から40年間在任した第8代館長ハーバート・パトナムの時代に、資料・整理・サービスのあらゆる面において整備拡充された。日本の国立国会図書館は、1948年にこのLCをモデルとして造られた。( keyword;Library of Congress,Herbert Putnam )

 

 

2023年7月16日 (日)

情報時代と検索

Img_2605s   アメリカの社会学者A・トフラーは、著書の「第三の波」の中で人類史を大きく「三つの波」に分け、前8000~前1650年ごろの農耕と定住開始を「第一の波」として「農業革命」とよび「第二の波」を18世紀後半に起こった「産業革命」、そして「第三の波」を20世紀後半に起こった「情報革命」であるとした。

 日本では、1980年代になってから、パソコンやワープロなどのOA機器が普及し始めて、現在では、職場のみならず、一般家庭で誰でもが必要な情報を検索で取り出すことが当たり前になっている。「情報とは何か」。「情報」という言葉は明治時代から使われている。けれどもその当時は、情報そのものに価値を見出していたわけではない。2度にわたる世界大戦を経るなかで、「秘すべきものとしての価値」を意味する言葉として使われるようになる。情報が新たな行動を起こすための原動力となりうるものとして意識されるようになるのは、1950年代以降のことである。

    私は若い頃、図書館で目録カードを作成していたことがある。分類、書名、著者名、件名などの種類がある。アメリカでは辞書体目録といってこれを統一したような目録があると聞いていたが、ついに日本では実現できなかった。やがてコンピューターの時代となってキーワード(検索語)で検索できるシステムが開発された。カード目録式の索引は旧時代のものであるが、本から直接に書誌を作成できる時代に生きたことを喜びに感じている。「検索」ということばは日常的な言葉ではなかったが、スマホ全盛の現在では当たり前にだれでもが「検索」という言葉を用いているが、当時図書館では「情報の探索」とか「調べもの」と呼んでいた。

ここで一般的な検索までの流れを整理しておこう。

step1 調査目的・内容を明確にする

step2 データーベースを選ぶ

step3 検索語を選ぶ

step4 検索式の作成

検索

step5 検索結果の詳細

検索終了

step6 文献の入手

 検索者が思いついた言葉もそのまま検索語として使用できるが、検索漏れを防ぐためにあらかじめ1つの主題に関する検索語を集中化しておく方法(「統制法」)が考えだされました。たとえば、「エアコン」「クーラー」「冷房装置」「暖房装置」は、全て「空気調和装置」という言葉を使いましょうとルールブックのようなもので決めてあります。主な統制語には「シソーラス」と「件名標目」があります。シソーラスという言葉は、ギリシャ語の原意「宝庫」からきており、転じて「辞典、百科辞典その他同類の「知識の宝庫」を意味する用語となった。1852年、イギリスの医師ロジェ(1779-1868)が「英語修辞学辞典」を編集した。本書2部から成り、第1部は著者が着想語とよぶ概念語を体系的に分類排列し、その一つ一つの着想語のもとに、幾通りもの言い回しの言葉や語句を列挙した。この着想語の概念をドキュメンテーションに応用したのが、文献上、ルーン(1896-1964)が最初といわれる。1957年のことである。彼は情報検索用件名標目表をシソーラスとよび、件名標目に当たるキーワードを文献上にあらわれたる用語に結びつけ、キーワードは体系的に分類しておいて、別にキーワードもそうでない用語もすべて一連のアルファベット順に排列した索引と対にした。こうして作られたシソーラスは、上位語と下位語を体系づけて従来の件名標目では果たせなかった検索上の便宜を提供している。

 

 

2023年6月11日 (日)

めずらしい本、ありふれた本、そして面白い本

   NHK「探検バクモン」で100万冊の専門書を所蔵する東洋文庫を紹介していた。「東方見聞録」の最も古い版のもなど珍しい本ばかり。しかし学問は稀覯本やお宝ばかりを探すのが王道とは思えない。余は日常にありふれた本のなかに人生の本質を見つけたい。本を借りることがマイ・ブームである。宝塚に住んでいるが、近隣の他市の図書館でも登録すれば簡単に本が借りれる。電車を利用しているが、PiTaPaが便利だ。図書館に勤めていたとき、来館者から「何か面白い本はないか?」とたずねられて即答できずに困った。新刊や話題の作品ならリストもあるが、ばくぜんと聞かれても好みもあるので、その方にとっての最適な本をすすめることはむずかしい。自分自身も「何か面白い本はないか」と自問しながら本棚をさがしている。中国関係が好きなわたしは、やさしく書かれた「水滸伝」を読んでみたい。中国関係図書でめずらしいタイトル。劉多鶴子の「中国・中国・中国」理想出版、1980年刊行。詩集らしい。

  最近は、こんな本を借りている。「ものの名前」「すてきなあなたに」「長さと速さの話題事典」「キネマ旬報」「民俗探訪事典」「戦争映画館」「コンサイス外国地名事典」。本を返して、また新しい本を借りる。「女優で観るか、監督を追うか」「ラジオ深夜便きょうの一句」「カエサル」「感情の整理術」。21日「江戸の敵をなぜ長崎で討つのか」「あまちゃんはなぜ面白かったか?」「早引きネーミング辞典」「都道府県クイズ」。22日「戦後マンガ50年史」「日本の歴史クイズ100連発」「ザ・ベストテン」「魚たちとワシントン条約」「哲学辞典」。6月3日「武帝」「孔子」「外国のことわざ」「日本のすがた」「聖書コンコーダンス」。6月11日「あまちゃんの人間像」「ピーター・フォーク自伝」「日本プロ野球事件史」。6月18日「もののはじまりビックリ事典」「知ってびっくり!もののはじまり物語」「恐ろしい幽霊の話」「つのだじろう怪談」「世界文学101物語」。6月23日「身近なモノ事始め事典」「日本の第1号物語777」「東京マニアック博物館」 6月29日「東京都の歴史散歩」「地名の世界地図」「世界の戦争・革命・反乱」。7月5日「第9軍団のワシ」「真田幸村と真田一族のすべて」。

 

 

 

 

 

 

2023年2月11日 (土)

ジョージ・ワシントンの悔恨

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 ニューヨーク市立図書館

 本日は、米初代大統領ジョージ・ワシントンの1732年の誕生日である。ワシントンはヴァージニア植民地ウェストモーランドで生まれた。1789年初代大統領に選ばれた。1789年10月5日、ジョージ・ワシントンはニューヨーク市立図書館から2冊の本を借りた。国際関係論と議会討論に関する本で、返却期限は11月2日だった。ところが、ワシントンは国事に忙殺されて本のことはすっかり忘れてしまった。結局、ワシントンの死後もその2冊の本は長らく未返却のままであった。ジョージ・ワシントンといえば、少年時代、父が大切にしていた桜の木を切ったことを正直に話して反省したという逸話がよく知られている。いわば正直者のシンボルであるワシントンが本の長期延滞者であることはアメリカ図書館関係者にとって長い間、悩みの種であった。ニューヨーク市立図書館は当時アメリカでも唯一の図書館で初期の貸し出し記録にワシントンの未返却本があることを憂慮していた。延滞料は221年で約43万円になるという。だが、最近ジョージ・ワシントン邸の管理団体が同じ版の図書を約100万円で調達し、ニューヨーク市立図書館に返却したという。ジョージ・ワシントンは長期延滞者として世界図書館史に残る記録を樹立したのである。

2022年8月15日 (月)

「赤ちゃんはどこから生まれるの?」国民百科事典

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(左上から)アインシュタイン(岡本一平)、チャップリン(トポスキー)、ゴーリキー(ホフマイスター)、ルナール(ルベール)、小村寿太郎(鹿子木孟郎)、菊池寛(岡本一平)、永井荷風(清水崑)、夏目漱石(下川凹夫)、吉田茂(清水崑)、太田薫(那須良輔)、河上丈太郎(中村伊助)、池田勇人(中村伊助)

 

   図書館では蔵書の新鮮さを保つことは大切であるが、一方、「図書館とは記憶の社会的装置」といわれるように、過去の知的文化財を後世に伝えていく役割も大切である。例えば、百科事典である。戦前の冨山房や三省堂にも、現在の百科事典では得られない重要な情報が凝縮されている。過去の国民生活を知るうえでの同時代性をもつ一等資料となる。戦後でいえば、昭和37年に平凡社から刊行された「国民百科事典 全7巻」である。図書館員からみると巻数が少ない百科事典なので、ややもすれば軽視しがちであるが、これは家庭への販売を企画したもので、応接間の書棚に置くにはお手ごろである。事実の国民百科事典は数十万セットという大ヒットを記録した。そして内容がよい。たとえば、漫画を調べると、1ページにわたる解説とともに6ページにのぼる図版がある。そこにはダ・ヴィンチ「人間戯画」、ブリューゲル「謝肉祭と四旬節のけんか」、ホガース「説教」、ゴヤ「雀百まで」、ドーミエ「新火器発明者の幻想」、ピカソ「フランコの嘘」、「鳥獣戯画」、葛飾北斎「盲人の川越」、河鍋暁斎「カエルの曲芸」、岡本一平「有島武郎心中」、ペイネ「恋人たちの手紙」、田河水泡「のらくろ」、麻生豊「のんきなトウサン」、プローエン「親父とむすこ」など日本から世界中の漫画が紹介されている。「世界各国の似顔絵」はなんと24人の著名人の似顔絵が掲載されている。これは通り一編の無味簡素な紹介ではなくて、読んで楽しむための百科事典という編集が豊富に盛り込まれている。ただ年数が経過したからといって、図書館では廃棄するのではなく、よく資料的価値をみきわめることが大切である。

 世の中、すべてのものに真ん中がある。1年の暦の真ん中は「7月2日」になる。では分厚い本の代表格である「広辞苑」の真ん中の言葉は何か?という質問に、局のスタッフが調査したところ「セイコウ」という熟語であった。国語学者の金田一秀穂さんは、たいがいの辞典は「せ」が真ん中にくるよ、といっている。平凡社の「国民百科事典」を調べると、篠崎信男が執筆した「性教育」という項目であった。「性教育の方法はを考える場合にたいせつなことは、性教育はかくあるべし、かくあらねばならないという考えという考え方で方法を編み出すことは誤りであって、問題発生ごとの処理法がたいせつだということである。したがって、この意味での性教育は答える教育でなく答えさせていく教育ということになる。「子どもはどこから生まれるの?」と問われて「どこから生まれてくると思う?」という教育という導き方、そしてその答えが間違っていなければそれでよく、相手の年齢、性の関心度に応じて問答式に自覚させていくことがたいせつであり、決して親の考えだけでいいすぎないように心がけなければなせない。そして、絶えず最後には長い人間の歴史のなかでに作りあげられてきた性というものの重大性と深遠性とを認識させることが肝要であろう。」篠崎信男。

参考文献;西岡笑子「わが国の性教育の歴史的変遷とリプロタクティブヘルス/ライツ」日本衛生学雑誌73  2018年

 

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