猿のお尻はなぜ赤い
むかしもとんとあったげな。カニが浜辺へいって、柿の種を拾うてきました。家へ持って帰って、裏の畑へ植えておきました。カニは毎日水をやって、「早う、はえんとちめるぞ」と言いました。すると柿の木がはえてきました。こんどは、「早う、大きんならんとちめるぞ」と言いました。すると見ているうちに大木となりました。するとこんどは、「早う、ならんとちめるぞ」と言いました。すると実がなりました。そこでカニは、「早う、うれんとちめるぞ」と言いますと、柿の実はよくうれていました。猿は、カニのところに柿の実がなっているのを知りました。そこでカニのところへ来て、「カニよ、カニよ、ちぎってやろか」と言いました。そこでカニは猿にちぎってもらうことにしました。ところが猿はちぎってくれるどころか、木の上へのぼって、かたっぱしから取ってしまいます。そうして青いうれていない実を投げてくれました。カニは腹を立てましたが、どうにもこうにもしようがないので困っていました。猿は持ってきた袋に実をいっぱいとって、まだその上にいくらでもちぎります。そこでカニは木の下から、「猿よ、猿よ、もっと枝のさきに袋をかけよ」と言いました。そうして枝のはしに袋をかけさせてから、カニは、「西の風よ、ぷいと吹け。東の風よ、ぷいと吹け」と言いました。すると東からも西からも風が吹いてきて、枝のさきが折れ、実のはいった袋が落ちてきました。そこでカニはこぼれ出た実をとって自分の穴の中へひきずりこみました。「カニよ、早う出て来い」と言いましたが、カニは穴の中で柿をかじっていました。そこで猿は、「カニよ、出て来んなら、小便をながしこむぞ」と言いましたが、カニは相手にしません。猿はそこで小便を流しこみました。それでもカニは平気でいますから、こんどは、「カニよ、出て来んなら、糞をひりこむぞ」と言いましたが、やっぱり相手にしません。そこで猿はおこって、ばばをひりこもうとしますと、カニがおこって猿のお尻をちめきりました。猿のお尻は、その時から赤くなったと言います。(讃岐・志々島の民話)








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