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2024年8月10日 (土)

お盆の由来は「倒懸(さかさづり)」から?

 なぜ日本は年中行事が多いのだろうか。とくに8月の暑いさかりは全国各地で夏祭りや花火大会があり賑やかである。

 坊さんがバイクで走るお盆かな 

  お盆は日本の年中行事のなかでも正月とならんで大事な生活習慣。「精霊(死者の霊魂)」を迎えるものです。NHKチコちゃんに叱られる拡大スペシャル。毎年、お盆になると家族で墓参りに行くが、なぜ行くのか。そもそもお盆の「ボン」とは何なのか。チコちゃんだけが知っている。お盆の意味は「逆さづり」。

 お盆は「盂蘭盆」を略したもの。盂蘭盆経、お釈迦様の教えを説いたお経のことで「仏訳盂蘭盆経」に書かれた物語。盂蘭盆とはインドサンスクリット語の「Ullambana (ウランバナ)」に漢字を当てはめたもの。UI(逆さ) lambana(吊るされる)=逆さづり。

 釈迦の弟子、目蓮は地獄のような場所で逆さづりにされている母を助けるため、沢山の食べ物をお供えして、お経を読んで供養したところ、逆さづりにされていた木蓮の母の足から、紐が外れた。その後、木蓮の母はあの世で菩薩となり、幸せに暮らした。これがお盆の始まりである盂蘭盆会の行事である。インドから中国を経て、日本に取り入れられた。日本で最初に盂蘭盆会が営まれたのは、606年、推古天皇の時代で、「日本書紀」にその記録が残っている。日本の伝統行事「お盆」は目連救母説話をモチーフとして、日本古来の霊魂観と先祖崇拝の宗教的習俗が混在して形成されていったものと考えらる。(参考文献;「盂蘭盆」考 赤松孝幸 高松大学紀要33号 2000年)

 

2024年7月24日 (水)

土用の丑の日

土用うし 夫婦二人で鰻一尾

   今日は「土用の丑の日」。全国的にウナギを食べる日とされているけど、なぜこの日に鰻を食べるのか、その由来を調べることは雑学研究の定番ともといえる事柄である。 そもそも天然ものの鰻は初冬が旬である。そして土用といえば、夏のことと思われがちだが、実は年に4回ある。もともとは古代中国の五行説からきたもので、宇宙は木火土金水の五元素から成ると考えられていた。そして、立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれ前の18日もしくは19日間を土用といった。つまり季節の変わり目で、土の働きが旺盛になる期間と考えたのであろう。しかし、今日では俳句の季語でも夏であるように、土用といえば夏の土用を指すのが一般的である。今年の土用の丑の日は7月24日に当たる。

    ところで、土用にウナギを食べる習慣は、奈良時代からある。『万葉集』の中で大伴家持が吉田石麿という老人がいくら飯を食べてもやせているのを見て、夏やせにウナギがいいよ、とからかっている歌がある。

石麻呂に吾れもの申す。夏痩せによしといふものぞ むなぎとり召せ   (いつも痩せている石麻呂君よ、夏痩せに良いという鰻でも食べたらどうかね)

   だが江戸時代、夏場に鰻が売れずに困っていた。ある鰻屋が蘭学者の平賀源内に相談し、源内は、さきの大伴家持の歌を思い出し、土用の丑の日にウナギを食えば夏痩せを防ぐことができるという意味から「今日は丑の日」という看板を書いて与えたところ、たちまち広く言い伝えられウナギ屋は大繁昌した。そこで、江戸中のウナギ屋も「今日は丑の日」の看板を掲げたという。こうして「土用の丑の日には鰻」という風習が定着していったといわれる。 地方によっては、丑の日にちなんで、ウのつく食物をとると暑気にあてられないといい、うどん、うり、牛肉などを食べるところもある。

 

 

 

 

2024年5月 5日 (日)

「鯉のぼり」の風習

0000231_2  甍の波と 雲の波

 重なる波の 中空を

 橘かをる 朝風に

 高く泳ぐや 鯉のぼり

     *

 開ける広き その口に

 舟をも呑まん さま見えて

 ゆたかに振るふ 尾鰭には

 物に動ぜぬ 姿あり

     *

 百瀬の瀧を 登りなば

 忽ち龍に なりぬべき

 わが身に似るや 男子(をのこご)と

 空に踊るや 鯉のぼり

 

 男の子のいる家では、5月5日に「鯉のぼり」をあげたりするが、近年少子化のせいか、都会ではあまりみられなくなったような気がする。この風習が生まれたのは江戸時代といわれている。当初は、武士の家で、戦国時代より陣地の目印として立てられた「吹き流し」や、旗指物などとして使われた「のぼり」を飾るしきたりがあった。しかし、これらを飾ることは武家にしか許されていなかった。そこで、江戸の庶民たちはこれに対抗し、鯉の形をした吹き流しを空に泳がせて節句を祝うようになったのだ。鯉は古代中国の「登竜門伝説」に因むとされ、男の子の立春出世を願う気持ちが込められている。

 

 

2024年5月 4日 (土)

伝統芸能「えんぶり」祭りと歴史

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  小正月に行われる豊作祈願の芸能の一つ。予祝の模擬田植えを演じる田遊びがさらに舞踏化したもので、名称は田面をすりならす農具の「えぶり」からきている。古くは「ゑぶりすり」と呼んだ。

   青森県八戸市を中心として岩手県九戸郡から青森県上北部にかけて分布する。現在、八戸市では新羅神社で2月17~20日に行われる。えんぶり組の踊り手(鳥帽子太夫)は3人か5人で農作業や縁起物を描いた鳥帽子をかぶり鳴子板・カンダイ(鍬)・松などを持って舞い、家々をまわる。

    江戸時代の学者・菅江真澄(1754-1829)によると、えんぶりは女性が男性の格好をして踊ったものと記している。明治以降は男性が踊るものと思われてきたが、昭和49年八戸で女性がえんぶりを行い、人々を驚かせたという。

 民俗芸能「えんぶり」は、近年、休止団体の増加に伴い、文化・技術の保存継承が困難になってきている。

 

 

2024年4月23日 (火)

東北六魂祭

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 鉄道やバスの交通機関が発達しているとはいえ、東北の自然は大きく、しかも中央に南北に長くのびた奥羽山脈が連なっいるため青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島と各県それぞれの歴史と文化が大きく異なる。奥羽山脈を境にして、太平洋側の気候と日本海側の気候に分けられる。太平洋側は、初夏から夏にかけてやませが吹くと気温が下がり、冷害がおこることがある。一方、日本海側は春や夏にフェーン現象がおこり、高温になることがあるが、冬は北西の季節風の影響で雪が多く降る。東北の早期復興を願って開かれる東北六魂祭。六魂祭とは、青森ねぶた祭、秋田竿灯まつり、盛岡さんさ踊り、山形花笠まつり、仙台七夕まつり、福島わらじまつり。各地の伝統行事についてくわしくみていこう。

2月 横手かまくら

4月 天童・人間将棋

4月 弘前桜まつり

6月 盛岡・ちゃぐちゃぐ馬こ

7月 出羽三山花まつり

7月 恐山大祭

8月 青森・ねぷた祭

8月 秋田・竿灯

8月 花笠祭

8月 仙台・七夕

8月 松島・燈籠流し

9月 花巻祭

9月 会津白虎祭

10月 二本松提灯祭

12月 羽黒山松例祭

 

 

2024年3月12日 (火)

奶婚(ないこん)

  奶婚とは、幼い男児に年上の女性を妻として配する旧中国にみられた風習。一般に男子の初婚年齢は14、15歳で、3歳前後年上の妻をもつことをよしとする風がある。毛沢東は14歳のとき4歳年上の羅一秀と最初の結婚をしている。しかし親に押し付けられた結婚であったため激しく反発し、結局一度も妻とは同居することなく妻は20歳で死去している。農家では嫁は家族労働力の補充のためのものであり、嫁は炊事のため、裁縫のため、および農地の耕作のためのものであった。

 

2024年3月 8日 (金)

桐原の藁駒まつり

Photo_4 長野県桐原は郷土玩具「わら馬」で知られている。「わら馬」は古く「わら駒」といわれ、「龍馬」を形どったもので「神駒」ともよばれている。生産と繁栄を祈願し、毎年3月8日に長野市郊外の桐原牧神社の春祭りにわら駒を奉納する。藁で作った郷土玩具が伝統民芸品として、駅売店で販売されている。

2024年3月 3日 (日)

男雛と女雛の並べ方は?

 3月3日はひな祭り。気になるのは、最上段に飾る男雛と女雛の位置だ。伝統的な京式ではひな壇に向かって右側が男雛であった。雛人形の男雛、女雛の配座はどちらが上席か意見が分かれる。現在、商品として展示されている雛人形を見ると、向かって左側に男雛、右が女雛が配置されているのが一般的である。

 

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京阪風古今雛屏風飾り(江戸後期)

 ひな人形の語は江戸時代後期に生まれたが、起源は古く平安時代の貴族の子どもの人形に「ひいな」があったが、この遊びが伝わったものであろう。並べ方は江戸時代までは、男雛は向かって右側であった。これは古来日本では陰陽五行説に由来して、左側(向かって右)を上席とされてきたため、京風の時代雛では男雛が左側(向かって右)となっている。だが明治24年に全国の学校に置かれた御真影では、外国の皇室を見習って天皇は向って左であった。大正から昭和初め頃、三越や高島屋などデパートがこれらにならって男雛と女雛の配座を入れ替えた。東京雛人形卸商組合が、それにならい、またたく間に全国に広がり、今日に至っている。関西では、伝統的に京風を守り、向かって右に男雛を配置することもまだ残っている。では、左右どちらに配置したらよいのか?さぞや悩まれる方も多いのではないだろうか。各家庭の今までのしきたり等で飾っていかれたらよろしいのではないでしょうか

2024年2月22日 (木)

韓国花茶物語

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 ヘンリー・ジェイムズ(1843-1916)は、午後のお茶のひとときを次のように書いている。

 その時の事情にもよるが、午後のお茶と呼ばれている儀式に捧げられたひとときほど気持ちのよいときは、この世にはめったにないものである。お茶を飲もうが飲むまいが、もちろんけっして飲まない人もいるのだが、お茶どきの雰囲気がそれだけ楽しいといった場合があるのだ。(「ある婦人の肖像」)

 イギリス式の紅茶、あるいはハーブ・ティーを、自宅の庭などの自然の中で楽しんでいる様子がうかがえる。そして、お茶の香りに加えて、美しい花の香りも楽しめたら最高に気持ち良いことだろう。

 

    ところで、お茶に、何か別のものを加えて飲む楽しみ方は、世界各地にあるようだ。中国の花茶は、花だけに湯を注ぐ方法のほか、烏龍茶や緑茶などと花をブレンドする方法もみられる。有名な花茶といえばジャスミン茶だが、元の時代にはハス、ラン、バラなどの花が好まれた。またインドや中近東では紅茶にしょうが、シナモン、クローブ、カルダモンなどのスパイスを加える習慣がある。モロッコでは、厚手のコップに新鮮なミントの葉をたっぷり入れて熱い紅茶を注ぎ、砂糖を多めに入れて飲むスタイルが知られている。

  ここで紹介する韓国の花茶は「目と香りと味で楽しむ」朝鮮時代の貴族たちが嗜んだ風流を楽しむものであった。貴族たちは移り行く季節の折々、花茶を嗜み、詩を詠み、彼らだけの世界に耽ったものだった。花茶の製造法については、18世紀の生活百科「閨閣叢書」に梅茶のことが載っている。ホ・ジュン(1546-1615)が書いた医学書「東医宝鑑」にも「むくげの花を茶にして飲めば風邪に良い」とあり、花茶が薬として紹介されている。19世紀には花を使った料理が多様になり、「是議全書」には、バラやツツジの花菜や、蜂蜜水に松の花粉を入れた松花蜜水などが載っている。花は春、夏、秋、冬、季節の野の花を使う。かすかな色と小さな花びら。一般的なものは、菊茶、蘭茶、蓮茶、芍薬茶などである。生きた花びらでお茶を淹れる方が見た目には美しいが、味が良いのはやはり花びらを乾燥させて淹れたお茶である。

 

   菊茶の作り方

1.菊は茎を捨て、花だけ摘み取り流水で洗う

2.湯気の立つ蒸し器に菊を入れて蒸す

3.ザルに取り、互いがくっつかないように並べ、日陰に干す

4.茶器に干した菊を10輪ほど入れ、お湯を注ぐ

2024年2月19日 (月)

「猫が魚を大好物」というのは誤解だった! (猫の珍談奇譚)

 2月22日は「猫の日」。イザヤ・ベンダサンの「日本人とユダヤ人」の中で、「旧約聖書にはネコという言葉が全く出てこない」とある。ネコが登場するのは外典「エレミヤの手紙」の中の一ヶ所だけらしい。「エッセンシャル聖書コンコーダンス」などの聖書語句辞典を調べてもネコが見つからない。ユダヤ人はネコ嫌いの民族だった。ところが隣国の大国エジプトでは、ネコは穀物を荒らすネズミなどを退治するので昔から大切にされた。ヘロドトスは「エジプトではネコが死ねば、家人はミイラにして手厚く葬る」とある。バステトの祭りが行われ、ネコの女神として崇拝される。前525年ペルシアのカンビュセス2世は最前列にネコを配してエジプトを攻め、矢を放つことができないエジプト軍は滅ぼされてしまったという。▽ネコは気まぐれで、思いどうりにならない。ナポレオン、カエサル、ヒトラーといった権力者はみんなネコが嫌いだった。

Minnekepoeskattenstoet1▽ヨーロッパ中世では、ネコは魔女の手下とされて、多くの黒猫が殺された。3年に1度開かれるベルギーのイーペルのネコ祭りは、黒猫を時計台から放り投げて、下で受け止めると幸福が訪れるという奇習がいまも残っている。▽唐の則天武后は猫が嫌いで、宮中で猫を飼うのを禁じたとされる。▽ネコが魚好きというのは日本だけの話だそうだ。日本のネコが魚を好んで食べるようになったのは、日本人の食生活と関係している。江戸時代までの日本人には肉を食べる習慣がなく、動物性たんぱく質は主に魚肉からとっていた。そして、猫は人の食事の残りをもらっていたため、自然と魚を好むようになったと考えられている。つまり島国の食生活からつくられたものだろう。▽ネコの髭はどんな役目をするのか。ネコの髭は「触毛」と呼ばれて、毛根には神経が集中し、レーダーのような働きがあります。▽ことわざ「猫に小判」「犬に論語」「馬の耳に念仏」「豚に真珠」その意味は価値のあるものを、価値の分からない者に与えても無駄ということだが、「豚に真珠」だけは外来のことわざ。聖書に「豚の前に真珠を投げるな」に由来する。国木田独歩は「君等に美術の話をしたって無益だ。豚に真珠を投ずる如しだ」(園遊会)と書いている。最初は「豚に真珠を投げるな」がそのうち「豚に真珠」と簡略化されたのだろう。(Basted,Kattenstoet,Ieper,雑学)

 

 

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