5月4日、夜7時。熱田神宮の神殿の前に16人の白装束の神官が並ぶ。境内の社に入り、携えてきた箱の中から面を出す。袖の中に隠し持って、袖の上から軽く叩く。その時、小さく「おっほ」と笑う。笛が短くピロリと鳴ると、全員が大声で「わっはっはっは」と笑う。これが三度繰り返される。一つの社が終ると、また次の社へ、それが終るとまた次の社へ。4つか5つの社で同じことを繰り返し、神殿に戻って終了する。これが「酔笑人(えようど)神事」、一名「おほほ祭」と呼ばれる祭で、神官たちが笑い合う神事から、そのような名がついたらしい。
熱田神宮は三種の神器の一つ草薙剣を祀ることで知られる。スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治したときその体内から出てきた剣で、日本武尊が伊勢神宮にもうで、斎宮であった叔母の倭姫命から天叢雲剣を授けられた。日本武尊は、東征の途中、神宮に参拝してこの宝剣をさずかり、駿河国で野火攻めにあったとき、この剣で草をなぎ払って以来草薙剣と呼ばれるようになった。その妃の宮簣媛命(ミヤズヒメノミコト)が草薙剣を社を建てて草薙剣をまつったのが熱田神宮の起源といわれる。
天智天皇7年(668)、新羅の僧道行は草薙剣を盗んで、新羅に渡ろうとしたが暴風雨にあって果たせず、その後宮中に保管され、天武天皇朱鳥元年(686)、天皇の病が草薙剣のたたりだというので即刻熱田の社に送り返された。熱田神宮では神剣の帰還を喜び酔って笑って歩きまわる姿そのものが祀りになった酔笑人(えようど)神事、「おほほ祭」として毎年5月4日の夜に行なわれている。そのほか熱田神宮では踏歌(とうか)、歩射(ぶしゃ)などの神事がおこなわれている。古代以来尾張国造の尾張氏が代々宮司として奉仕したが、後世はその子孫筋にあたる大宮司藤原季範の子孫がこの職を世襲して明治維新にいたった。
指でまるをつくと「OK」のサインとして使うことがあるが、欧米では時に「間抜け」を意味することがある。「よろしい」「そのとおり」などを表現するときは、親指を立てるしぐさをする。日本人がしなくて欧米人がする動作に、相手に手の甲を見せて、中指だけを立てるしぐさがある。このしくざは「クソ食らえ」を意味する。人指し指と中指を立てて「平和」「勝利」を意味するVサインは1970年代から日本でも写真撮影でよく行われるしぐさである。最近では韓国や台湾でも普通に使われる。韓国グループBIGBANGが手の甲を見せたVサインをしたことがアイルランドで問題となった。イギリス、アメリカなどでは侮蔑的なしくざである。
もともとVサインは百年戦争の挑発ポーズが起源といわれる。捕虜になると指を切り落とされるので、その指を2本立てて、落とせるものなら切り落としてみろという示威行為である。ウィンストン・チャーチルのVサインにも絶対に勝利するという敵に対する示威である。ジョン・レノン、巨人の星、サインはV、コニカカメラのCM、ジャネット・リンなどで日本ではVサインは人気の決めポーズになった。最近でも山田優は婚約指輪をVサインで報道陣に披露している。
近年はあまり見かけることは少なくなったが、人目につきやすい格好をして、太鼓・三味線・ラッパなどを鳴らしてながら、大道で広告・宣伝をする人を「チンドン屋」という。言葉は明治初期からあるらしく、「チンドン屋よろしく大道飴売」と新聞の見出し(郵便報知新聞1878.12.11)に見える。だがこれは自前の飴を売り歩くためのものであり、広告請負業の現在のチンドン屋のルーツとは言えない。明治10年代に芝居の口上である「東西、東西」を用いて寄席の宣伝を行った東西屋がチンドン屋の始まりかもしれない。また明治18年に高坂金兵衛が「ひろめやという商売をはじめ一日に百人くらいのルンペンを集めて行列をつくり、先頭と後部に旗を立て、囃子をなかに入れ、ドンチャンドンチャンと、主として化粧品などの宣伝をしたのがはじまりである」とある。(日置昌一「ものしり事典」)全国にチンドン屋が出現するのは大正末期ごろ。戦後のサンドイッチマンはチンドン屋の分化である。
4月ばか、April Fool、万愚節。友人たちをかついで興じる日。この習慣がなにに由来するかについては定説はない。16世紀頃からヨーロッパで始まった習慣とされる。「4月ばか」の慣習は18世紀初めまでは一般化されていなかった。イングランドでは、もっとも好まれた遊びは「無駄なお使い」に出すことであり、Aが犠牲者をBのところに使いに出すと、Bはさらに彼をCに送る。こうして犠牲者は、気づくまであちこちにやられるのである。
エイプリルフールは一説によると、キリスト教の死んだ日と関係するといわれる。キリストが死んだ日は春分の日(ニサン)の新月の日から14日たった日といわれる。毎年この頃、エホバの証人たちはイエスの死を記念する特別な集会を行う。
国民に古今無双の嘘をつき(枝野)
「人間はどれだけの土地が必要か」でトルストイは、自分の棺桶が入る大きさだけの土地があればよいと言っている。
清水次郎長の子分に桶屋鬼吉というのがいる。桶屋なので自分の棺桶を背中に背負っている。死ぬ覚悟という意味だろうか。江戸時代は庶民の棺桶は丸形の簡素なものだったようだ。棺桶はいつのまにか長方形になったが木製であることにかわりない。古代から出土される棺をみると日本では古くは木製の船形木棺、西洋は岩などでできた石棺が多くみられた。それが次第に簡素なものとなっていった。西欧でも土葬の関係から棺は木製が用いられた。木材には糸杉が用いられることが多かった。糸杉は「墓場の木」といわれるように、棺の覆いに挿したり、会葬者が各々手に持ったり、葬儀に関することが多い。シェイクスピアの「十二夜」には「糸杉の棺に埋めて下さい」とある。イエスが十字架に使われた木材が糸杉であったからともいわれ、西欧では「死」の象徴であった。ゴッホがサン・レミでの重要なモチーフとして異様な暗い糸杉を数点も残しているが、彼自身の死を予感させるものがある。
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