あれに見えるは茶摘みじゃないか 茜襷に菅の笠
萌えるお茶の芽もえたつたすき 唄に明けゆく宇治の里
宇治は茶どころ茶は縁どころ 娘やりたや婿ほしや
今年やこれきりまた来る春は 八十八夜のお茶に逢う
主は焙炉でこがれていよと わたしや茶園でうわの空
神に一心お茶にはニしん かけてみやんせキッと利く
ことしお茶にはあかねのたすき 今度五月にや黒だすき
宇治の里から貰うた嫁は 茶つみ上手で唄上手
人の手前で薄茶じやけれど 主の濃茶で目をさます
こよい庚申濃茶をのんで 話明かそか主さんと
ぬるいお茶でもお前の手から ついで貰えばあつくなる
朝の茶の湯に茶柱立って 運の開きか花が咲く
なぜ茶柱が立つと縁起がいいとされるのか?柱には「繫栄する」という意味があります。大黒柱は繁栄の象徴です。高級茶には茎が含まれませんので茶柱が立つということはありません。番茶には硬くなった茶や茎が多く含まれているため、あまり売れませんでした。そこで静岡の商人が番茶を売る戦略として「茶柱が立つと縁起がいい」という噂を広めて宣伝したのではないでしょうか。
新しき年の始の初春の今日降る雪のいや頻(し)け寿詞(よごと)
大伴家持
年の瀬、迎春をひかえて買い物で忙しい。元日の朝、正月のお祝い膳にかかせないのが「おせち料理」である。「おせち」とは御節供(おせちく)のつまったもので、昔は五節供の節目に用いられる料理のことをいったが、次第に正月の料理だけをいうようになった。正月の祭事の食物に里いものような穀類を特別重要視する習慣は縄文時代からの穀類起源神話からもうかがえる。インドネシアの神話に、ハイヌウェレという少女の死体から芋などの作物が生まれ、人びとの主食となったという神話がある。ドイツの学者アドルフ・イエンゼン(1899-1965)はこれを「ハイヌウェレ型神話」と呼び世界に同類の神話が存在するとした。日本の記紀にみられるオオゲツヒメも縄文時代の中期に南方から渡来した可能性が高いと学者は説く。おせち料理は年神様にお供えして、家族の繁栄や、多産、豊年、長寿、家内安全のなどを願う、縁起物の家庭料理である。
「数の子」は、にしんの卵だが、「二親・にしん」から、たくさんの子がうまれてめでたいと、子孫繁栄の縁起をかついでいる。古くからおせちに使われる。
「田作り」は、ごまめともいい、かたくちいわしのの幼魚を炒って飴煮したもの。昔たんぼの肥料に使ったところ、たいへん米がとれたため、豊年万作を祝う農民が正月に田作りを食べるようになった。
「黒豆」は、一年中の邪気を払い無病息災を願って屠蘇で祝うが、そのときに用いられる祝い肴のひとつ。黒豆(くろまめ)・まめ(丈夫)に暮らせるようにという縁起に因んだもの。
「昆布巻き」は、昆布と「よろコブ」をかけて幸福を願う。
「海老」は長いひげをはやし、腰が曲がるまで長生きすることを願って使われる。
「鯛」は、鯛と「めでタイ」をかけて幸福を願う。
「くわい」は芽が出る事から「出世しますように」という縁起物です。
「れんこん」は沢山の穴が開いていることから「先が見える・先の見通しが良い」とされる縁起物です。
「たたきごぼう」は根がしっかり根付くことから「家の土台がしっかりするように」とされる縁起物です。
「棒だら」は鱈腹(たらふく)食べられるという意味で腹=福から来ています。
「栗きんとん」金団と書き、その色から黄金・財産に見たてた豊かな1年を願う料理です。
「屠蘇」とは魏の名医華佗の処方という、年始に飲む薬・屠蘇散に由来する。屠蘇散を入れて、酒・みりんに浸して飲む。一年の邪気を払い、齢を延ばすという。平安時代から行われている。(1月1日) 参考:『江馬務著作集5』 中央公論社 P191~196
大晦日の夜を年越しともいい、除夜ともいう。現代日本に住むわれわれは「NHK紅白歌合戦」を見て、「ゆく年くる年」で除夜の鐘を聞くことを年越しと思うかもしれないが、これは比較的に新しい習慣であって、日本では大昔から、一日というのは日が暮れてから、次の日が暮れるまでであった。一日の境は真夜中の12時ではなく、日暮であった。だから大晦日の夜に、年棚に灯をつけ、神饌を供えて、家内そろってつく膳は、年を迎える祝いの膳であった。この夜にきまった食べものを摂ることになっていたのは、そのためである。土地によっては、新年最初の食事として、大晦日の夜に晴れの膳を家族にすえる所もあるが、これは年越しの古風である。
年越しそば、みそかそばを食べる風習は、だいたい江戸時代に定着したものであるが、必ずしも全国的なものではない。地方によって食べ物は異なり、ある地方では田楽を食べる風習があった。豆腐と蒟蒻を焼いて味噌をつけたものである。
年越しそばの由来については、①そばのように長く幸福にという縁起説、②金箔師が仕事場に散らばった金銀の粉を集めるのにそば粉をこねた塊をもちいたことから、金銀をかき集めるという説、③大晦日の深夜まで借金の取立てのため、夜明けまで集金して歩く町場の掛取りの慰労のため、など諸説ある。
秋田県男鹿半島本山の村々では「なまはげ」という奇習が古くから伝わる。かつては陰暦1月15日の行事だったが、戦時中に一時中止され、現在は大晦日または新暦1月15日に行われるようになった。
この日は、恐ろしい鬼の面をかぶり、ケラ蓑、わらぐつ、腰みのをつけ、大きな木製の刃物を持ち、箱の中に小さな物を入れてからから鳴らして、二三人一組となった若者が、「ウォーウォー」と奇声をあげながら「くなもみコ剥げたかよ」「包丁コとげたかよ」「小豆コ煮えたか煮えたかよ」などと唱えながら家々を訪れ、「泣ぐ子はいねが、親の言うこと聞がねえ子はいねが」と小児を脅しながら、神棚に礼拝し、祝言をのべる。それを正装した主人が酒肴や餅などで迎える。鬼は酒だけ飲んで餅は従者に持たせ、次の家へ行く。仕事もせずに、火にあたってばかりいる怠け者には、ナモミ(火斑)がつくといわれ、これを引きはぐ「ナモミハギ」が「なまはげ」に転化したものといわれる。そのほか、「生身剥」の転化説もある。
以上が「なまはげ」の語源であるが、習俗の由来については諸説あり、①漢の武帝が五匹の鬼をしたがえて男鹿に上陸し、年中鬼を酷使したので、その報酬として、正月15日、一日だけ村里に出て、自分のほしいものを勝手に探し求めてよいとの許しを与えたという説、②天狗伝説などにも見られる異邦人説、③男鹿の真山本山で修業する修験者がモデルになっているという説、④蓑笠をつけ、顔をかくして旅をするものを存在したことは「日本書紀」の神武紀のシイネツヒコとオトウカシの伝承とする説、などがある。
ナマハゲの同様の習俗はナゴミタクリ、ナモミハギ,ヒガタタクリ、シカタハギ、スネカ、アマミハギ、オドシなどの名でよばれ、東北に広く、また北陸地方へかけて分布している。九州では「かせどり」という。
2018年に「男鹿のナマハゲ」を含む10件が「来訪神:仮面:仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産に登録された。(12月31日)
参考文献:「男鹿のナマハゲ:実施状況調査報告書:ユネスコ無形文化遺産重要無形民俗文化財」男鹿のナマハゲ保存継承協議会 2021年
「ナマハゲを知る事典」稲雄次 柊風舎 2019年
大晦日から元日にかけて、発達した低気圧の影響で、北から東日本を中心に雪や雨、風が強く、荒れた天気となる見込み。新しい年は、平和で明るい社会であることを願いたい。青森県三戸郡五戸町では今でも年の暮れから正月にかけてミタマノママと呼ばれる風習が残っていると聞く。白餅と赤餅とを菱に切って神棚に供える。盛岡では卵のように飯を握って年の内に供え、後で苞に入れて乾かしておく。山形県最上郡安楽城村では米飯を擬宝珠形に握るのを本式とする。ミタマノママとは「御魂の飯」(みたまめし)と書き、「みたま」を御先祖様と解し、大晦日の夜の先祖祭への供物である。オミタマサマ、ミタマメシ、ミタマ、ニダマなどともいう。
かつて日本には一年に盆(7月)と正月(12月)、先祖祭の日があった。「徒然草」第19段に「亡き人の来る夜として魂祭るわざは、このごろ都にはなきを、東の方にはなほすことにてありしこそあはれなりしか」とある。つまり兼好の時代には京都ではもう12月には祖先祭祀の風習はなくなっていたが、関東には昔の風習が残っていたようだ。お盆が仏教による魂祭りであったのに対し、大晦日の祭りは仏教的な色彩がうすれて、地方において神祭的なものになっていったのはなぜだろうか。(参考:田中久夫「みたまのめし」史泉第50号 昭和50年) 12月31日
大晦日定めなき世の定めかな(西鶴)
ともかくもあなたまかせの年の暮れ(一茶)
高窓に星吹き寄せぬ除夜の鐘(花野女)
大晦日を「除日(じょじつ)」ともいう。旧年を除く日ということである。除日の夜が除夜だ。除夜の鐘を108つくのは、中国の仏教儀式で、宋時代から始まったという。ただつけばよいというわけではなく、交互に、強く54点、弱く54点、そして107点までは旧年に、最後の一点を新年につく。一年の無事息災と豊作を祈念する意味がある。
108の数は、1年12ヵ月と、立春などの24節気、それを三分した72候、の合計だというが、後に108の煩悩を一つずつ消すためといわれるようになった。108の煩悩とは、六根(眼、耳、鼻、舌、身、意)と六塵(色、声、香、味、触、法)におのおの好、悪、平があるので、計36程の煩悩が生じ、それが過去、現在、未来あるので108となる。
古くは1日が夜からはじまって朝につづくと考えられていたので、祭は多く前夜から行われた。年越しの祭も前夜からはじまるとし、大晦日の夜を「おおとし」「としのよ」といい、年神(歳神)を迎るために厳重な物忌をし、夜通し起き明かすのが古風な作法であった。今でも除夜の鐘を聞くまで床に入らなかったり、早く寝ると白髪になるとか、しわがよるとかいい、また寝るというのを忌んで、「寝る」ことを「稲を積む」という地方もある。また年ごもりといって、この夜は神社に参籠(さんろう)して夜を明かすところがあったが、現代では一般にそれを簡略して夜中に参るか元旦未明に参るようになった。また「歳籠り」といって氏神の社にこもって夜を明かす風習もあり、京都祇園社の「おけら祭」などのように、古い社では除夜に、新しく火を鑽り出し、氏子に配る行事がある。農家などでは、大歳の晩から元旦にかけて、いろりの火を絶やさぬようにするところも多い。この際、火種にする薪を「ようぎほだ」「せちほだ」などと呼び重要視した。そのほかいろりや氏神の境内で大火をたくところもあり、兵庫県では「年越しとんど」といって、古い注連縄などの神飾りの不用なものを焼くところもあった。
毎年11月15日に、3歳・7歳の女児と5歳の男児を、お宮詣りに連れていく慣習を七五三という。天和元年(1681年)11月15日に徳川綱吉が長男徳松(1679-1683)の健康を祈って始まったとされる。しかし徳松は3年後、5歳で夭折した。やがて武家社会の習俗として広まり、5歳の男児の祝いを「袴着」、7歳の女児の祝いを「帯解き」といっていたものが、明治以後一般化した。しかし、子供の成長段階のある時期に厄払いする習慣はかなり古くからあり、地方によっては男女3歳のときに「髪置きの祝い」と称して、身分を問わず頂髪を置く習慣があり、7歳の女児は「おびとき」「おびむすび」の祝いといい、部落の祭礼の日を選んでお宮詣りする風習もあったという。いずれにせよ、子供の死亡率の高かった昔は、3、4歳のころはじめて人別帳や氏子帳に登録をしたり、7歳前の子供の死亡は本葬を行わないという習わしもあったほどであるから、子供が3・5・7歳という幼児期の節目を無事に通過して成長したことを感謝し、将来の健康を祈ったということはうなずけることである。なお11月15日は霜月祭(氏神祭)に当たる。
仮装やコスプレをして、パーティを開いて楽しむハロウィーンもずんぶんと広まってアジアにも定着してきました。でもハロウィンが日本で知られるようになったのは1970年代になってからのことです。レイ・ブラッドベリの小説「ハロウィーンがやってきた」(1975年)やジョン・カーペンター監督の「ハロウィン」(1978年)などによるものです。ハロウィーンを題材とした映画は意外と少なくて「キャスパー」(1995年)や「ホーカス・ポーカス」(1993年)など数本しかありません。東京ディズニーランドでイベントが催されたり、渋谷で大勢の若者が集まったりして、日本でも90年代末頃から浸透してきました。でも雑踏にはご用心!2021年はには韓国・ソウル梨泰院で集まった多数の若者たちが転倒して158人が死亡するという痛ましい事故が起こりました。韓国語では「イテウォナプササゴ」と呼ぶらしい。大半が20代から30代の若者たちである。なぜこれほど大数の若者が1カ所に集結したのであろうか。死因の多くが圧死という。厳しい受験競争や兵役がある韓国では、ストレス発散になるハロウィン・イベントは孤独な若者が自分を発散している側面がある。トックと呼ばれる若者たち(日本語のオタクが訛った言葉)が、大好きなことを、思いっきり楽しもう、という感覚がある。そもそもハロウィーンって何なのか?もとはアングロ・サクソン系の祭日。10月31日すなわちキリスト教の万聖節の前日をいう。古くはヨーロッパの原住民ケルト族の収穫感謝の祭日「サウィン祭」で、ケルト暦の大みそかにあたり、ケルト伝説によればこの夜、悪霊たちが迫りくる長い冬を避けて遠くに飛び去り、魔術師たちが戸外を駆け巡って来年の予想を声高に叫び歩いたという。現在でもこれらの習慣が残されており、仮面をかぶって広場で踊り、子供たちがカボチャをくりぬいたランプを提げて行脚を行う。「ジャック・オ・ランタン」(Trick-or-treating)と言って近所を回る。本来はカブのランタンをともしながら暗い道を歩き続けたというアイルランドの伝説に由来される。
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