無料ブログはココログ

2023年9月19日 (火)

ラーメン1000円の壁

1  「B級グルメ」、「庶民の食べ物」として長らく愛されてきたラーメンだが、今や1杯1000円前後する店も増えてきた。ラーメンを構成する肉類や魚介類、調味料、小麦など、あらゆる食材の価格が上がっており、これまでの価格を維持することが困難になってきたからだ。昭和45年ころのテレビドラマを見ていたら、コーヒー1杯がちょうど100円だった。コーヒー1杯の値段で戦後の物価の変遷がわかるだろう。昭和29年頃は50円。昭和45年頃は100円。昭和50年頃は200円。昭和62年頃は300円。現在は400円ぐらい。もちろん高級店はいくらもあるだろうが。ちなみに少年マガジンが昭和34年創刊当時、40円で現在は300円。戦後から今日までの78年間、価格が変わらず安定しているのは鶏卵だけである。下のグラフは昭和35年から平成22年までの食品を主にした物価の推移を示すものであるが、「卵は物価の優等生」といわれていることがよくわかる。丸田勲によると、江戸時代、卵は現代の価格になおすと約1個400円くらいだった。しかし昨年末から、卵の価格が高騰し、現在も値上がりが続いている。甲子園名物「かちわり氷」は1袋200円、甲子園のビールは1杯750円。東京ドームの生ビールはなんと900円。

 

20130121002435_2

 

 

2023年3月 4日 (土)

国家と戦争

Img_0014 ホッブズ「リヴァイアサン」扉絵

 

  歌人というのは一般人より言語感覚に鋭いのだろう。道浦母都子の朝日新聞2009.9.13付論稿「国家戦略局、違和感ある政治用語一新を」は考えさせられるものがある。民主党新政権が作り出した新しい機関「国家戦略局」という名称が戦争を想起させるもので政治用語として適切でないという趣旨である。決して機関設立そのものへの異議ではない。単なる言葉だけの問題ではあるが、歌人ならではの意見であろう。同様の趣旨は朝日新聞の投稿欄「声」にもあった。国家は国家総動員法を想起させるとのことであった。しかし単に「国家」がいけないのであれば、「国家公務員」「国家賠償法」「国家補償」「国家法人法」などいくらでも使用例があり、一笑にふされるであろう。現在、地球上の民族は国家を一つの単位として国家を構成し、国権の発動する機関であるので、「国家」の政治用語としての使用に関しては全然問題がないといわざるをえない。

   しかしながら、歴史家の立場として考えてみると国家と戦争とは常につきまとうのも事実である。中世封建社会の変化により、ヨーロッパの各国では国王による中央集権化が進み、近代市民社会への過渡期にあたる絶対主義体制が成立した。16世紀におけるスペイン、イギリス、17世紀のフランスがその典型であるが、18世紀初めのスペイン継承戦争によりスペインが没落し、かわってオーストリア、プロイセン、ロシアが登場した。これら諸国はヨーロッパの覇権をめぐってたえず争いを続けた。とくに17世紀に覇をとなえたフランスは、たびかさなる戦争で財政難をおこし、18世紀後半に革命を起こすに至った。ナポレオン戦争後の19世紀のヨーロッパは、自由主義と国民主義、そして帝国主義へと移行した。近代化に遅れた日本も明治国家となって帝国列強に加わるようになる。そして日清、日露戦争に勝利する。帝国主義の時代は、まさに現代史の玄関口といえる。

   歌人・与謝野晶子には二つ年下の籌三郎という弟がいる。明治37年秋、晶子は旅順に出征している弟に「君死に給ふこと勿れ」とよびかける詩を「明星」に発表した。「旅順の城はほろぶとも、ほろびずとも何事か」と決然といいきった。非国民と非難されても、晶子は「少女と申す者は誰も戦争ぎらいに候」と答えたという。国家よりも肉親の情が大事であることはいつも世も変わりない。やはり「国家戦略局」は陳腐な名称である。2011年3月11日に東日本大震災が発生し、その対応のために法律案はいったん撤回され、その後自然消滅した。

2023年1月17日 (火)

阪神大震災きょう28年

Hansin01

 

 以前に放送されたNHKのニュース番組で放送された小さなお話。

    神戸市長田区の写真屋Aさんは震災でお店が全壊した。すでに60歳を超えていたAさんは店の再建を断念した。手許には1月17日の数日前に撮った成人式の晴着姿の記念写真があった。Aさんはノートを頼りに14年間、現住所を調べて記念写真をお客様に届けた。だが14年たった今も行方のわからない写真が2枚あった。それも今年Aさんの努力が実ってようやく振袖姿の写真を渡すことができた。14年後に受け取った女性の喜びはどんなであろうか。その女性は受け取り書を今も大切に保管していたという。当たり前の話で小さな話だが視聴者にも大きな感銘が伝わってくる。写真屋Aさんのほっとした表情がなにより印象的であった。

2022年9月19日 (月)

予測困難な「ブーカの時代」、30年後あなたは生き残れるか?

 2022年の世界は、相次ぐ気候変動と大規模な自然災害と新型コロナ感染症の蔓延、そして世界の政情不安。たとえば大国主義に復帰しているロシアがウクライナへ軍事侵攻、中国ナショナリズムが拡大し、東アジア安定の脅威となっている。グローバル複合危機と多様化の世界の中で、人口減少、少子高齢化、新型ウイルスの蔓延、IT技術の急速な進歩、諸物価の高騰と貧富格差・・・私たちを取り巻く環境が目まぐるしく変化するとともに、複雑になってきます。先行き不透明で、将来の予測が困難な、いわゆる「ブーカの時代」が到来します。VUCAとは、英語の変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字をとった略語で、元々は1990年代後半に軍事用語として発生した言葉ですが、冷戦が終結した後の複雑化した国際情勢において、戦局の見通しがしずらい状況に対して使われていました。今年起こったロシアによるウクライナ侵攻や、国内で起こった安倍晋三暗殺事件などはまさしく「ブーカの時代」の到来を象徴するかのような出来事です。長年日本を牽引してきた強いリーダーを失った日本は今後どうなるのか。急速に進む円安の影響が秋の物価高を生む中、岸田首相は安倍氏の国葬を強行し、その支持率は急降下している。まるで幕末、桜田門の変のような激動の時代のうねりが起こっている。上級国民だけが得をして、若者たちは非正規や派遣で低所得で苦しむ社会格差に対して怒りが爆発するであろう。今後、マイナス成長が常態化した場合、2050年には、推計人口は9500万人で、生産年齢人口と老年人口が逆転し、債務残高GDP比は約500%まで拡大し、国民保険制度や年金制度の維持は困難となるだろう。まあ、わたしは100歳になっているので、この世にはいないが。

2022年7月31日 (日)

経済学入門

Macaquemonkeys_2    明治の経済学者で東京商業学校の和田垣謙三は貧乏でいつも借金取りに追われていた。このことを知っていた生徒たちは「手っ取り早く金儲けをする方法は?」と意地の悪い質問をした。すると、和田垣は「サルの毛を抜け」と答えた。生徒たちはみな首をかしげて考えたが意味が分からない。サルは英語でmonkey、毛(k)を抜くと、すぐさまカネ(money)になる。

 人はパンのみにて生きるものにあらずとしても、パンなくし生きることはできない。山上徹也も革命思想によって凶行に及んだのではなく、手元資金が底をついたがゆえの犯行である。つまるところ人間社会の基本は経済にある。そこで経済学についてわかりやすく書かれた本といわれる、熊谷尚夫「経済原論」を読んでみる。ミクロ経済学、マクロ経済学。60頁を過ぎたあたりで、数式や図表、関数などが出てくる。やはり高校数学の基礎的学力がないと経済学は理解できないとわかった。

2022年6月13日 (月)

ジェボンズの太陽黒点説

   イギリスの経済学者ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ(1835-1882)は、太陽黒点の周期的増減が気象の変化をもたらし、農作物の収穫に影響を与えることから、景気循環が生じるという太陽黒点説を1875年頃、大英学術協会で提起している。

2022年4月11日 (月)

貧困をなくそう

はたらけど
はたらけど猶わが生活楽にならざり
ぢっと手を見る

 世界には極度な貧困に苦しむ人々がまだ多くいる。ブラジルでは、都市部の郊外に低所得者の住むファーベラ(スラム)が点在している。農村部から職を求めて流入してきた人々が、不便な岩山の斜面や河川敷などの空き地を不法占拠し、密集する粗末な建物に居住する。学校に行けず、物乞いや物売りをする子供たちも多く、彼らはストリートチルドレンとよばれる。経済発展し、オフィスビルが立ち並ぶフィリピンのマニラにも、貧しい人々が生活するスラムが点在している。かつてマニラ近郊のごみ投棄場は、廃品を回収する貧しい人々が集まってスラム化し、「スモーキー・マウンテン」とよばれる地域があった。

 

 

Photo

 

    日本は格差社会か?イタリアの統計学者コッラド・ジニ(1884-1965)が考案した所得分配の不平等さを表す指数をジニ係数という。全員が同じ所得の完全平等社会であればジニ係数は0となり、格差が大きくなるほど1に近くなる。ジニ係数を国別にみると、北欧はじめとするヨーロッパ諸国は低い。一方、ジニ係数の数値が高いのは、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国や中南米諸国で、ひと握りの階層に富が偏在している。

 

格差が大きい国
ナミビア     0.743
レソト           0.632
シエラレオネ   0.629
中央アフリカ  0,613
ボツワナ     0.605

 

格差小が小さい国
デンマーク    0.247
日本       0.249
スウェーデン  0.250
チェコ       0.254
ノルウェー   0.258

 

国や地域によって統計年が異なる。(成美堂出版「世界地図2009」より)

 

    日本はジニ係数は低い。かつて日本は生活程度や社会的地位が中程度の階層が多い、中流階級の国といわれた。だが近年、高齢者世帯の増加、若年層における格差や地域間格差がみられ、ジニ係数が低いからといって格差がないという実感はまったくない。むしろ、日本は貧困率は高い。貧困率とは、さまざまな算出方法があるが、OECDでは年収が全人口の平均年収に満たない人口の割合を貧困率と定義している。非正規雇用者の増加による労働市場の二極化などにより所得格差は拡大しつつある。

 

 

2020年2月21日 (金)

コンドラチェフの波

Wave1

 

Photo_3  平均周期が50年(40~60年)のコンドラチェフの長期波動に関心が高まっている。景気の長期循環を唱えたニコライ・コンドラチェフ(1892-1938)は旧ソ連の経済学者で、1930年、当局と意見が対立してソ連政府に逮捕され、1938年9月17日、不遇のうちに獄死している。景気循環の統計的研究により、資本主義経済には長期波動が存在する。本日はコンドラチェフの誕生日。(Nikolai Kondratiev、2月21日)

 

 

2017年4月26日 (水)

小沢一郎とボンカレー

   いまレトルトカレーが人気である。東日本大震災が契機ともいわれし、その種類が豊富なことも一因である。さて最近あまり動向を聞かない政治家、小沢一郎。カナリア、インコ、文鳥など、小沢一郎が自宅で飼っている小鳥は40羽以上いる。これらの小鳥のえさやりなど世話をするのは、住み込みしている書生たちの仕事である。小沢邸では働いている秘書や書生は常時20人ほどいる。午前5時に起こされて、庭の草むしり、犬の散歩、小鳥の世話、朝食の準備、と目の回る忙しさ。あるとき小沢はゴミ箱から封を切らないレトルトカレーを見つけた。「お前はボンカレーを捨てただろう」と書生にいった。「先生、賞味期限を1ヵ月も過ぎていました」と書生は答えた。「実際に食べてみてダメだと思ったら捨てろ。食べてもいないのに表示だけを信じるな」と小沢は注意した。人の噂やレッテルをむやみに信じず、自分で体験して納得したことだけを信じろと諭したのである。

2016年12月 7日 (水)

貧乏人は麦を食え

   むかし中国で生まれつき暗愚な皇帝(西晋の恵帝)がいて、飢饉で多くの餓死者が出ているのに、「飯が食べられないなら肉のおかゆを食べればよいのに」といった話が残っている。

    古い話だが、日本でもこんな話があった。昭和25年12月7日、池田勇人が大蔵大臣の時代、木村禧八郎の米価値上げに関連する質問で、「ご承知の通り戦争前は米100に対して麦は64%ぐらいの割合であります。そして今は米100に対して小麦95、大麦は85ということになっております。そうして日本の国民全体の、上から下と言っては何でございますが、大所得者も、小所得者も同じような米麦の比率でやっております。これは完全な統制であります。私は所得に応じて、所得の少ない人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食う、というような、経済の原則にそういうほうへ持って行きたいというのが、私の念願であります」と答弁した。これが「貧乏人は麦を食え」という見出しで新聞に載り、各方面から強い批判が出された。

    最近では玄米や麦は健康にいいという。また野菜中心のベジタリアンは本当に健康的なのかも疑問がある。家内は10年間野菜中心のダイエット食だが、お腹が空くらしく間食が多く、どうみても不健康だ。

より以前の記事一覧

最近のトラックバック

2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31