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2017年8月 7日 (月)

本の敵

  イギリスのウィリアム・ブレイズ(1824-1890)は、「書物の敵」で、本の10敵として次のものをあげている。火、水、ガスと熱、塵となおざり、無智と頑冥、紙魚、その他の害虫、製本師、蒐集家、下卑と子ども。19世紀の話なので多少修正する必要があるだろう。ともかく火と水は最大の敵であろう。火事や津波は大敵である。しかし歴史的にみるなら政治的な権力者も図書館にとっては敵である。知事の一声で図書館が廃止になることもある。シーザーは70万冊のアレキサンドリア図書館を、みな焼いてしまった。前221年、秦始皇帝が六国を統一したとき、思想統一をはかるため多くの図書を焼いたといわれる。フランスに侵入したオータンのドルイド教団の数千巻の図書もみな焼かれた。カルタゴの50万巻の図書館もローマ人に焼かれた。デ・ランダというスペインの宣教師は、1562年にメリダでおこなった宗教裁判で、無数のマヤの絵文書を焼き捨ててしまった。彼らの行為は、異文化への破壊行為である。図書の最大の敵は人間であるといえる。現代の図書館においては過去の歴史にもないような大量の図書廃棄が行われている。デジタル化による紙文書の省スペース化であるが、なかには書物破壊症(ビブリオクラスト)のような館員もいる。書物破壊狂に呪いあれ!William Blades

無人島に本を一冊だけ持ってゆくとすれば

Img_0005_2     無人島に本を一冊だけ持ってゆけるとすればどの本をあなたは選びますか?という質問にあなたは、とう答えるだろうか。わたしならダンテの「神曲」とか中原中也の詩集だとか、「万葉集」とか「古今集」とか「唐詩選」と、いろいろな書名が考えられ、迷ってしまう。イギリスの推理小説家チェスタトンの「造船術の本」というユーモラスな回答もよく知られている。だがやはり欧米人には聖書と答える人が圧倒的に多い。このことを最初に明言した人はだれだろう。ドイツ系ロシア人の哲学者で東大で教鞭をとり、学生の人気を集めたラファエル・フォン・ケーベル(画像1848-1923)らしい。彼は「ケーベル博士随筆集」のなかで「無人島に1年間流されるとしたら、自分が選んでもってゆく一冊は、まず聖書である」と述べている。かれは次に、「ファウスト」「ホメロス」「ドン・キホーテ」、ニーチェのもの、ベートーベンの楽譜などをもって行きたいと書いている。(Raphael Koeber)

2017年7月26日 (水)

最近よく読まれている本

Img_01   読書家には大きく2つのタイプに分けられる。新刊派と古典派である。新刊派は直木賞や芥川賞といった話題の小説を読んだり、マスコミで取り上げられる新刊書ばかりを漁る。一方の古典派は自己の研究分野の資料だけを求めて、世間の流行の本には無関心である人が多い。わたしは、古典派であるが、やはりトレンドは知っておくに損はない。数年経って出版回顧の時にリアルな記憶があるのとないのとでは違うからである。今よく読まれている本は、「儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇」「宝くじで1億円当たった人の末路」「どんなに体がかたい人でもベターツと開脚できるようになるすごい方法」「はじめての人のための3000円投資生活「応仁の乱」「モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット」「肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい」「サイコパス」「一汁一菜でよいという提案」「がんで余命ゼロと言われた私の死なない食事」「住友銀行秘史」「えんとつ町のプペル」「嫌われる勇気」「成功している人は、なぜ神社に行くのか?」「やめてみた。本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方」「こころの匙加減」。

2017年7月11日 (火)

予約が多い本ランキング

   ある図書館のホームページによると、いま予約の多い本の上位は次の通り。

恩田陸「蜜蜂と遠雷」、宮部みゆき「この世の春」、柚木麻子「BUTTER」、村田沙耶香「コンビニ人間」、塩田武士「罪の声」、森絵都「みかづき」、村上春樹「騎士団長殺し」、池井戸潤「アキラとあきら」、川口俊和「コーヒーが冷めないうちに」、又吉直樹「劇場」。トーン・テレヘン「ハリネズミの願い」。「罪の声」はグリコ・森永事件を題材にしている。

2017年6月 4日 (日)

広沢が借りた本の謎?

   ドラマ「リバース」の事件の真相も徐々に明らかになってきた。しかし告発犯は美穂子ちゃんのほかにもう一人いる。武田鉄矢を襲った左腕の男。もちろん原作があるので結末はわかっているが知らないほうが面白い。ところで第8話で広沢が浅見から借りたままになっていた文庫本の話があった。原作にあるのか確認していないが、ドラマでは吉川英治の「宮本武蔵」だった。今どきの青年にはちょっと古風な感じがする。湊かなえの原作が講談社から刊行しているので吉川英治なのか。

2017年4月20日 (木)

海上述林

   「海上述林」(かいじょうじゅつりん)。中華民国初期の革命家、瞿秋白(1899-1935)の著作。瞿秋白と魯迅の間には深い交流があった。秋白が逃亡中に逮捕された際、魯迅は彼を救おうと努めたが果たせず、魯迅は瞿秋白の処刑後の遺稿である「海上述林」を編集、民国28年(1939)刊行した。

2017年4月15日 (土)

みんなの本屋へようこそ

   NHKにっぽん紀行。北海道留萌。人口2万人ほどの小さな町むに、住民から「宝箱」と呼ばれ愛されている一軒の本屋がある。本屋さんはいろいろな文化の発信地で町の人たちの支えがあって成り立つ。塚田さんご夫婦はボランティアでここに勤めている。絵本「はなのすきなうし」を子供たちに読み聞かせ。本屋にも何冊も置いている。岩波書店の本で買い取り制なので本屋にとってたいへんだろうけど店長もがんばってるね。ほっこりする心あたたまる番組である。

2017年3月26日 (日)

外題学問

   小説、ドラマ、映画などタイトルが大事だろう。いかに読者(視聴者)の関心や興味をひきつけるか。最近、「亀は意外と速く泳ぐ」「亀も空を飛ぶ」「人のセックスを笑うな」「ニワトリはハダシだ」「暗いところで待ち合わせ」「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」など長いタイトルで内容がわからないものがウケているようだ。昔なんだか分からないタイトルには名作が多かった。「熱いトタン屋根の猫」「欲望という名の電車」「月曜日には鼠を殺せ」「逃げるは恥だが役に立つ」などなど。「郵便配達は二度ベルを鳴らす」には郵便配達夫は登場しない。運命はさけられない、という意味らしい。ひところ流行った「○○物語」とかヒロインの名前のもの、などありふれたタイトルは影をひそめている。小津安次郎の「東京物語」、今井正の「純愛物語」など名作にあやかり、「早春物語」「愛情物語」「仔鹿物語」「国東物語」「子猫物語」「南極物語」「タスマニア物語」「花物語」「パンダ物語」が続々公開された。女性ヒロインをタイトルにするのは、NHKの朝の連続テレビ小説が得意だが昭和58年の「おしん」では大ヒットだったが、以降、「チョッちゃん」「ノンちゃんの夢」「純ちゃんの応援歌」「和っこの金メダル」「ひらり」「かりん」「ぴあの」「あぐり」「あすか」「さくら」「こころ」「つばさ」と逓減している。思うに「○○物語」とか「つばさ」とか、作品のコンセプトがタイトルにでていない。書名も洒落たタイトルには名作がある。好きなタイトル。「ちょっとピンボケ」(写真家ロバート・キャパ)、「ツァラトゥストラはかく語りき」(ニーチェ)、「死にいたる病」(キルケゴール)、「五体不満足」(乙武洋匡)、「狭き門」(ジッド)、「サラダ記念日」(俵万智)。

   数年前に映画「魁!!クロマティ高校 THE☆MOVIE」という映画が封切り前になって、元巨人のウォーレン・クロマティから無断で名前を使用されたというパブリシティ権の侵害が東京地裁に仮処分申請があった。「実在の人物とは無関係」というテロップを入れることで合意した。その後、損害賠償に関する動きについては不明である。原作は既に7年間も少年マガジンに連載されたものであるので、日本側では今さらの感がなきにしもあらず、という一件だった。スポーツ漫画は伝統的に実名が登場するのが当たり前になっている。つかこうへいの「長嶋茂雄殺人事件」(昭和61年)などもとくに問題にはならなかった。過激なタイトルを求めるあまり、とこまでが許容されるのかいろいろ問題を含んでいるようだ。

2017年3月10日 (金)

不安な時代を生き抜くには

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   あれから6年。いま世界中で巨大地震が発生するという予言で、人びとがつねに不安に怯えている。まして日本は大震災の余震と、原発への恐怖など心やすまる日々はこない。テレビや雑誌を見るとさらに不安は増幅される。ある日、古い雑誌を気まぐれに読んでみた。そには麻生太郎がさいとうたかおなどと漫画論議をしていた集会であった。ああ、平和で暢気な時代があったことを忘れていた。あの頃はなんとおバカなニュースばかりだったことか。それに比べ今はどうすることもできない深刻で一個人ではどうすることもできない暗い話題が多すぎる。精神的には古い雑誌を読むに限る。

2017年2月23日 (木)

グーテンベルク「ワインと印刷」

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  アメリカの書誌学者ダグラス・C・マクマートリーは「人類の文化史上、重要さの点で活版印刷術の発明に勝る大きな出来事はない」と言い、イギリスの評論家トーマス・カーライルは「近代文明における偉大な3要素は、火薬と印刷と新教徒の宗教である」と言っている。

   長い間いろいろな説があったが、今日では、ドイツの金属職人ヨハネス・グーテンベルク(1399-1468)を印刷術の発明者とするに異議をはさむ者はほとんどいない。グーテンベルクが発明した印刷機は、オリーヴやブドウの搾り機からヒントを得て、木製の平圧式印刷機を作った。金属の活字にインクを付け、紙に押しつける、この技術がブドウ搾り機によく似ている。その実用化は一般に1445年頃とされる。これを企業化させたのは、ヨハン・フスト(1400-1466)とペーター・シェッファ(1430頃-1503)で、彼らはグーテンベルグから未完のまま引き継いだ「グーテンベルグ42行聖書」(1455年刊)を完成させ、「聖詩篇」(1457年刊)、「48行聖書」(1462年刊)、その他数多くの書物を刊行した。(2月23日、Johannes Gutenberg)

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