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2023年10月18日 (水)

消えていくリアル書店

   コロナ禍で 消える街角 古本屋(凡児)

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本日は統計の日。総務省統計局による書籍新刊点数は次のとおりである。
   令和元年  71,903
      令和2年      68,688
      令和3年  69,852 

 むかし三笠書房のキャッチフレーズは「週に一度、本屋さんに行く人は必ず何かできる人」だった。  街を歩いていて、なにがしかのオーラを放つ古本屋さんに出会うと、うれしくなる。店内に入ると、大量の紙とインクの匂いがなつかしさを感じる。でも最近街の小さな古本屋や貸本屋をほとんどみかけなくなった。本の出版点数はそれほど減っていないが、新刊書店は減少している。活字離れなどを背景に、経営不振などによる書店・古本屋の閉店が相次いでいる。リアル本屋は斜陽業界なのだ。1999年には2万2296店だった本屋が、2020年には1万1024店、つまりこの21年間で1万1272店ほど本屋が減少した。原因としては①ネット書店の普及②若者が本を読まなくなった③不景気、ながびくデフレと低所得④図書館を利用するほうが安上がり、などの理由が考えられる。

   地方の書店が減ることは当然、出版業界にも悪影響を及ぼす。優秀な人材は出版界に就職しなくなる。良書を出版していた零細出版社は倒産する。村上春樹の小説がいかに売れようが、新潮社や講談社が肥大になろうが、問題は多様性を失うことで日本の言論は大きく低下し民主主義はさらに失速する、という悪循環がおこる。やはり地方の書店を育てなければならない。かつて公共図書館は地元の図書館から直に本を購入していたが、コンピューター化と装備の委託化で大手の取次ぎから直接購入するようになった。これも地方の書店の経営を悪化させた。寡占化が文化を滅ぼす。(10月18日)

 

2023年8月 7日 (月)

無人島に本を一冊だけ持ってゆくとすれば

Img_0005_2     無人島に本を一冊だけ持ってゆけるとすればどの本をあなたは選びますか?という質問にあなたは、どう答えるだろうか。わたしならダンテの「神曲」とか中原中也の詩集だとか、「万葉集」とか「古今集」とか「唐詩選」と、いろいろな書名が考えられ、あれこれと迷ってしまう。イギリスの推理小説家チェスタトンの「造船術の本」というユーモラスな回答もよく知られている。だがやはり欧米人には聖書と答える人が圧倒的に多い。このことを最初に明言した人はだれだろう。明治期にドイツ系ロシア人の哲学者で東大で教鞭をとり、学生の人気を集めたラファエル・フォン・ケーベル(画像1848-1923)らしい。彼は「ケーベル博士随筆集」のなかで「無人島に1年間流されるとしたら、自分が選んでもってゆく一冊は、まず聖書である」と述べている。かれは次に、「ファウスト」「ホメロス」「ドン・キホーテ」、ニーチェのもの、ベートーベンの楽譜などをもって行きたいと書いている。しかし有名なデフォーの「ロビンソン・クルーソー」(1719)のなかで絶海の孤島に流れついた主人公が「聖書」を読んで信仰の支えにしたことを書いている。ケーベル博士のように、物静かに哲学に生きていきたい。(Raphael Koeber)

 

 

 

 

 

 

2023年7月 3日 (月)

世界の中心で、愛をさけぶ

9a7a22d7c0e4732497031495c8be91801  「世界の中心で、愛をさけぶ」は、2001年4月20日発行の片山恭一のベストセラー小説である。一説によると紫咲コウの本の帯にある「泣きながら一気に読みました」というコピーが若者たちにブームの火をつけたといわれている。ただ小説の評価としては、初恋の相手が白血病で死ぬというベタな話が「あまりに通俗的」(朝日新聞2003.12.3記事)であり、斉藤美奈子も香山リカら評論家(?)の意見も若者たちは経験が少ないので陳腐な内容であってもそれを新鮮に感じるという程度の評価であった。ところで紫咲コウのコピーの元ネタは雑誌「ダ・ヴィンチ」のインタビュー記事である。「『世界の中心で、愛をさけぶ』は、久々に純粋に物語として楽しめた作品。本屋さんでみつけて、たまには恋愛ものもいいかなと思って。(笑)これは、泣きながら一気に読みました。それに、全体にユーモアもあって、ちょっとしたひとことも面白いんですよ」とある。

   斉藤美奈子や香山リカには、理解できない、あるいは感じとれない部分を紫咲コウは楽しんで読み取っていたようだ。そのベストセラーの謎をライターズ・ジム(見崎鉄)は「謎解き世界の中心で、愛をさけぶ」という本で丹念な作品研究をしていて面白い。単なる便乗本ではない。とりあえず今回はヒロインの広瀬アキを中心にまだ小説を読んでないかたのために紹介しよう。

広瀬アキのプロフィール 風の谷のナウシカに似ている。性格は明るく勉強もできるために男子に人気がある。中学2年で同じクラスになる前からアキは朔太郎(小説の主人公)のことを見ており、彼の音楽の趣味(ロック)も知っていた。だが自分はロックは苦手で聞かない。また、音楽の授業で歌を歌わされたとき声が小さくて恥をかいたことがある。音痴なのかもしれない。小さいころから、ほとんど風邪もひいたことがなかったのに白血病で夭折する。

名前の謎 朔太郎は、つきあって4年近くもたつのに、アキの本名を季節の「秋」だと思っていた。それが間違いだということをアキの死の数日前に知る。本当の名前は「廣瀬亜紀」が正しい。また、彼女自身も自分の名前を「アキ」と片仮名で書いていた。その理由をアキの母は「面倒くさがり屋なのよ」と言っていた。この自分の名前に対する無頓着さを見崎鉄は次のように分析している。

   つまり「廣瀬亜紀」を「広瀬アキ」と簡略化して書くことに、どういう意味があるのでしょうか。普通、人は「広瀬」が「廣瀬」であることに特別さを見出し、面倒くさくても「廣瀬」と書くものではないでしようか。とくに名前にアイデンティティを託している人はそうですし、女性のほうが姓名判断などの占いを信じる傾向が強いから、なるべく正確に書こうとするものです。アキはこの点で変わっています。アキが漢字で「亜紀」と書かなかったために、名前のもつ呪術効果、つまり父親の願いである「白亜紀のように生命が栄えること」が発揮されなかつたのかもしれません。しかし「廣瀬亜紀」という文字はいかにも重い感じがすることも事実です。アキは自分の名前を「広瀬アキ」と書くことによって、両親の託した思いと表意文字としての漢字の二重の重みから自分を解き放ち軽くなりたかったのかもしれません。では、なぜ平仮名で「あき」とせずに片仮名で「アキ」としたのでしょうか。それは片仮名にしたほうが、「本当は漢字の名前だけど省略して片仮名で書いている」という「省略している」感じがよく伝わるからです。平仮名で「あき」と書いてしまうと、それが本当の記名だと誤解されてしまいますが、片仮名のほうがその可能性が少ないと言えます。また、小説として読むときも、平仮名で「あき」という名前でしたら地の文に埋もれて非常に読みにくくなりますが、片仮名でしたら名前がパッと目に入ってきます。アキが名前に頓着しないたちであることをよくあらわしているのが、朔太郎の呼び方です。「朔太郎」という時代がかった名前を大胆に省略して「朔ちゃん」にしてしまいます。アキの頭の中ではたぶん、もっと簡単に「サクちゃん」となっていたことでしょう。アキの名前に対する無頓着さは、彼女がおおざっぱな性格であることを表わしています。アキが深刻にならないことでこの小説は暗さから救われています。

   紫咲コウが指摘する「全体にユーモアがあって」と見崎鉄のいう「アキが深刻にならないことで小説は暗さから救われている」とは共通するものがある。容姿はナウシカに似た少女、透明感(実在感の希薄性)、無頓着さと明るさ、これらヒロイン広瀬アキの性格をうまく表出できたことが成功の要因の一つと考えられる。

 なお映画化に際しては片山恭一の小説では説明不足な部分があるので、脚本家が17年後の朔太郎と藤村律子との結婚を基本にオーストラリアのアキの遺灰をまくというラストシーンを加筆した。律子は当時9歳で、母親が亜紀と同じ病院に入院していて、2人は知り合いになった。手品を教えてもらうかわりに、亜紀の声を録音したテープを高校の下駄箱に入れる約束をした。しかし最後のテープだけは交通事故に遭い渡せなかった。結婚を前に控えて幼少期に育った四国の町へ赴いた。そこである真実にたどり着く。死んだ亜紀のことが忘れられない朔太郎と一緒にオーストラリアへ行って遺灰をまいて、「二人で世界の中心をつくろう」と誓う。

 

 

2023年6月13日 (火)

読書は最もストレス解消に効果的

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    ストレス解消にはさまざまな方法がある。お金の多寡と関係なく、楽しいことはいくらでもあるはず。家庭菜園、釣り、囲碁、カラオケ。イギリスのサセックス大学で読書、音楽鑑賞、一杯のコーヒー、テレビゲーム、散歩、のうちどれが一番ストレス解消に効果があるのかを実験した。その結果、読書が一番効果があることがわかった。ルイス博士は「我を失うくらいに本に没頭することが究極のリラックス法」だとコメントしている。読書療法は古くから言われているがなかなか進歩していない研究分野である。被験者によって読書の種類が異なる。昔は難しい本が効果的といわれたこともあるが、最近は雑誌など軽読書が良いと言われる。良書ではなく、その人にあった適書が大切である。

 

今日もやっぱり処女でした 夏石鈴子

 

冷蔵庫より愛をこめて 阿刀田高

 

転がる石のように 景山民夫

 

国語入試問題必勝法 清水義範

 

独断流「読書」必勝法 清水義範

 

メディアで欲情する本 別冊宝島

2023年5月19日 (金)

校正ミスはなぜおこるのか

 本日発行の四国新聞が日付を間違えて4月19日になっているらしい。こんな校正ミスは前代未聞だ。校正といえば新聞社や出版社だが、機密を要する大学入試問題は誰が校正しているのだろうか。2023年1月14日に行われた大学入学共通テストの世界史Bの問題で「科挙」を「科拳」、ウマイヤ朝初代カリフ「ムアーウヤ」を「ムアーウィア」と誤記があった。「科挙」とは中国隋代からはじまる官僚登用試験のことで、清末まで1300年間にわたり行われた。有能な人材を採用するものであるが、日本の大学入試試験もある種の科挙制度に類似するものであるといってもあながち間違いではない。ほかにも生物で「勾配」を「匂配」というミスがあった。なぜ厳正なる試験問題に単純な校正ミスが頻発するのか、情けない話である。印刷所、校正者など秘密性を保持するため少人数で行っているのであろう。3月には尼崎の中学校で卒業証書の校正ミスが起きた。「課程」を「過程」と変換ミス。欧米ならABCと直接入力するだけだが、日本語の場合、漢字変換するので同音異義語の選択にミスが生じることが多い。

 高級官僚の集まる政府でも菅政権の看板であるデジタル法案の関係資料に大量の誤りがあった。例えば「地縁」が「地緑」に、「昭和六十六」(実際には存在しない)や「海上保安長長官」(正しくは海上保安庁長官)といった誤記が計45カ所に上る。あり得ないようなミスで、「それこそデジタル技術でチェックできないのか」という声が上がっている。校閲ガールの石原さとみならどんなリアクションをするのだろう。

よくあるミス。

×すいません。 〇すみません

2023年5月 3日 (水)

本と読書に関する名言・ことわざ・文献書誌学

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   印刷術が広くゆきわたるまで、写本図書の利用は一握りの学者に限られていた。刊本の図書がその数を増すにつれて、書物は万人のためにあり、民主主義の精神にとって重要であることがわかってきた。ここでは、古今東西の本と読書に関する格言・箴言・名言・文献を集める。

有益な書物とは、読者に補足を要求せずにはおかれぬような書物のことである。(ボルテール)

 

三日、書を読まざれば、語言味わいなし。(世説新語)

 

単に知るのみならず、その知識に従って行動せよ。(フィヒテ)

 

どの時代にもそれぞれの課題があり、それを解くことによって人類は進歩する。(ハイネ)

 

人生の至楽は読書にあり。(永井荷風)

 

書物はひもとかなければ、一片の木片にすぎない。(イギリスのことわざ)

 

A closed mind is like a closed book,just a block of wood.

 

閉じられた本は塊でしかない

 

A book that is shut is but a block.

 

すべて良き書物を読むことは、過去の最もすぐれた人々と会話をかわすようなものである。(デカルト)

 

書を読みて栄える者を見たり、書を読みて落ちぶれる者を見ず。(金言童子教)

 

機知に富みうちとけた言葉は永久に生命を持つ。(ゲーテ)

 

身体には鍛錬、心には読書。(アディソン)

 

この世のあらゆる書物もお前に幸福をもたらしはしない。だが書物はひそかにお前自身の中にお前を立ち帰らせる。(ヘッセ)

 

書物なき部屋は魂なき肉体のごとし。(キケロ)

 

私の実際的な読書の法則は三つある。
1.一年を経過していない本はどれも読まないこと
2.有名な本のほかは読まないこと
3.好きな本のほかは読まないこと(エマーソン)

 

私は人生を知ったのは人と接したからではなく、本と接したからである。(アナトール・フランス)

 

人生は短い。この書物を読めばあの書物は読めないのである。(ラスキン)

 

人の品格はその読む書物によって判断できる。それはあたかも、人の品格がその交わる友によって判断できるがごときものである。(スマイルズ)

 

本の世界では物事が説明されるが、実人生では説明なんかありはしない。人生よりも本を好むという人がいるが、驚くにはあたらないと思う。本は人生に意味づけしてくれるものだから。(バーンズ「フローベールの鸚鵡」)

 

読書百遍、義自(ぎおのずから)見(あら)わる。(魏志)

 

万巻の書を読み万里の路を行けば自ずと胸中に自然が映し出されるようになる。(董其昌)

 

読書とは、著者の魂との邂逅である。(亀井勝一郎)

 

読書は人間としての純粋な時間である。(亀井勝一郎)

 

インドの全財宝をあげても、読書の楽しみには換え難い。(エドワード・ギボン)

 

書物は友人と同様、数多くあるべきであり、そしてよく選択すべきである。(フラア)

 

読書のほんとうの喜びは、なんどもそれを読み返すことにある。(ロレンス)

 

読書に費やしただけの時間を、考えることに費やせ。(アーノルド・ベネット)

 

書物は一冊一冊が一つの世界である。(ワーズワース)

 

用例なき辞書は骸骨である(ヴォルテール)

 

書物を読むということは、他人が辛苦してなしとげたことを、容易に自分に取り入れて自己改善する最良の方法である。(ソクラテス)

 

本は知性のさまざまな機能に働きかける(フランシス・ベーコン)

 

おろかな学者は、おろかな馬鹿者よりも、ずっとおろかである(モリエール)

 

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   書物に関する文献目録

図書の部
倭板書籍考 幸島宗意撰 1702
官板書籍解題略 杉山精一訳 1847
日本書籍考 林羅山撰 1850
文芸類纂 榊原芳郎 1878
古梓一覧 西村兼文 1882
本朝書籍刊考 黒川真頼 1895
日本訪書誌 楊守敬 1897
国書解題 佐村八郎 1897
日本印書考 中根粛治 1899
明治出版史話 三木佐助 1901
古文旧書考 島田翰 民友社 1905
漢籍解題 桂五十郎 明治書院 1905
近藤正斎全集 近藤守重 1907
日本古刻書史 朝倉亀三 1907
徳川幕府時代書籍考 牧野善兵衛 1912
朝鮮図書解題 朝鮮総督府 1914
江戸物語 和田維四郎 1915
慶長以来書賈集覧 井上和雄編 1916
嵯峨本考 和田維四郎 1916
訪書余禄 和田維四郎 1918
製本術 島屋政一 1918
図書学概論 田中敬 冨山房 1924
解題叢書 経籍訪古志 廣谷雄太郎 廣谷国書刊行会 1925
典籍叢談 新村出 岡書院 1925
敦煌石室の遺書 石浜純太郎 懐徳堂 1925
書庫之起原 植松安 間宮書店 1927
京阪書籍商史 蒔田稲城 1928
書物装釘の歴史と実際 庄司浅水 1929
思想名著解題 春秋社 1929
本邦書誌学概要 植松安 図書館研究会 1929
書物の敵 庄司浅水  1930
書誌学とは何か 寿岳文章 ぐろりあそさえて 1930
装釘の常識 三村清三郎 岡書院 1930
日本訪書志補 王重民 1930
修訂建武年中行事註解 和田英松 明治書院 1930
中国図書館事業的史的研究 馬宗榮 中華学藝社編 商務印書館 1930
製本術 ブレガー著 赤坂・庄司訳 ブックドム 1931
日本蔵書印考 小野則秋 文友堂 1931
書誌学 小見山寿海 芸艸会 1931
宋元版の話 内藤虎次郎 名古屋市立図書館 1931
正徹本徒然草 川瀬一馬 文学社 1931
善本影譜 長沢・川瀬編 日本書誌学会 1931~35
影宋刊本御注孝経 長沢規矩也編 日本書誌学会 1932
好書雑載 高木文 井上書店 1932
西洋書誌学要略 橘井清五郎 図書館事業研究会 1932
粘葉考 田中敬 巌松堂 1932
成簣堂善本書目 川瀬・長沢 民友社 1932
成簣堂善本書影七十種 川瀬・長沢 民友社 1932
舊刊影譜 川瀬・長沢 日本書誌学会 1932
嵯峨本図考 川瀬・長沢 一誠堂  1932
漢籍解題1 漢文学講座2 長沢規矩也 共立社 1933
書誌学論考 長沢規矩也 松雲堂書店 1937
書誌学序説 長沢規矩也 吉川弘文館 1960
漢籍分類目録 集部東洋文庫之部 東洋学文献センター連絡協議会 東洋文庫 1967
書林清話 葉徳輝 世界書局 1968
書林掌故 葉徳輝等撰 中山図書公司 1972
書林清話・書林雑話 楊家駱主編 台湾・世界書局 1974
中国訪書志 阿部隆一 汲古書院 1976
書誌学序説 長沢規矩也 吉川弘文館 1979
図書の歴史と中国 劉国鈞著 松見弘道訳 理想社 1980
江浙蔵書家史略 呉辰伯 中華書局 1982
中国古代蔵書与近代図書館史料 春秋至五四前後 李希泌、張椒華編 中華書局 1982
書籍装幀芸術簡史 邱陵編著 黒龍江人民出版社 1984
目で見る本の歴史 庄司浅水、吉村善太郎 出版ニュース社 1984
造紙の源流 久米康生 雄松堂 1985
中国省市図書館概況 1919-1949 楊宝華・韓徳昌編 書目文献出版社 1985
書物に関する名句・名言・名文 エンカイリーディオン アリグザーンダー・アイアランド編 タングラム 1986
簡明中国古籍辞典 呉楓編 吉林文史出版社 1987
中国古代図書館事業史概要 来新夏 天津古籍出版社 1987
中国図書和図書館史 謝灼華編 武漢大学出版社 1987
中国図書の歴史 庄威著 吉村善太郎訳 臨川書店 1989
西洋図書の歴史 吉村善太郎 臨川書店 1990
中国蔵書史話 焦樹安著 商務印書館 1997
図書及び図書館史 寺田光孝ほか著 樹村房 1999
図説図書館の歴史 スチュアート・A・P・マレー 原書房 2011
写真でみる本の歴史 庄司浅水、吉村善太郎 日本図書センター 2011
図書・図書館史 三浦太郎編著 ミネルヴァ書房 2019
西洋書物史への扉 岩波新書 高宮利行 岩波書店 2023
中国目録学史 新・中国文化史叢書4 李端良 商務印書館
古今偽書考 姚際恒撰 清

 

論文の部
写本時代と板本時代とに於ける支那書籍の存亡聚散 市村瓚次郎 史学雑誌第13編1・3号 1902
唐以前の図書 那波利貞 歴史と地理2-2  1918
支那に於ける屋瓦使用の起源に就きて 那波利貞 支那学2-8 1922
支那における図書館事業 岡野一郎 支那研究5 1923
書帙の歴史 那波利貞 歴史と地理19-3・4・5 1927
支那書籍小史 1・2・3 長沢規矩也 書誌学1-4・5・6 1933
清代図書館発展史 譚卓垣著 西村捨也訳 図書館研究14(2)~(4) 1941
中国図書館の沿革及び現況 兪爽迷 書香128  1941
国立北京図書館の概況に就いて 法本義弘 支那文化雑攷 1943
毛沢東戸図書館 平和彦 読書春秋4-11 1953
中国図書館の揺籃時代 松見弘道 図書館界6-5  1954
中国の文教政策 内田幸一 日本及び日本人 1954
転期に立つ中国の図書館活動 図書館雑誌51-3  1957
記録の文化史 小倉親雄 図説世界文化史体系別巻 1961
武英殿輯聚珍版について 金子和正 ビブリア23   1962
年表図書館物語 矢島玄亮 東北地区大学図書館協議会誌13,14,15  1962-63
図書・図書館の歴史(断章) 中村初雄 早稲田大学図書館紀要4  1963
唐本の値段 餘自録 大庭脩 東洋史研究24-4  1966
洛図洛書の一考察 原田正己 早大・東洋文学研究6  1967
支那における図書館の誕生 長沢規矩也 書誌学11  1968
中国図書館学史序説 加納正巳 静岡女子大研究紀要3  1970
中国における著作意識の発達 石田公道 図書館界21-5~23・4 1970~71
香港の図書館 木村宗吉 日本歴史270  1970
古代中国図書史 木村靖 文化史学26  1971
図書館に就いて 内藤湖南 大阪朝日新聞明治33年11月29・30日 (内藤湖南全集3所収)  1971
北周の麒麟殿と北斉の文林館 山崎宏 鈴木由次郎博士古稀記念東洋学論叢所収 1972
清代の官書局の設置について 大西寛 長沢先生古稀記念図書学論集 1973
書禁と禁書 宮崎市定 アジア史研究2所収 1974
中国に於ける図書館事業史(1) 漢代の図書館事業 宮内美智子 青葉女子短期大学紀要1  1976
中国本ものがたり1~8  劉国鈞著 松見弘道訳 東海地区大学図書館協議会誌22  1977~78
中国の図書館事情 各地の図書館を参観して1 中原ますえ びぶろす29-11  1978
中国における図書分類法 井坂清信 参考書誌研究17  1979
図書館起源小記 黎紅 広西大学学報1979年第3期 1979
秘閣図書の源流について 神田喜一郎 「芸林談叢」所収 1981
洛陽の紙価 小池秋羊 東西交渉1 1982
中国に於ける刻書事業 宮内美智子 青葉女子短期大学紀要7 1982
禁書に関する二三の資料 長崎聖堂文書研究1 大庭脩 史泉40 1970
篠崎小竹旧蔵の「欽定四庫全書拾遺目録」について 大庭脩 近世大阪芸文叢談 1973

 

 

 

 

2023年4月30日 (日)

人生の至楽は読書にあり

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  何事にも意欲や興味がわかないのは、ひじょうに診断の難しい病だ。退屈病や、無気力病と混同されやすく、素人目にはたんに活力のない老人と見られがちだ。だが何もせずに放っておくと、人生を棒に振ることになる。死ぬまでに、新しい本を見つけて、すこしでも意欲ある人生を過ごしたい。そう決めても、この世のおもしろ本の全てを読めるわけではないのだが。

古本を漁りて過ごす桜桃忌

 

富山和子「川は生きている」

 

岡田淳「図書館からの冒険」

 

藤沢道郎「物語イタリアの歴史」 中公新書

 

中島京子「夢見る帝国図書館」 文藝春秋

 

歴史街道「土方歳三なぜ戦い続けたのか」

 

フランス文化読本 鈴木雅生 丸善出版

 

「四つの小さなパン切れ」 マグダ・オクンデール・ラフォン

 

柴崎友香「寝ても覚めても」

 

アダムとイヴ 岡田温司 中央公論新社

 

わたしはマララ マララ・ユスフサイ 学研プラス

 

韓国語完全対訳シナリオ「四月の雪」 脚本ホ・ジノ ワニブックス

 

平成生まれは知らない昭和の常識 服部淳 イースト・プレス

 

太平天国にみる異文化受容 菊池秀明 山川出版社

 

ジョゼと虎と魚たち 田辺聖子

 

黎明の世紀 大東亜会議とその主役たち 深田祐介

 

レンズが撮らえた19世紀ヨーロッパ 海野弘

 

危険学 畑村洋太郎

 

すごい古書店・変な図書館 井上理津子

 

女の人差し指 向田邦子

 

梅干と日本刀 樋口清之

 

禅のすべて 篠原壽雄・佐藤達玄

 

文人たちの俳句 坂口昌弘

 

もういちど読む山川地理(新版 2017年)

 

できる大人の常識力事典 話題の達人倶楽部

 

ユーラシアの東西 杉山正明

 

忠臣蔵と元禄群像 中江克己

 

一冊でわかる朝鮮の歴史 井野誠一

 

名画で読み解く世界史 祝田秀全

 

ロビンソン・クルーソー 伊集院静

 

地図で訪ねる歴史の舞台 帝国書院

 

人間失格 上  太宰治

 

肩甲骨は翼のなごり  デイヴィッド・アーモンド

 

虚子俳話録 赤星水竹居 学陽書房 1949

 

ガラスの城の記憶  手塚治虫

 

アメリカ名詩選 岩波文庫

 

夏目漱石 文藝別冊 河出書房新社

 

文字と組織の世界史 鈴木薫

 

イギリス文学 名作と主人公 加藤光也

 

ギリシア人の物語 民主政のはじまり 塩野七生

 

現代政治の思想と行動 丸山真男

 

省略の文学 外山滋比古

 

こころの処方箋 河合隼雄

中間文化論 加藤秀俊

雑種文化 加藤周一

日中韓はひとつになれない 小倉紀蔵

一流の人は空気を読まない 堀紘一

ナポレオンで仕事上達 斎藤孝

文明が衰亡するとき 高坂正堯

名城と合戦の日本史 小和田哲男

本を愛しなさい 長田弘

パピルスが伝えた文明 箕輪成男

名張毒ブドウ酒殺人事件 田中良彦

年下の男 内館牧子

おもちゃと金米糖 戸田盛和

サミュエル・ジョンソン伝 ジェイムズ・ボズウェル 1791

社会科学概論 森谷克己 法律文化社 1953

社会構成史大系 日本評論社 1950

社会と革命 世界平和への道 小島祐馬 宇田政治経済研究所 1954

火星人ゴーホーム フレドリック・ブラウン 1954

社会史上から見た漢代の思想と文学の基本的性格の研究 田所義行 中国学術研究会 1965


社会主義の経済・貿易問題 中国を中心として 上野秀夫 晃洋書房 1973

社会主義への道 現代中国の歴史3 岩村三千夫 徳間書店 1966

社会人のための漢詩漢文小百科 田部井文雄ほか編 大修館書店 1990

あなたがほしい 安達千夏 集英社 1999

セーヌ川の書店主 ニーナ・ゲオルグ

文明ネットワークの世界史 宮崎正勝 原書房 2003

文学効能事典 エラ・バーサド フィルムアート社 2017

ノーマンズランド 誉田哲也

おもかげ 浅田次郎

 

直木賞受賞エッセイ集成 文藝春秋 2014

 

暮らしの韓国語単語8800  今井久美雄 語研 2005

 

3秒に1回驚く「雑学」の本 王様文庫 三笠書房 2014

 

バリ島芸術をつくった男 ヴァルター・シュピースの魔術的人生 伊藤俊治 平凡社 2002

 

ねこMONO ねこグッズ😹パラダイス ダイアプレス 2014

 

いつも買うもやし・卵・とうふがおいしいおかず 主婦の友 2009

 

サピエンス全史の読み方 宝島社 2017

 

職業としての小説家 村上春樹 スイッチ・パブリッシング 2015

 

大辞泉 松村明監修 小学館

 

暗殺の歴史 リンゼイ・ボーター 創元社 

 

独立の民 ハルドル・ラックスネス

 

パレオマニア 池澤夏樹

 

銀漢の賦  葉室麟

 

ベスト・エッセイ2011  「光速老人」三浦しをん他。

 

夜型人間のための知的生産術 斎藤孝

 

ホトトギスの俳人101 阪西敦子ほか

 

マクベス 斉藤洋

 

聖書入門 大島力

 

図解日本音楽史 田中鍵次

 

「違うこと」をしないこと 吉本ばなな

 

ある男 平野啓一郎

 

江戸ものしり用語事典 宝島社

 

心理学英和・和英基本用語集 福村出版

 

なるほど日本地理 宇田川勝司

 

現代日本映画人名事典 女優 キネマ旬報社

 

現代日本映画人名事典 男優 キネマ旬報社

 

中国文章家列伝 井波律子

 

キネマ旬報 2018年12月号上旬号

 

新・冬のソナタ 上 キム・ウニ、ユン・ウンギョン

 

大いなる逃亡  田中光二

 

誤植聖書殺人事件 ロバート・リチャードソン

 

日本古代国家の構造 直木孝次郎 青木書店 1958

 

生活のための闘い ピーサレフ著 金子幸彦訳 岩波文庫 1952年

 

そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ

 

初学者のための中国古典文献入門 坂出祥伸

 

東京都の歴史散歩 山川出版社

 

100のトピックで知るドイツ歴史図鑑 原書房

 

手塚治虫シェイクスピア漫画館 実業之日本社

 

詳細地理資料 COMPLETE2018  帝国書院

 

戦国武将 群雄ビジュアル百科 二木謙一 ポプラ社

 

英日対訳 日本現代史 ジェムズ・M・バーグマン IBCパブリッシング

 

あやうく一生懸命生きるところだった ハ・ワン ダイヤモンド社

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年4月10日 (月)

謎の山本文庫

Yamamoto17    月9ドラマ「ビブリア古書堂の事件帖」古書にまつわる薀蓄が散りばめられながらミステリーを解き明かす栞子。これまで取り扱った作品は、漱石全集・新書版「それから」、小山清の「落穂拾い」、ヴィノグラードフ「倫理学入門」、宮沢賢治「春と修羅」、アンソニー・バージェス「時計じかけのオレンジ」、太宰治「晩年」、足塚不二雄「UTOPIA最後の世界大戦」、ロバート・F・ヤング「たんほぽ娘」集英社コバルトシリーズ、ロシア絵本ウスペンスキー「チェブラーシュカとなかまたち」、江戸川乱歩「少年探偵団」。知らないことのほうが多い。これまで書名は知っているが、内容は知らない、うわべだけの知識を「本屋学問」とか「外題(げだい)学問」といって、見下していた傾向がある。「貸本屋げだいばかりの学者なり」 だが本屋や図書館員には「外題学問」が必要である。昭和11年ごろ山本書店(1956年、山本七平が創業した山本書店とは別)から山本文庫という、瀟洒な市松模様のデザインの薄い文庫本が57点刊行された。全点海外文学で、無名時代の中原中也や堀辰雄、立原道造らが翻訳を担当し顔ぶれがすごい。きれいな装幀と希少性から、古書価が高く、一冊で5000円から1万円はするという。戦後、昭和23年に異装幀で復刊したことがある。書店主の山本武夫は旧制二高で教わった縁で登張竹風(1873-1955)の随筆や翻訳を出し、武者小路実篤の新しき村の会員でもあった。だが山本武夫の生没年など詳細はわからない。(参考:高橋英夫「薄命もまた本のさだめ」図書662号 2004..07)

 

愛の封印 グラツィア・デレッダ 岩崎純孝訳
新しいイヴと古いアダム D.H.ロレンス 原百代訳

アムステルダムの水夫 アポリネール 堀辰雄訳
アリサの日記 アンドレ・ジイド 山内義雄訳
雄鶏とアルルカン コクトオ 佐藤朔訳
吸血鬼 バイロン 佐藤春夫訳
狂癲説 エドガア・A・ポオ 内藤吐夫訳
ゲーテの言葉 ゲーテ 石中象治訳
小鳥の英文詩 ジエフリズ 戸川秋骨訳
小散文詩 ボオドレエル 三好達治訳
真珠嬢 モオパッサン 岸田国士訳
従軍日記 カロッサ 片山敏彦・竹山道雄訳
青年文学者への忠言・玩具の談議 ボオドレエル 中島健蔵・佐藤正彰訳
地の糧抄 アンドレ・ジイド 辻野久憲訳
ドニイズ・花売娘 レエモン・ラディゲ 堀口大学訳
二十六人と一人 ゴリキイ 湯浅芳子訳

 

 

 

 

2023年3月23日 (木)

わが愛読書

  大谷翔平の愛読書は中村天風の「運命を拓く」、岸田文雄首相の愛読書はドストエフスキーの「罪と罰」だとネット記事でみた。著名人の愛読書を雑誌の特集などでしばしばみかけることがある。だが一個人の愛読書が何かという一覧表を探したが見つからなかった。今日、人事採用などで愛読書を問うことは、思想調査に当たるので禁止事項になっている。サミュエル・スマイルズ(1812-1904)は「人の品格はその読む書物によって判断できる。それはあたかも、人の品格がその交わる友によって判断できるがごときものである」といっている。さすれば著名人がどのような本を愛読しているかを研究することも全く無意味な労とはいえまい。

  「大和古寺風物誌」で知られる評論家の亀井勝一郎はゲーテの「イタリア紀行」を読んで、大和の古寺を訪れることにしたと書いている。芥川龍之介が「西遊記」、大江健三郎が「ハックルベリー・フィンの冒険」や「ニルス・ホーゲルソンの不思議な旅」、北杜夫が「星の王子さま」など児童書をあげている。心理学者の河合隼雄もアルス社の日本児童文庫にあった「グリム童話集」をあげている。政治家の菅義偉はマキャヴェリの「君主論」だという。漫画家の水木しげるが上田秋成の「雨月物語」、文芸評論家の磯田光一が三島由紀夫「金閣寺」、歴史小説家の司馬遼太郎は「史記」、将棋界のレジェンド、ひふみん(加藤一二三)の愛読書は「聖書」、坂東眞理子はトーマス・マンの「トニオ・クレエゲル」など古典をあげる人が多い。芸能界の仕事で高校に行けなかった宮沢りえの愛読書はなんと漢和辞典。水木しげるには戦地に赴くときも肌身離さず持っていたエッカーマン著「ゲーテとの対話」(岩波文庫)がある。究極の愛読書かもしれない。

「三国志」オタクがいるように、読書人口からいえば世界中でいちばん読まれている本かもしれない。芥川龍之介は「西遊記」である。ちなみに中国の八大小説とは、三国演義、水滸伝、西遊記、金瓶梅、儒林外史、紅楼夢、今古奇観、聊斎志異である。ところで相葉雅紀くんは宮部みゆきの「模倣犯」を読んでいる途中と聞いたが、読了したのだろうか。

 

 

 

 

 

2023年3月17日 (金)

紙の寸法の話

 最近は会社や役所などで使用される紙はAサイズと決められているが、むかしはBサイズを使用していた。これは日本のBサイズがローカルなもので国際規格とことなるためである。しかしBサイズが全く消えたわけではない。日本のBサイズというのは江戸時代の公用紙である美濃紙をもとに定めた美濃判に由来している。明治期に出現した菊判(主に雑誌用)や四六判(主に小説用)も正確な寸法が定められていないが、長い間わが国で使用されている。日本のBサイズも菊判、四六判に近い判型として大正11年に公表されたものである。高さは菊判がだいたい22㎝、四六判が19㎝、B6が18.2㎝である。

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