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2024年2月23日 (金)

富士山と日本人

 本日は天皇誕生日であるが「富士山の日」でもある。富士山と天皇とはいかにも日本的である。富士山は古くから日本人のあこがれや信仰の対象として親しまれてた美しい山である。ある照明装置の会社が富士山のライトアップを計画したところ、反対の意見が多数寄せられた。霊峰富士山はすべての日本人がそこに回帰する心のふるさと、信仰の対象なのである。また外国人からみてもフジヤマは日本の象徴なのだ。戦時中、富士山をペンキで赤く染める作戦がたてられていたそうだ。ダウンフォール作戦という。富士山の姿をかえることで、日本人の戦意を失わせようと考えたから。ところが、とんでもないペンキの量と、ペンキを運ぶ飛行機が必要とわかり、作戦は中止となった。

  これまで、数多くの文人・画家・武人から一般の庶民にいたるまで、あらゆる階層の人びとが富士を語り、作品に表現している。だがなぜ日本人は富士山を三峰に描くのだろうか。実際にはほとんど三峰には見えない。藤原成一は「三峰に富士山が描かれた場合は、これは普通の絵ではなく、聖なる絵、聖画といっていい」と言う(NHK「美の壺」276)。鎌倉時代には山頂が三峰に分かれた三峰型富士の描写法が確立された。室町時代に描かれた「富士曼荼羅図」は現存する最初の三峰型富士である。仏の三尊様式にのっとって、薬師如来、阿弥陀如来、大日如来の姿が象徴されている。(参考:天野紀代子・澤登寛聡編「富士山と日本人の心性」)  Operation Downfall、2月23日

 

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2024年2月17日 (土)

ブランデージ会長の東洋美術コレクション

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   アヴェレジ・ブランデージ(1887-1975)の名前は国際オリンピック会長として、わが国では記憶されている方も多いだろうが、東洋美術の愛好家、コレクターとしてその方面の人たちの間ではよく知られていた。ネットなどで調べるとブランデージ・コレクションはすべて現在サンフランシスコ市が管理するデ・ヤング博物館で展示されているようだ。デ・ヤング博物館は1894年のサンフランシスコ万国博覧会が開催されるときに建設されたアメリカでも有数の歴史ある博物館である。もともとでランデージはシカゴの建設業者で成功し、大富豪となった人物で、中国動機、玉、仏像彫刻、陶磁器、東南アジアの美術、インドの美術、書画など6000点以上が展示されている。

2024年1月31日 (水)

オランダの集団肖像画

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    レムブラント(1606-1669)の「トゥルプ博士の解剖学講義」は革新的な創意によって、全く新しい集団肖像画をつくりあげた。この絵の成功により、彼はいわゆる流行作家となったのである。ニコラース・トゥルプは著名な医者として知られていただけでなく、アムステルダム市長を4期も務めた人でもあった。本図は、1632年1月31日に行われた通称キットなる28歳の死刑囚の解剖場面を表わしたものと考えられている。

    集団肖像画はオランダ特有の伝統で、16世紀に起源を発し、17世紀において、レンブラントを頂点として、他に類をみないジャンルの芸術を開花させた。各種組合や自警団、医師団、慈善団体が自分たちの会館の壁画を飾るために依頼したことから始まる。ときには20人もが一堂に描かれたが、構図はおおむね変化がなく、モデルが横一列か扇形に並んだ。この伝統を打ち破ったのがレンブラントのきわめて独創的な集団肖像画である。「トゥルプ博士の解剖学講義」、「夜警」(1642年)、「アムステルダム布地組合の品質鑑査官たち」(1661-1662年)。近刊書としてアロイス・リーグル著「オランダ集団肖像画」の翻訳が中央公論美術出版からでている。収録されている画家は、コルネリス・ケテル、ウェルネル・ファン・ファルケルト、トーマス・デ・ケイセル(1596-1667)、バルトロメウス・ファン・デル・ヘルスト、フランス・ハルス(1582-1666)ほか。

   レンブラントは20代の末にはアムステルダム随一の人気画家となったが、晩年は経済的に恵まれず破産した。当時の人々は彼の弟子たちが描く口あたりのいい絵のほうを好んだ。レンブラントが美術史における最高の画家と認められるようになったのは、ようやく19世紀になってからである。

2024年1月15日 (月)

競輪選手ブラマンク

  今年は、オリンピック・パリ大会が7月8月に開催される。フォーブの画家たちの中でモーリス・ド・ブラマンク(1876-1958)は、「野獣」というニックネームが最もふさわしい激しい性格の画家であった。そして「実の父よりもヴァン・ゴッホを愛する」と語ったほど強い表現性を信条とし、あらゆる束縛や規律をきらい、絶対自由主義者を標榜していた。1876年4月4日、パリに生れた。1892年ころからパリ近郊のセーヌ河に面した小さな町シャトゥーに住む。1900年画家アンドレ・ドラン(1880-1954)と逢い、同居しながら制作した。初め競輪選手、バンドマン、俳優などをしながら絵を独学で勉強した。18歳で結婚。それでもブラマンクは30歳くらいまでは自転車競技に出場していた。「ブラマンク、1907年、パリ・ルーベ間を36位で走る」と古い記録にある。

2024年1月 7日 (日)

浮世絵版画(元禄から幕末まで)

Photo  本日は文政8年(1825)のこの日、役者絵や美人画で絶大な人気を得た初代歌川豊国が死去した。豊国の活動時期は天明から寛政、文化文政と50年ちかくにわたる。浮世絵は江戸の庶民社会に栄えた風俗画の一種である。遊里や歌舞伎など「浮世」(庶民階級抬頭の江戸時代初期に生れた流行語で、享楽的現地とか、好色的、当世風などの意に用いられた)の風俗をもっぱら題材としたので、この新様式の絵画を「浮世絵」という新語で呼び、天和年間(1681-1684)には、すでに使用例が見出される。墨摺から出発し、それにおおまかな彩色を加える丹絵、さらには最初の色刷の段階である紅摺絵とすすむ。つづいて明和年間、春信が多色版画の錦絵を創始、「江戸絵」とよばれた。浮世絵は木版画と肉筆画とがあるが、初期の画家および少数の例外を除いて、浮世絵師は版画を専門とし、肉筆画は余技的制作にすぎなかった。浮世絵は美人画と役者絵が二大人気ジャンルであるが、このほか好色的な春画と呼ばれるポルノグラフィーも人気が高かった。もちろん中学美術では、これら春画を除いた作品が紹介されている。一般に六大浮世絵師とは、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、写楽、北斎、広重を言うが、彼ら以外にも江戸の風俗を見事に描いた浮世絵師たくさんいた。菱川師宣、奥村政信、西川裕信、宮川長春、北尾重政、勝川春草、勝川春潮、勝川春英、鳥居清長、窪俊満、鳥文斎栄之、渓斎英泉、歌川国芳、歌川豊国、歌川国政、歌川国貞、河鍋暁斎等。画像は鳥文斎栄之の「青楼芸者選 いつとみ」。歌麿のライバルで清楚で慎ましやかな全身美人画で人気を博した。(1月7日)

 

 

 

 

 

2023年5月22日 (月)

読書する女性

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    ゴッホの有名な絵に「アルルの女」がある。モデルはゴッホがよく通ったカフェの経営者ジヌー夫人。夢中で読書している様子ではなく、ひとつは思案しているポーズであり、もう一つはこちらを向いて、本を机に置いてある。2枚とも、「読書と女性」という画題ではどちらかというと珍しい趣向である。大衆向きに売れそうな絵を描くならば、若い娘の横顔あるいは、伏目がちで、物静かに読書しているというスタイルが一般的であろう。古典例としては、フラゴナール「読書する女」(1776年)がある。

 

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19世紀の風景画家コローにも読書する女の作品がある。

 

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印象派ではルノアールやカサットの作品がある。

 

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イワン・クラムスコイ「読書する女、ソフィの肖像」 1866年

 

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ヴィルヘルム・ハンマースホイ「読書する女性」 1903年

 

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アンリ・ファンタン=ラトゥール「読書する女」 1861年

 

日本の画家の「読書」はオーソドックスな作品が多い

 

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  黒田清輝「読書」(1890) 浅井忠「読書」(1902)

 

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テオドル・アクセントヴィチ(1859-1938)はポーランドの画家

 

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 ダニエル・ハンティントンは現代の画家

 

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 ルギ・ブラッチは現代イタリアの画家

 

 

2023年3月22日 (水)

蛇信仰と女性

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  タロット・ガーデンの彫刻 ガラビッチョ(イタリア)

 

   古代社会においては、蛇は死者礼拝と結びついて霊獣とみなされる。古代エジプトでは、蛇のヒエログリフは女神の象徴とされる。ギリシアのクノッソスからも「蛇をもつ女神」が出土されている。また蛇は定期的に脱皮を繰り返すことから、人類の「生、死、再生」の象徴であるとされる。とくに女性は月経を迎えると、古くなった子宮の層を剥がす。すなわち、女性は、月経によって新しい女に生まれ変わる。蛇には永遠性を象徴する神聖な生き物であるという信仰が生まれた。

    ニキ・ド・サンファール(1930-2002)というフランス生れの女性芸術家は人生の岐路に立った時、人生の指針としてタロットカードに力を借りていた。イタリアのトスカーナ地方のガラビッチョにある「タロット・ガーデン」には、ニキが20年の歳月をかけて制作したタロットカードのシンボルをモチーフとした彫刻作品が並んでいる。そこを訪れた人々は女性ばかりでなく、男性や子供から老人まで誰もが理屈ぬきに元気のパワーをもらうという。ニキ・ド・サンファールは動く彫刻で知られるジャン・ティンゲリー(1925-1991)と知り合い、1961年、絵の具を仕込んだ銃でカンヴァスを撃つという「射撃絵画」によってヌーヴォー・レアリスムの一員として知られるようになった。画像作品は、女性器から人々が入ってゆくという巨大な女性像のオブジェで、女性には蛇が絡み付いている。カラフルな色彩のユニークな作品は多くの人々に親しまれている。とくに胎内回帰願望の方にオススメである。

2023年2月10日 (金)

北九州市

Dongummermerylstreephusbandpic1  1963年のこの日、福岡県門司市・小倉市・戸畑市・若松市・八幡市が合併して北九州市が発足する。発足に伴い日本社会党の吉田法晴は参議院議員を辞職して市長選に立候補、当選して初代北九州市長となる。市制施行60周年になるが北九州市はかつては製鉄など基幹産業が隆盛を誇ったが、その後の衰退により、1979年の107万人をピークに、この40年人口減少が続いている。「鉄冷え」と呼ばれる製鉄業の衰退に加え、大手企業の本社や国の機関も、福岡市に相次いで移転している。北九州国際交流センターにはアメリカの現代彫刻家ダン・ガマーの作品「ハウス・オブ・ミュージック」と「リユニオン」の2作品がある。妻は名女優メルリ・ストリープ。(Don Gummer)

 

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 ハウス・オブ・ミュージック

 

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 リユニオン

 

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2023年1月16日 (月)

画家土佐光則没す(1638年)

   土佐光則は江戸時代前期の土佐派の絵師。1583-1638。極めて発色の良い絵の具を用いた金地濃彩の小作品が多く、土佐派の伝統を守り、描写の繊細さ、色彩の繊細さにおいて巧みであった。代表作「源氏物語画帖」(徳川黎明会)、「雜画帖」(東京国立博物館)

2022年11月 8日 (火)

ルーヴル美術館

    パリはいうまでもなく世界で最も美しい観光都市であり、主要な名所旧蹟を訪れるだけでも数日間は要する。ルーヴル界隈の美術館、博物館だけでも大小100近くある。なかでもルーヴル美術館は世界中から年間800万人の来館者が訪れる。美術品が40万点以上収蔵しており、3万5000点が展示されている。宮殿の美術品を公開したのは1763年11月8日のことで、ルーヴル美術館のはじまりである。

    建物は3翼に分かれており展示は、リシュリー翼、ドノン翼、シュリー翼からなっている。フィリップ2世(在位1180-1223)が1200年ころにパリ右岸の町を防備するために要塞を築いたのがはじまりで、14世紀にシャルル5世、16世紀にフランソワ1世(在位1515-1547)が改修して王の居城に改め、次いでアンリ2世(在位1547-1559)が改造拡張し、その後も大規模な工事が続けられた。宮殿ルーヴルが美術館に生まれ変わったのは1793年8月10日。この時、王家の美術品は市民のものとなった。ほぼ現在の形になったのは、19世紀ナポレオン3世の時代である。このようにルーヴル美術館は開館以来250年以上の歴史を刻んできた。

代表的な作品
ミロのヴィーナス
サッカラの「書記座像」
プラクシテレス女神像
レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」
ヤン・ファン・エイク「宰相ロランの聖母」
フォンテーヌブロー派「ガブリエル・デストレとその妹」
デューラー「自画像」
ルーベンス「マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸」
プーシエ「オダリスク」
フラゴナール「勉強」
モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール「ポンパドール夫人」
コロー「モルト・フォンテーヌの思い出」

 

Photo
「鉛筆をけずる若いデッサン画家」シャルダン 1737年

 

( keyword;Musee du Louvre )

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