古い映画
小山清の「犬の生活」。捨て犬を拾って、生活にちょっとした張りと瑞々しさが戻る、という心温まる小説である。タイトルはチャップリンの映画からきているらしいが、小山はいつどこでこの映画を見たのだろうか。映画の日本での公開は大正8年で、この小説は昭和30年の発表である。公開から36年が経過しているし、小山自身も古い映画で内容はまったく思い出せないといっている。DVDなどない時代であるから、映画は一度見逃すと二度と見る機会はない。古い映画は思い出の中にかすかに残っているだけである。小山は映画評論家の淀川長治より2歳年下だが、まさしくチャップリン世代といえよう。
日本映画チャンネルで林芙美子の「放浪記」を放送していた。舞台の森光子や映画の高峰秀子が有名かもしれないが、昭和10年の木村荘十二監督のPCL映画である。木村は「兄いもうと」「彦六大いに笑う」などの名監督である。ヒロインは夏川静江。小説の中に夏川静江の名前が出てくる。やはり原作に時代が近いせいなのかよかった。画質も音質も良好。なにより女優の日本髪の美しさが際立つ。朝ドラで明治物が続いたが、上手な髪結いがいないのか、日本髪の美しさが出ていない。
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