芥川賞と直木賞
1935年8月10日、芥川賞と直木賞が発表された。第1回の芥川賞は石川達三「蒼氓」、直木賞は川口松太郎「鶴八鶴次郎・風流深川唄・その他」が受賞した。そもそも芥川賞と直木賞とは何か。文壇が個々の作品を2種に分類し、純文学と大衆文学、第一文芸と第二文芸、あるいは雅なるものと俗なるもの、このように判定する方式は、多くの国にみられる現象だそうだ。北杜夫や遠藤周作はユーモア小説と純文学とを書き分けた作家だった。芥川賞、直木賞、どちらを受賞したのか。北杜夫は1960年に「夜と霧の隅で」で芥川賞を受賞している。では次の作家は芥川賞か直木賞のいずれを受賞したのであろうか。
松本清張、宇野鴻一郎、梅崎春生、井伏鱒二、高橋三千綱、西村賢太。
答えは、松本・宇野・高橋・西村は芥川賞で、梅崎、井伏は直木賞。日本の芥川賞、直木賞の選考基準はわからないところがある。中国の書物の題名に「中国俗文学史」というのがある。そのものズバリと明確に表現するのが中国で、日本は万事、あいまいにぼかすことを好むようである。評論家の巽孝之は「仮に今日、芥川本人が復活したとしても、芥川賞をとれないだろう」とマジメに論じている(「芥川龍之介は何故、芥川賞をとれないか」別冊新評1976年夏季号)もちろん芥川賞や直木賞を受賞しなかった人で優れた作品を残した作家も多い。小松左京、星新一、筒井康隆、小林信彦、椎名誠、田宮虎彦、阿部昭、黒井千次、後藤明生、太宰治、三島由紀夫、村上春樹など。
昨年の172回、芥川賞は安堂ホセ「DTOPIA(デートピア)」と鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」、直木賞は伊与原新「藍を継ぐ海」が選ばれた。173回は芥川賞・直木賞ともに該当作品なしだった。174回は、芥川賞は鳥山まこと「時の家」、畠山丑雄「叫び」。直木賞は嶋津輝「カフェーの帰り道」。
90年の歴史を刻む芥川賞・直木賞だが、もう不要かもしれない。(8月10日)
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