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2025年6月21日 (土)

松本清張と司馬遼太郎

 松本清張と司馬遼太郎。昭和の同時代を生きた2人の大作家は、共通点も多いが興味深い相違点もある。先ず年齢は清張が14歳年長であるが、作家デビューが遅かったので2人はほぼ同時期に活躍した作家といえる。作家になる前に新聞社に努めた経験が執筆活動に役立っていることも共通点であろう。旅行や取材を綿密に行い、資料に基づいて創作するタイプである。2人とも軍隊経験はあるが、太平洋戦争のことはあまり多くは語らないし、書かない傾向にある。清張には昭和史発掘などでノンフィクションの分野で描くことはあるが、戦記物や反戦を声高に叫ぶタイプではない。軍隊にいったものでしかわからない、複雑な心理が働くようである。時代とも関係するが、タバコを好み、原稿用紙を使うスタイルも生涯一貫している。ワープロやタイプライターなどは使わない。清張も司馬も蔵書家である。読書と本の収集が趣味といえる。清張は仕事が趣味で、パチンコをするくらい。2人はあまり音楽への興味も少ない。クラシックやジャズのレコードを収集したという話しも聞かない。スポーツの話もあまり聞かない。ペットは清張は小犬を飼っていたことがあるが、司馬はペットはいなかったみたいだ。

  司馬遼太郎といえば歴史小説なので、歴史上の人物、ヒーローの作品が数多くあるが、清張は意外に歴上の人物を題材とした作品は少ない。子供向けの講談社・火の鳥伝記文庫「徳川家康」は異例なことである。2人とも文壇が嫌いのようである。これは純文学が文学であるとする文芸界の風潮が理由と考えられる。学校図書館などでよく見られる多巻物の日本文学全集には松本清張や司馬遼太郎の一巻がないのを不満としていたであろう。松本清張と司馬遼太郎、どちらが多作であろうか。よく調べたわけではないが、司馬のシリーズ「街道をゆく」があるので、司馬遼太郎のほうが対談などを含めれば全集にすると多巻になるであろうか。

 最後に、松本清張と司馬遼太郎と大きな違いを1つ指摘しておく。松本清張は森鴎外が好きで、司馬遼太郎は夏目漱石がお好きのようである。大阪人なのに江戸っ子の漱石が好きというから不思議である。司馬は講演会で「近代日本の文章が夏目漱石によって完成された」(「漱石の悲しみ」)とまで言っている。

 

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