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2025年3月16日 (日)

ジョイス・キルマー「樹」

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       樹

 

  思うに、樹のように美しい詩を

 

  見ることはついになかろう。

 

  甘い乳の流れる大地の胸に、

 

  飢えたるその口に押しあてる樹、

 

  日もすがら神を見上げて

 

  葉の多い腕をさしあげ祈る樹、

 

  夏にはその髪にこまどりの

 

  巣をかけることもある樹、

 

  その胸に雪がよこたわり、

 

  雨となかよく暮らす樹、

 

  詩は私のような馬鹿が作るが、

 

  神さまのみが樹をつくり給う。

 

    ジョイス・キルマー(1886-1918)は、ニュージャージー州で生まれ、将来を嘱望されながら、第一次大戦で戦死したアメリカの詩人。詩集に「愛の夏」(1911)、「樹木」(1914)など、評論集に「サーカス」(1916)などがある。

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