長いタイトル、短いタイトル
楽曲や映画、小説にとって、そのタイトルをどう付けるか、というのは言うまでもなく大問題。2013年12月11日に発売されたAKB48のタイトルがやたらと長かった。「鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの」。何と76字ある。miwaの新曲「あなたがここにいて抱きしめることができるなら」は22字。
小説では2014年刊行の村上春樹の新作も長かった。「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年に」は20字。2010年のベストセラー「もしドラ」は33文字あった。2011年の「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」や浅田次郎のエッセイ「君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい」は19文字。奇抜で刺激的なタイトルで人の目をひこうという魂胆がみえる。ワンセンテンスがタイトルとなるのは片山恭一の「世界の中心で、愛をさけぶ」あたりからの流行だろうか。作家が小説のタイトルをつけるには、それなりの思い入れがあるのだろうが、こうしてダラダラと長いタイトルが出てくるのだが、むしろ漢字一文字という題名が、ことさら強い印象がのこる。漱石「心」「門」、芥川龍之介「鼻」、森鷗外「雁」、長塚節「土」、谷崎潤一郎「卍」「鍵」、丹羽文雄「顔」などなど。
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タイトルは作者の個性にもなる。時代の傾向ということもある。
タイトルの推移をたどると面白い論文書けますね。
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2013年3月15日 (金) 15時07分