そろばんの日
西宮市の熊野神社に「算学神社」がある。毎年8月8日は「そろばんの日」でソロバン供養祭が開催される。この日になったのは、「パチパチむというのが、ソロバンを弾く音に似ているからだという。算盤は中国では2世紀に作られた。日本に伝来したのは安土桃山時代の頃。「日本風土記」(1570年代)には「そおばん」と表記されている。豊臣秀吉の家臣の毛利重能が明から伝来したとも言われる。重能は京都でそろばん道場を開いて、多くの塾生を育てた。吉田光由、今村知商、高原吉種などの弟子が輩出した。江戸時代、商業が盛んになると算盤は普及した。三国時代の関羽が算盤を発明したと信じられ、華僑によって商売の神となり、世界各地に関帝廟が建てられている。本当の算盤の発明はギリシャ・ローマ人であろう。ローマ帝国時代にシルクロードを通って中国に伝来したと考えられる。
ソロバンを習うと、「願いましては」のかけ声を合図に読み上げ算が始まり、室内にはパチパチという音が響く。ところで、この「願いましては」という掛け声、いったい何を願っているのだろうか。珠算史を研究している専門家に聞くと、じつは単なる語呂合わせで、とくに意味はないという。もともと、ソロバンの読み上げ算の前に掛ける声は、地域らよってマチマチだった。「上げては」「置いては」「始めて」などが使われていたが、昔から「願いましては」と言っていたのが、三重県内の珠算競技会。昭和三十年代、その語感がいいと評判になり、全国へと広がった。やがて「願いましては」で、全国的に統一されたという。
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