ファム・ファタール
ファム・ファタール(Femme fatale)とは、運命の女、宿命の女という意味のフランス語。かかわった男を破滅させる、抗しがたく美しい女。女性美を崇拝した19世紀のラファエル前派の青年画家たちにとって、そのファム・ファタールの女性美の虜となって破滅することは、まさに宿命ともいうべきことであった。エリザベス・シッダルやジェーン・バーデンは背が高く、息をのむように魅力的で、理知的で神秘的な女性であったといわれる。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828-1882)がジェーン・バーデンに初めて出会ったのはロンドンの劇場であった。当時、ロセッティはエリザベス・シッダルと婚約していたが、ロセッティとジェーンは互いに惹かれるものがあった。だが、ジェーンはロセッティの弟子のウィリアム・モリス(1834-1896)と結婚し、ロセッティはエリザベスと結婚する。ロセッティの人妻ジェーンに対する思慕は止むことはなかった。結婚2年後には、美しきリジー(エリザベス)は、アヘンチキンの飲み過ぎで死んだ。
モリスも妻ジェーンとは不仲であった。ロセッティとジェーンとの仲も続いた。モリスは友人のエドワード・バーン・ジョーンズ(1833-1893)の妻ジョージアナを愛するようになった。
ロセッティはやがて麻薬とアルコールによって体が蝕まれていった。晩年は、病身で、気力も衰え、外出することもなくなった。1882年4月10日、53歳で亡くなった。
« ヒンクリー地下水汚染事件(1993年) | トップページ | ルイ3世(西フランク王) »
「女性」カテゴリの記事
- 龍馬の婚約者「千葉佐那」(2024.10.15)
- 岸壁の母(2022.12.17)
- 宇治原はスカーレット・ヨハンソンを知らなかった(2018.12.01)
- ファニイ・フェイスの時代(2020.04.16)
- 活動的なファーストレディ(2023.07.08)
コメント