この名画はジャンヌ・ダルクではない
1798年のこの日、19世紀フランスのロマン主義を代表する画家ウジェーヌ・ドラクロワはパリ近郊のシャラントン(現在のサン・モーリエ)に生まれた。フマキラーのゴキブリ革命のCMには、教科書にも載っているドラクロワの有名な絵画「民衆を導く自由の女神」が使用され、「フランス革命」というナレーションがつけられる。これは大きな間違いである。フランス革命より40年くらい後の1830年7月27日に起こった七月革命に想を得て描かれた作品である。もっと酷いのはジャンヌ・ダルクに間違われることがある。広瀬すずの ドラマ「学校のカイダン」第7話。謎の男、雫井彗を演ずる神木隆之介がドラクロワの絵を指して「ジャンヌ・ダルクも下からのし上がってきた」と説く。このドラマには仏百年戦争の英雄ジャンヌ・ダルクの名前がしばしば引き合いに出される。ジャンヌ・ダルクにしては乳房が豊満すぎるし、百年戦争当時はまだフランス国旗や銃はなかった。ルーヴル美術館にあるこの絵画を観て、なぜかジャンヌ・ダルクだと勘違いしている日本人観光客は多いという。三色旗を持っている女神は、フランスという国家自体を擬人化したマリアンヌという架空の人物といわれる。一説によると、戦闘で弟を失い、仇を討とうと奮戦したアンヌ・シャルロットという洗濯女の伝説をモデルにしているともいわれる。なおミュージカル「レ・ミゼラブル」で描かれる暴動もフランス革命ではなく、この六月暴動と七月革命である。(4月26日)
« 名前に「平」がつく意味は? | トップページ | まもなく大型連休 »
「今日の名画」カテゴリの記事
- ローマの美術館(2017.08.04)
- この名画はジャンヌ・ダルクではない(2024.04.26)
- 漱石と西洋美術(2020.05.14)
- モナリザの眉毛(2014.06.25)
- フェルナン・レジェ(2014.04.22)
c
投稿: | 2021年5月16日 (日) 10時36分