春を告げるマンサクの花
まんさくや 小雪となりし 朝の雪(水原秋桜子)
まんさくや 水激しくて 村静か(飯田龍太)
早春、山では一番早く花を咲かせて、春の訪れを告げる木である。花の形がおもしろく、花の少ない時期に咲くので庭にもよく植えられる。高さは5~6メートルにもなる。葉は互生し、長さ5~11センチ、幅3~7センチの菱形状円形または広卵形で、基部は左右の形が異なる。質は厚く、表面はややしわがあり、裏面の脈上に星状毛があり、下部は全緑。秋には美しく黄葉する。2~3月、葉に先立って黄色ま花が咲く。花弁は4個あり、長さ1~1.5センチの細長い線形。雄しべは4個で短く、内側に4個の仮雄しべがある。葯は暗赤色。雌しべは1個で、花柱は2つに分かれる。萼は4裂する。萼片は長さ約3ミリの楕円形でそりかえり、内側は暗赤紫色で、外側には褐色の短い腺毛が密生する。蒴果は直径1センチほどの卵状球形で、萼片が残り、外側に短い腺毛が密生する。熟すと2つに裂けて光沢のある黒い種子を2個はじき飛ばす。和名は、黄色の花が枝いっぱいに咲くので「豊年満作」からきたという説と、「まず咲く」がなまったという説がある。(引用文献:「日本の樹木」山と渓谷社)
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