コロンブスの卵
コロンブスという人物は、大探検家として小学生でも知らない者がいない程有名人であるが、しかし彼の生涯や思想は、意外とはっきりとしていない。
1493年3月15日、クリストファー・コロンブスが第1回の航海で西インド諸島のキューバ島などを発見して、スペインへ帰還したとき話である。このとき盛大な歓迎会が開かれた。その席上「コロンブスでなくても誰でも西の海へ航海すれば新しい土地は発見できたわけだよ」という声を耳にした。彼はテーブルに並んだ茹で卵を指して「皆さん、これを立ててごらんなさい」と言った。その場にいあわせた人々が卵を立てようと、いろいろ工夫してやってみるが誰ひとりとしてできなかった。「あんまり難しいことではありませんよ。わたしのやるのを見ていてください」といい、コロンブスは茹で卵のはしを少したたいて立たせた。「なんだ、そうすれば誰でもできる。なんでもないじゃないか」と言いあって笑った。彼は「そうです。卵を立てるなどなんでもないことです。でも、あなた方は誰ひとりとして気がつかず、私だけが気づいたのです。最初にやるのが貴く、大切なのです」と言って笑った。
この有名な「コロンブスの卵」の逸話は、残念ながら本当にあったことではなく、後世の人の作り話である。イタリアの歴史家ジロラモ・ベンゾーニの「新世界史」(1565年)の中に書かれている。
コロンブスをイタリア人だと思っている人は多い。通説ではジェノバの毛織物職人の子として1451年に生まれたとされる。しかし幼年時代の詳細な記録は明らかでなく、両親が何人であるかは不明である。一説にはスペインのバルセロナとする説もある。(Columbus,Girolamo Benzoni、世界史) 参考文献:増田義郎「コロンブス」 岩波新書)
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