消えていくリアル書店
コロナ禍で 消える街角 古本屋 (凡児)
総務省統計局による書籍新刊点数は次のとおりである。
令和元年 71,903
令和2年 68,688
令和3年 69,852
令和4年 66,885
そして出版社はこの10年間で764社が倒産・休廃業している。
むかし三笠書房のキャッチフレーズは「週に一度、本屋さんに行く人は必ず何かできる人」だった。 街を歩いていて、なにがしかのオーラを放つ古本屋さんに出会うと、うれしくなる。店内に入ると、大量の紙とインクの匂いがなつかしさを感じる。でも最近街の小さな古本屋や貸本屋をほとんどみかけなくなった。本の出版点数はそれほど減っていないが、新刊書店は減少している。活字離れなどを背景に、経営不振などによる書店・古本屋の閉店が相次いでいる。リアル本屋は斜陽業界なのだ。1999年には2万2296店だった本屋が、2020年には1万1024店、つまりこの21年間で1万1272店ほど本屋が減少した。原因としては①ネット書店の普及②若者が本を読まなくなった③不景気、ながびくデフレと低所得④図書館を利用するほうが安上がり、などの理由が考えられる。
地方の書店が減ることは当然、出版業界にも悪影響を及ぼす。優秀な人材は出版界に就職しなくなる。良書を出版していた零細出版社は倒産する。村上春樹の小説がいかに売れようが、新潮社や講談社が肥大になろうが、問題は多様性を失うことで日本の言論は大きく低下し民主主義はさらに失速する、という悪循環がおこる。やはり地方の書店を育てなければならない。かつて公共図書館は地元の図書館から直に本を購入していたが、コンピューター化と装備の委託化で大手の取次ぎから直接購入するようになった。これも地方の書店の経営を悪化させた。寡占化が文化を滅ぼす。(10月18日)
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