小説家スタンダール
1842年のこの日、スタンダールはパリの街頭で脳出血で倒れ死去した。享年59歳。スタンダールという筆名で知られるアンリ・ベール(1783-1842)は、現在ではもっぱら小説家として有名であるが、小説を書くことが彼の職業であったことはじつは一度もない。軍人、食料品商、参事院書記官、ジャーナリスト、イタリア駐在フランス領事であり、著述はそれと並行しておこなわれた。「紙をインクで汚すこと」が喜びであった59年間の生涯に書き残されたものの量は膨大である。「イタリア絵画史」「ローマ、ナポリ、フィレンツェ」「ナポレオンの生涯」「ラシーヌとシェイクスピア」「ロッシーニの生涯」「アルマンス」「ローマ漫歩」「赤と黒」「アンリ・ブリュラールの生涯」「リュシャン・ルーヴェン」「ナポレオンに関する覚書」「パルムの僧院」「カストロの尼」「ラミエル」。これらの作品はほとんど生前、世間的成功を収めていない。彼は、1880年、1935年の読者に期待すると予言し、その予言は見事に的中した。現在では、バルザックとともに最も大きな影響を近代小説の上におよぼしたフランスの小説家のひとりとされている。(3月23日)
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23日の「岸壁の母」の項目ですが、中国、ロシアからの最初の引き揚げ船が昭和28年という遅さに驚きます。サンフランシスコ講和条約の発効との関係でしょうか。それにしても戦後8年もたったのに。
投稿: 岡倉天心 | 2024年3月23日 (土) 10時55分