カチューシャ由来考
大正3年のこの日、芸術座がトルストイの「復活」を初演した。劇中歌「カチューシャの唄」を松井須磨子が歌って大ヒットした。今日カチューシャ(Katyusha)といえば、金属やプラスチックで作ったC字形の女性用ヘアバンドのことである。「カチューシャの唄」といってもZ世代には馴染みがないようで、「ああ、AKB4のEveryday,カチューシャですね」といわれるだろう。「カチューシャの唄」作詞は島村抱月・相馬御風、作曲は中山晋平。
♪カチューシャかわいいや別れのつらさ
せめて淡雪、とけぬまに
神に願いを、ララかけましょうか
1990年頃の広辞苑には、カチューシャの項目にはなぜかトルストイの「復活」だけで、装身具としてのカチューシャの説明は無かった。もちろんこの時代も一般化した商品だった。現在の広辞苑には「大正初期上演の復活で、カチューシャ(松井須磨子)が着けたことから広まった」とある。ヘアバンドのカチューシャという称呼は日本独自の呼び名で、海外では通用しない。松井須磨子がつけたカチューシャは、「カチューシャどめ」という髪留めで商品化されたもので、現在のシュシュに近いものである。ただしその由来など、松井須磨子説に疑問視する説もあるようだ。カチューシャとはエカテリーナの愛称である。カーチャ、カーニカ、カチューシャ、カーチュニカとだんだんと上品な呼び名になるらしい。このあたりの話はロシア語の詳しい方でないとわからない。(3月26日)
« 楽聖忌 | トップページ | 吉田松陰が渡米に失敗 »
「ことば」カテゴリの記事
« 楽聖忌 | トップページ | 吉田松陰が渡米に失敗 »
コメント