「政治に口出ししたければ金持ちになりたまえ」(ギゾー)
「ヨーロッパに幽霊が出る。共産主義という幽霊が。ふるいヨーロッパのすべての強国は、この幽霊を退治しようとして神聖な同盟を結んでいる。法皇とツァー、メッテルニヒとギゾー、フランス急進派とドイツ官憲」
この有名な「共産党宣言」の冒頭に登場するフランソワ・ピエール・ギヨーム・ギゾー(1787-1874)とはいかなる人物であろうか。フランスは七月王政時代に産業革命がすすんだが、大地主・銀行家・大商工業資本家などの富裕層によって支配され、たとえば選挙権・被選挙権は一定額以上の納税者に限られていた。有権者はフランス全人口の数パーセントにすぎず、国民の大部分は政治から除外されている。ギゾーは野党の追求に、話が選挙権の拡大におよぶと、かならず「金持ちになりたまえ!」と選挙法改正に反対した。このため1848年2月、労働者や学生が蜂起し、多くのパリ市民も加わり二月革命が起こった。ルイ・フィリップは退位し、臨時政府(第二共和制)は、男子普通選挙法を認めた。ギゾーはロンドンに亡命し、以後は歴史研究に専念した。
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