初夢に見ると縁起が良いとされる七福神と富士山
昔から初夢で1年の吉凶を占う風習がある。一般には正月2日の夜の夢が初夢とされている。室町時代から良い夢を見るには、七福神の乗った宝船の絵に「永き世の遠い眠りの皆目覚め波乗り船の音の良きかな」という回文の歌を書いたものを枕の下に入れて眠ると良いとされている。また古来から目出度い夢の順序をいったものに「一富士、二鷹、三茄子」が夢に現れれば吉兆とされているが、科学的な根拠はない。その由来についても諸説ある。「一富士二鷹三茄子四扇五煙草六座頭」で駿河国の名物をうたったものだという説がある。また曽我兄弟の富士の裾野の仇討ち、鷹の羽根のぶっちがいを紋所とする赤穂浪士の仇討ち、荒木又右エ門の伊賀上野の仇討ちを暗示しているという説もある。近頃の説では、「一富士」は「不死」に通じ、「二鷹」は「高・貴」に通じ出世栄達、「三茄子」は「成す」に通じ子孫繁栄を読み取り、人間の三大欲望が叶えられる吉兆としての初夢縁起とするものである。
「四扇」は末広がりで、財産や子孫繁栄を示す。「五煙草」は煙がたち昇ることから、出世、栄達を示している。「六座頭」とは、むかし僧の姿をした盲目の人のことで、盲目の人の目が開く瞬間を見られるのは幸運とされたからである。俗説には坊主は、毛がない、つまり「怪我ない」に通じるとも。また、単純に、富士は日本一の山であり、鷹は強い鳥、茄子は物事が「成す」にひっかけたものという説もある。ちなみに、このあと四は葬式、五は火事という説もある。一見、縁起が悪そうだが、夢で出会えば、実人生では出会わない、と解釈されている。(参考:「3秒に1回驚く雑学の本」、1月2日)
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