死と生について
昨晩、テレビで映画「象の背中」(2007年)を放送していた。48歳のエリートサラリーマン(役所広司)が末期の肺がんで余命半年と医師から宣告される。残された日々をいかに過ごすかがテーマとなる。初恋の人にあったり、ケンカ別れした旧友に会ったり、仕事で迷惑かけた人に偶然にあって謝罪したりする。ホスピスで家族と充分にふれあいの日々を過ごしたり、愛人ともいい関係で別れる。重いテーマを秋元康ならではのトレンディー風に描いている。リアリティはない感じだった。同日、BSで綾瀬はるか版「世界の中心で、愛をさけぶ」を見た。片山恭一の原作とテレビ版とはだいぶん違うようだ。小説では祖父が朔太郎に大きな影響を与える人物として扱われている。朔太郎とアキとの会話にこんなのがある。人の死にも理由があると思う?」「思うわ。わたしはね、いまあるもののなかに、みんなあると思うの」ようやく口を開くと、アキは言葉を選ぶようにして言った。「みんなあって、何も欠けてない。だから足りないものを神様にお願いしたり、あの世とか天国に求める必要はないの。だってみんなあるもんだもの。それを見つけることの方が大切だと思うわ」しばらく間を置いて、「いまここにないものは、死んでからでもやっぱりないと思うの。いまここにあるものだけが、死んでからでもきっとありつづけるんだと思うわ。うまく言えないけど」「ぼくがアキのことを好きだという気持ちは、いまここにあるものだから、死んでからもきっとありつづけるね」ぼくは引き取って言った。「ええ、そう」アキは頷いた。「そのことが言いたかったの。だから悲しんだり、恐れたりすることはないって」
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