犬の日
「犬は人とともに生活し、怜悧で従順で、しかも犬ほど人類社会に貢献している動物しない」(大野淳一『犬・その銘柄』)11月1日はワンワンワンの語呂合わせから「犬の日」としている。ドッグショーなどでは、犬種の雄雌、年齢で区別されて審査される。雄犬はドッグ、雌犬はビッチ。
犬の頭数の世界的な増加は人間の増加に匹敵するといわれる。いまや人間の住む世界各地で犬の姿が見られ、家犬の品種は400を超えるが、これらの品種はいずれも人為的淘汰の恩恵を受けて今日に至っている。というのも、大型犬のグレートデンであれ、小型犬のチワワであれ、犬はすべて、先史時代の猟人に飼い馴らされたオオカミの末裔だからである。大谷翔平の愛犬「デコピンくん」は一躍有名になったが、犬種は「コーイケルホンディエ」というオランダ原産の狩猟犬である。
今日の家犬は長い年代を経て人間に飼育されているので、その形態の変化や大小が非常にちがってきていて、一種の動物として、犬ほど形態や大きさのちがう動物は他に見ることができない。これは犬の遺伝子が多数であることにもよるが、その祖先が多元的であり、長い人為的選択をくり返してきたためと思われる。そして多数の品種が生じたのである。また形態ばかりでなく、性質も非常にちがっているので、古くから世界の各地方で、番犬・狩猟犬・愛玩犬が発達し、北方地方ではそり犬のような運搬用に用いられ、またある地方では食犬として食用に供せられていた。人類の生活が複雑化するにつれて、狩猟犬もその獲物によって特長をもつ犬種が生じ、愛玩犬も種々の形のものが発達し、さらに牧羊犬が生じ、各種の軍用犬・警察犬のような高度の性能の犬や、盲導犬のような特別な性能をもつものもつくられるようになってきた。犬を人間の目の代わりに利用しようとすることは古代ローマ時代からみられるが、近代になっては1819年にウィーンの神父ヨハン・ヴィルヘルム・クライン(1765-1848)が、犬の首輪に細長い棒をつけれ盲導犬として訓練したのがはじまりとされている。
原始的な犬は現在も野犬となっているオーストラリア産のディンゴー犬、インド産のバリア犬などの一亜種にはいっているが、現在の家犬は次の6亜種に分けられる。ポメラニアン型、北方犬型、番犬型、青銅犬型、狩犬型、グレイハウンド型。そのほかに南米のインカ犬型も一亜種とされている。(11月1日、Johann Wilhelm Klein)
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