ティル(愛の誓い)
「街角のカフェ」というピアノ曲を知っていますか。明るいサウンドで昭和のラジオ番組や喫茶店でよく流れていた。カナダのフランク・ミルズが作曲したのだが、曲は知っててもタイトルやフランク・ミルズの名前はほとんどの人は知らないようだ。私はホテルのロビーやスーパーなどでBGMが流れていると、かならず耳をそばだてて聴く。曲のタイトルを当てるのが好きである。とても美しいバラードなのにタイトルが思い出せない。若いころラジオでよく流れていた。メロディーから曲名を検索できないので半分あきらめていた。ある日自分のレコードを聴いていたらその曲が流れていた。
マントヴァーニー・オーケストラの「ティル」である。原曲はドイツのベルト・ケンプフェルト楽団の曲が有名でトランペットの響きがロマンチックだ。トニー・ベネット、トム・ジョーンズ、アンディ・ウィリアムズなどが歌いスタンダードな名曲なのだが、タイトル「Till」が素っ気なく、日本語版では「愛の誓い」というサブタイトルがつく。前置詞のtill(までの意味)。そういえば歌詞の始まりが「ティル」である。タイトルが短すぎるため日本ではポビュラーになれなかった。その2年後に公開された映画「避暑地の出来事」の主題歌「A Sammer Place」は「夏の日の恋」というタイトルで日本でも大ヒットした。パーシーフェイスやジョニー・ソマーズ、日本語歌詞でスリー・グレイセスが歌い、ムード音楽の定番となった。でも「Till」の好きな人も意外と多い。
「Till」をいろいろなポビューラー歌手で聞き比べると、ジュリー・ベールがいちばん良い。50年代から60年代活躍したシンガーだが、日本ではトニー・ベネットやアンディ・ウィリアムに比べて知名度が低い。だが海外ではその美声はいまでも人気がある。代表曲は「ベニスの夏の日」「情熱のホムバ」「モナリザ」「アルべデルチ・ローマ」「イナモラータ」「アルディラ」「魅惑のワルツ」「愚かなり我が心」「慕情」「愛の泉」「モア」など半世紀にわたり多くの映画主題歌やスタンダード・ナンバーを吹き込んでいる。彼の声の感じは尾崎紀世彦と布施明を足して二で割ったような感じ。
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