俳句の日
本日は「俳句の日」。NHKドラマ「坂の上の雲」のもう一人の主人公、香川照之が演じた正岡子規のユニークな人柄をたいへん好ましく思う。「貫之は下手な歌よみにて古今集はくだらぬ集に有之候」と言った子規が、現代俳句をいかに評価するのか知りたい。「ホトトギス」は、子規の号に因み、明治30年に創刊したが、現代俳壇はホトトギス全盛といってよい。大新聞の俳壇の選者がホトトギスの門下であれば当然、花鳥風月の客観写生の句が選ばれる。ところが子規の門下の河東碧梧桐の新傾向派は自由律・無季題である。この派から尾崎放哉や種田山頭火も出たが、後継者が現われるはずもなく、途絶えたといってよい。一方の高浜虚子からは、飯田蛇笏、原石鼎、村上鬼城、水原秋桜子、山口誓子、中村草田男など輩出した。現在、金子兜太らの前衛俳句もあるが、伝統対革新の構図はいつの時代もある。ここでは現代名句をいくつかあげてみる。
くらがりの天地にひびく花火哉(子規)
静けさや音いきりたつ扇風器(草城)
ちんぽこもおそそに湧いてあふれる湯(山頭火)
江川投手は征露丸です咲くさくら(坪内稔典)
銀行員等朝より蛍光す烏賊のごとく(金子兜太)
八月や六日九日十五日(萩原枯石)
父はやく死にしあと母風の盆(古沢太穂)
算術の少年しのび泣けり夏(西東三鬼)
卒塔婆を抱きて乗り込む盆列車
ただ一人少年墓を拝みけり(月二郎)
さうめんの真白き昼餉 夏休(皆吉爽雨)
羅(うすもの)や人悲します恋をして(鈴木真砂女)
甲子園勝っても負けても涙かな(大塚美佳)
白葱のひかりの棒をいま刻む(黒田杏子)
遺失物係の窓のヒヤシンス(夏井いつき)
(8月19日)
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