映像化された世界文学作品(戦前)
ヘルマン・ヘッセは「真の教養に行く道の一つは、世界文学を学ぶこと」と言っている。長編の名作を読破することは、労力のいることであるが、映画であらましを知っておくのも一つの方法であろう。最近、F・スコット・フィッジェラルドの小説「The Graeat Gatsby」レオナルド・ディカプリオ主演を観る。1920年代アメリカのジャズ・エイジ、禁酒法時代に生きる富豪青年の愛と挫折を描く。旧作ロバート・レッドフォード版と比べ、CG技術が一段と向上しているものの、華麗な社交界のムードはあまり甘美なものではなかった。これはアメリカ人の郷愁なのであろうか。文学作品の映像化にはさまざまな困難が伴うものであるが、その知名度ゆえに辛辣な批評はあっても興行的的に無難なケースが多い。過去に何度も映画化され、これからもさらに映画化を重ねて行くことだろう。記録にみる最も初期の文学作品の映画化はイタリア映画の「カルメン」(1909)といわれている。その後も、無声映画ではジェラルディン・ファラー、セダ・バラ、エドナ・パーヴィアンス、ポーラ・ネグリ、ラケル・メレ、ドロレス・アル・リオがカルメンに扮した。トーキーになってからはマルグリッド・ナマラ、インペリオ・アルヘンディーナ、ヴィヴィアンヌ・ロマンス、リタ・ヘイワースなどの女優たちが妖艶さを競った。おそらく世界中でこの100年間、最も数多く映画化された世界文学作品は「カルメン」ではないだろうか。
「シンデレラ」 1899年 ジョルジュ・メリエス監督
「不思議の国のアリス」1903年 セシル・ヘプワース監督
「ベン・ハー」1907年 シドニー・オルコット監督
「マクベス」 1908年 J・スチュアート・ブラックトン監督
「王子とこじき」1909年
「椿姫」1910年
「復活」1910年
「ロミオとジュリエット」1911年
「二都物語」1911年
「虚栄の市」1911年
「ベニスの商人」1912年
「噫無情」1912年 カペラニ監督
「戦争と平和」 1912年 チャルディーニン監督
「クロイチェル・ソナタ」 1912年 チャルディーニン監督
「カルメン」 1915年 セシル・B・デミル監督
「戦争と平和」 1915年 ウラジミール・ガルディン監督
「復活」 1916年 マリオ・カゼリーニ監督
「スペードの女王」 1916年 ヤーコフ・プロタザノフ監督
「マクベス」 1916年 ジョン・エマーソン監督
「カルメン」 1918年 エルンスト・ルビッチ監督
「モヒカン族の最後」 1920年 モーリス・ターナー監督
「巌窟王」 1920年 アンリ―・プークタール監督
「椿姫」 1921年 レイ・C・スモールウッド監督
「カラマゾフの兄弟」 1921年 カール・フレーリッヒ監督
「サロメ」 1922年 チャールズ・ブライアント監督
「オセロ」 1922年 デミトリ・ブコウエツキー監督
「罪と罰」 1923年 ロベルト・ウイーネ監督
「春の眼覺め」 1923年 ヤーコブ・フレック監督
「ピーター・パン」 1924年 ハーバート・ブレノン監督
「ウィンダミア夫人の扇」 1925年 エルンスト・ルビッチュ監督
「女優ナナ」 1925年 ジャン・ルノワール監督
「ロード・ジム」 1925年 ヴィクター・フレミング監督
「ベン・ハー」 1926年 フレッド・ニフロ監督
「カルメン」 1926年 ジャック・フェデー監督
「ファウスト」 1926年 F・W・ムルナウ監督
「タルチュフ」 1926年 F・W・ムルナウ監督
「アンナ・カレニナ」 1927年 エドマンド・グールディング監督 グレタ・ガルボ
「復活」 1927年 エドウィン・ケリュー監督
「マッチ売りの少女」 1927年 ジャン・ルノワール監督
「テレーズ・ラカン」 1927年 ジャック・フェデー監督
「鉄仮面」 1929年 アラン・ドワン監督
「三文オペラ」 1931年 G・W・バプスト監督
「カラマゾフの兄弟」 1931年 フョードル・オツェプ監督
「戦場よさらば」 1932年 フランク・ボゼージ監督
「にんじん」 1932年 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督
「雨」 1932年 ルイス・マイルストーン監督
「ロビンソン・クルーソー」 1932年 エドワード・サザーランド監督
「夜間飛行」 1933年 クラレンス・ブラウン監督
「ボヴァリー夫人」 1933年 ジャン・ルノワール監督
「痴人の愛」 1934年 ジョン・クロムウェル監督
「女優ナナ」 1934年 ドロシー・アーズナー監督
「虚栄の市」 1935年 ルーベン・マムーリアン監督
「罪と罰」 1935年 ジョゼフ・フォン・スタンバーグ監督
「アンナ・カレニナ」 1935年 クラレンス・ブラウン監督 グレタ・ガルボ
「噫無情」 1935年 リチャード・ボレスラヴスキー監督
「罪と罰」 1935年 ピエール・シュナル監督
「ロミオとジュリエット」 1936年 ジョージ・キューカー監督
「どん底」 1936年 ジャン・ルノワール監督
「サボタージュ」 1936年 アルフレッド・ヒッチコック監督
「うたかたの恋」 1936年 アナトール・リトヴァク監督
「椿姫」 1937年 ジョージ・キューカー監督
「大地」 1937年 シドニー・フランクリン監督
「城砦」 1938年 キング・ヴィダー監督
「四人の姉妹」 1938年 マイケル・カーティス監督
「風と共に去りぬ」 1939年 ヴィクター・フレミング監督
「オズの魔法使」 1939年 ヴィクター・フレミング監督
「さよならチップスさん」 1939年 サム・ウッド監督
「嵐が丘」 1939年 ウィリアム・ワイラー監督
「二十日鼠と人間」 1939年 ルイス・マイルストン監督
「ベラミ」 1939年 ヴィリー・フォルスト監督
「レベッカ」 1940年 アルフレッド・ヒッチコック監督
「怒りの葡萄」 1940年 ジョン・フォード監督
「タバコ・ロード」 1941年 ジョン・フォード監督
「ジキル博士とハイド氏」 1941年 ヴィクター・フレミング監督
「誰がために鐘は鳴る」 1943年 サム・ウッド監督
「カルメン」 1943年 クリスチャン・ジャック監督
「深夜の告白」 1944年 ビリー・ワイルダー監督(ジェームズ・M・ケインの「殺人保険」)
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「ウィンダミア夫人の扇」は1925年にも映画化されていたのですね。初めて知りました。2005年の映画「理想の女」を、シネスィッチ銀座で見ました。この時の配役は、母親役がヘレン・ハント、娘であるウィンダミア夫人役はスカーレット・ヨハンソンでした。
投稿: イクちゃん | 2015年10月18日 (日) 21時10分