古代戦争のゾウ使い
古代戦争などでは、巨像の部隊がその巨体とスピードで敵を押し倒し、踏み潰す破壊力を持つ強力な戦車のような兵器として用いられたことはアレクサンドロス大王がインドに遠征したときの話でもよく知られている。前326年ヒュダスぺス川の戦いで、パンジャブ王国のポロスは、200頭の戦象で、大王の侵入に応戦した。だがアレクサンドロスは巧みな機動作戦でこの新しい兵器に打ち勝った。象はこのように、必ずしも強力な戦闘力とはならなかった。また第二次ポエニ戦争では、前218年カルタゴの将軍ハンニバルは、約6万の兵と37頭の象を率いて雪のアルプスを越え、15日かけてイタリア半島に侵入を試みたが、象の殆どはアルプスを越える時点で失われ、到達できたのは3頭に過ぎなかった。その後ザマの戦い(前202年)で、80頭の戦象でローマを攻撃した。ローマのスキピオは隊列を広く取り、象の突進をやり過ごすという戦術をとり、戦象はその隙間を通り過きてしまい、方向転換のために停止したところを殺されてしまった。象には敵味方の区別がつかないということや、火を怖がるなどの多くの弱点があった。ゾウの扱いは難しいと思うが、すぐれた調教師がいたのだろう。ゾウの活躍は17世紀インドのムガール帝国まで続いた。ムガール朝の軍隊は歩兵隊、騎兵隊、砲兵隊、ゾウ軍、水軍と5つ部隊に区別されていた。
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