泣斬馬謖(きゅうざんばしょく)
日本でいう「三人寄れば文殊の知恵」と同様のことわざが中国にもある。「平凡な靴屋でも、三人集れば諸葛亮の知恵」(三個臭皮匠、合成一個諸葛亮)という。智謀の軍師・諸葛孔明は兵法だけでなく、知恵の象徴でもある。
日本では孔明といえば劉備との理想的な君臣関係(「三顧の礼」「水魚の交わり」)として知られ、至誠至忠の臣、南朝の忠臣・楠木正成に比せられることが多い。俗諺に「楠も孔明も跣足」というのがあった。「跣足(せんそく)」とは、はきものをはかない、すあしのこと。智謀の優れたことをいい、よい智恵の出た時などに使う言葉だった。
孔明の故事で有名なのは「涙を揮って馬謖を斬る」(揮涙斬馬謖」)である。「十八史略」が出典で、孔明は部下の馬謖を可愛がっていたが、彼が命令違反をして街亭の戦いに敗れたので、孔明は泣きながら馬謖を斬って軍律を順守した。上司が私情を捨てて部下を処断する時に使われる。
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