映像化された世界文学作品(戦後)
戦争が終って、平和が訪れると、第一線の監督たちは腰をすえて仕事をはじめ、すぐれた作品を作るようになった。文芸作品では、スタンダール、ゾラ、ディケンズ、モーム、カミュなどの映画化にも優れた映画が生まれた。戦後第一作の文芸映画はアンドレ・ジッド原作の「田園交響楽」(ミッシェール・モルガン主演)。わがベストはトーマス・マンの名作をルキノ・ヴィスコンティが映画化した「ベニスに死す」。「アンナ・カレーニナ」は戦後だけでも8回映画化されている。21世紀に入ると映像化文芸作品は激減する傾向にある。近年はテレビドラマで世界文学の映像化がさかんである。
「シーザーとクレオパトラ」 ガブリエル・パスカル監督 1945年(バーナード・ショー脚本)
「田園交響楽」 ジャン・ドラノワ監督 1946年
「子鹿物語」 クラレンス・ブラウン監督 1946年
「剃刀の刃」 エドマンド・グールディング監督 1946年
「大いなる遺産」 デーヴィッド・リーン監督 1946年
「肉体の悪魔」 クロード・オータン・ララ監督 1947年
「パルムの僧院」 クリスチアン・ジャック監督 1947年
「美貌の友」 アルバート・リュ―イン監督 1947年(モーパッサン「ベラミ」)
「ボヴァリー夫人」Carlos Schieper監督 1947年(アルゼンチン)Mecha Ortiz
「凱旋門」 ルイス・マイルストン監督 1948年
「マクベス」 オースン・ウェルズ監督 1948年
「ハムレット」 アイリーン・ハーリー監督 1948年
「アンナ・カレニナ」 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督 1948年
「情婦マノン」 アンリ―・ジョルジュ・クルーゾー監督 1948年
「オリヴァー・ツィスト」 デビッド・リーン監督 1948年
「忘れじの面影」 マックス・オフェルス監督 1948年
「カルメン」 チャールズ・ヴィダー監督 1948年
「若草物語」 マーヴィン・ルロイ監督 1949年
「ボヴァリー夫人」 ヴィンセント・ミネリ監督 1949年 ジェニファー・ジョーンズ
「第三の男」 キャロル・リード監督 1949年(グレアム・グリーンの戯曲)
「シラノ・ド・ベルジュラック」 マイケル・ゴードン監督 1950年
「輪舞」 マックス・オフュルス監督 1950年
「令嬢ジュリー」 アルフ・シェーベルイ監督 1950年
「クオ・ヴァディス」 マーヴィン・ルロイ監督 1951年
「文化果つるところ」 キャロル・リード監督 1951年
「欲望という名の電車」 エリア・カザン監督 1951年(テネシー・ウィリアムズの戯曲)
「レ・ミゼラブル」 ルイス・マイルストン監督 1952年
「三文オペラ」 ピーター・ブルック監督 1952年
「嵐」 ルイス・ブニュエル監督 1953年
「キリマンジャロの雪」 ヘンリー・キング監督 1953年
「嘆きのテレーズ」 マルセル・カルネ監督 1953年
「青い麦」 クロード・オータン・ララ監督 1953年
「雨に濡れた欲情」 カーティス・バーンハート監督 1953年(モーム「雨」)
「黄金の馬車」 ジャン・ルノワール監督 1953年(メリメ「黄金の馬車」)
「雨の朝巴里に死す」 リチャード・ブルックス監督 1954年
「海底二万哩」 リチャード・フライシャー監督 1954年
「ロミオとジュリエット」 レナート・カステッラーニ監督 1954年
「ユリシーズ」 マリオ・カメリーニ監督 1954年
「カルメン」 オットー・プレミンジャー監督 1954年
「皇太子の初恋」(アルト・ハイデルベルク) 1954年
「エデンの東」 エリア・カザン監督 1955年
「足ながおじさん」 ジーン・ネグレスコ監督 1955年
「女優ナナ」 クリスチャン・ジャック監督 1955年
「オセロ」 セルゲイ・ユトケーヴィッチ監督 1955年
「ロメオとジュリエット」 エリ・アルンシタム監督 1955年
「チャタレイ夫人の恋人」 マルク・アレグレ監督 1955年
「戦争と平和」 キング・ヴィダー監督 1956年
「罪と罰」 ジョルジュ・ランバン監督 1956年
「居酒屋」 ルネ・クレマン監督 1956年
「ジャイアンツ」 ジョージ・スティーヴンス監督 1956年(エドナ・ファーバーの小説)
「八十日間世界一周」 マイケル・アンダーソン監督 1956年
「白鯨」 1956年
「武器よさらば」 チャールズ・ヴィダー監督 1957年
「陽はまた昇る」 ヘンリー・キング監督 1957年
「レ・ミゼラブル」ジャン・ポール・ル・シャノワ監督 1957年
「ドン・キホーテ」 グリゴーリ・コージンツェフ監督 1957年
「悲しみよこんにちは」 オットー・プレミンガー監督 1958年
「老人と海」 ジョン・スタージェズ監督 1958年
「女の一生」 アレクサンドル・アストリュック監督 1958年
「静かなるドン」 セルゲイ・ゲラーシモフ監督 1958年
「白痴」 イワン・プイリエフ監督 1958年
「ベン・ハー」 ウィリアム・ワイラー監督 1958年
「カラマゾフの兄弟」 リチャード・ブルックス監督 1959年
「緑の館」 メル・フェーラー監督 1959年
「危険な関係」 ロジェ・ヴァディム監督 1959年
「小犬をつれた貴婦人」 ヨーゼフ・ヘイフイツ監督 1959年
「アッシャー家の惨劇」 ロジャー・コールマン監督 1960年
「オセロ」 セルゲイ・ユトケヴィッチ監督 1960年
「ガリバーの大冒険」 カーウィン・マシューズ 1960年
「復活」 ミハイル・シュヴァイツェル監督 1961年
「尼僧ヨアンナ」 イェジー・カヴァレロヴィチ監督 1961年(イヴァシュヴィッチの小説)
「長距離ランナーの孤独」 トニー・リチャードソン監督 1962年
「審判」 オーソン・ウェルズ監督 1962年
「三文オペラ」 ヴォルフガング・シュタウチ監督 1963年
「軽蔑」 ジャン・リュック・ゴダール監督 1963年(アルベルト・モラヴィアの小説)
「トム・ジョーンズの華麗なる冒険」 トニー・リチャードソン監督 1963年
「ハムレット」 グリゴリー・コーシンツェフ監督 1964年
「人間の絆」 ケン・ヒューズ監督 1964年(モームの小説)
「マイ・フェア・レディ」 ジョージ・キューカー監督 1964年(バーナード・ショー「ピグマリオン」)
「戦争と平和 第一部」 セルゲイ・ボンダルチュク監督 1965年
「ロード・ジム」 リチャード・ブルックス監督 1965年
「オセロ」 スチュアート・バージ監督 1966年
「ドリトル先生と不思議な旅」 リチャード・フライシャー監督 1967年
「異邦人」 ルキノ・ヴィスコンティ監督 1967年
「昼顔」 ルイス・ブニュエル監督 1967年
「アンナ・カレーニナ」 アレクサンドル・ザルヒ監督 1967年
「二十五時」 アンリ・ヴェルヌイユ監督 1967年
「遥か群衆を離れて」 トマス・ハーディ原作 ジョン・シュレシンジャ―監督 1967年
「ロミオとジュリエット」 フランコ・ゼッフィレッリ監督 1968年
「カラマーゾフの兄弟」 イワン・プイリエフ監督 1968年
「うたかたの恋」 テレンス・ヤング監督 1968年
「チップス先生さようなら」 ハーバート・ロス監督 1969年
「クリスマス・キャロル」 ロナルド・ニーム監督 1970年
「ジェーン・エア」 デルバート・マン監督 1970年
「嵐が丘」 ロバート・ヒューズ監督 1970年
「罪と罰」 レフ・クリジャーノフ監督 1970年
「マクベス」 ロマン・ポランスキー監督 1970年
「ベニスに死す」 ルキノ・ヴィスコンティ監督 1971年
「デカメロン」 ピエロ・パオロ・パゾリーノ監督 1971年
「三銃士」 リチャード・レスター監督 1973年
「人形の家」 ジョゼフ・ロージー監督 1973年
「華麗なるギャッビー」 ジャック・クレートン監督 1974年
「遠雷」 イェジー・ホフマン監督 1974年
「デイジー・ミラー」 ピーター・ボグダノヴィッチ監督 1974年
「星の王子さま」 スタンリー・ドーネン監督 1974年
「アンナ・カレーニナ」 バレエ映画 1975年 マイヤ・プリセッカヤ
「バリー・リンドン」 スタンリー・キューブリック監督 1975年(サッカレーの小説)
「ラスト・タイクイーン」 エリア・カザン監督 1976年(フィッツジェラルドの小説)
「シンデレラ」 ブライアン・フォーブス監督 1976年
「ウイズ」 シドニー・ルメット監督 1978年
「テス」 ロマン・ポランスキー監督 1979年
「ブリキの太鼓」 フォルカー・シュレンドルフ監督 1979年
「チャタレイ夫人の恋人」 ジュスト・ジャカン監督 1981年
「スワンの恋」 フォルカ―・シュレンドルフ監督 1983年(プルースト「失われた時を求めて」)
「カルメンという名の女」 ジャン・リュック・ゴダール監督 1983年
「カルメン」 カルロス・サウラ監督 1983年
「インドへの道」 デヴィッド・リーン監督 1984年
「剃刀の刃」 ジョン・バライラム監督 1984年(モームの小説)
「赤毛のアン」 ケヴィン・サリヴァン監督 1985年
「肉体の悪魔」 マルコ・ベロッキオ監督 1986年
「ガラスの動物園」 ポール・ニューマン監督 1987年
「危険な関係」 スティーヴン・フリアーズ監督 1988年(ラクロ「危険な関係」)
「恋の掟」 ミロス・フォアマン監督 1989年(ラクロ「危険な関係」)
「レディ・チャタレー」 ローレンス・ウェーバー監督 マル― 1989年
「ヘンリー五世」 ケネス・プラナー監督 1989年
「チャタレイ夫人の恋人」 フランク・デ・ニーロ監督 ランバ・マル 1991年
「ファウスト」 ヤン・シュヴァンクマイエル監督 ベトル・チェペック 1991年
「ボヴァリー夫人」 アレクサンドル・N・ソクーロフ監督 1991年
「ボヴァリー夫人」 クロード・シャブロル監督 1991年
「美しき諍い女」 ジャック・リヴェット監督 1991年(バルザック「知られざる傑作」)
「嵐が丘」 ピーター・コズミンスキー監督 1992年
「二十日鼠と人間」 ゲイリー・シニ―ズ監督 1992年
「愛人 ラマン」 ジャン・ジャック・アノー監督 1992年
「チャタレイ夫人の恋人」 ケン・ラッセル監督 1993年 シャーリー・アン・フィールド
「いつか晴れた日に」 アン・リー監督 1995年
「ジエイン・エア」 フランコ・ゼフィレッリ監督 1996年
「日陰のふたり」 マイケル・ウィンター・ボトム監督 1996年
「ロビンソン・クルーソー」 ロッド・ハーディ、ジョージ・ミラー監督 1996年
「アンナ・カレーニナ」 バーナード・ロス監督 1997年 ソフィー・マルソー
「赤と黒」 ジャン・ダニエル・ヴェラーゲ監督 1997年(テレビ)
「レ・ミゼラブル」 ビレ・アウグスト監督 1998年
「虚栄の市」 マーク・マンデン監督 1998年
「オネーギンの恋文」マーサ・ファインズ監督 1999年(プーシキン「エヴゲーニイ・オネーギン」)
「サウダ―ハウス・ルール」 1999年(ジョン・アーヴィングの小説)
「真夏の夜の夢」 マイケル・ホフマン監督 1999年
「クオ・ヴァディス」 イエジ―・カヴァレロヴィッチ監督 2001年
「イザベル・アジャーニの惑い」 ブノワ・ジャコー監督 2002年(コンスタン「アドルフ」)
「飛ぶ教室」 トミー・ヴィガント監督 2003年
「ウォーク・トゥ・リメンバー」 アダム・シャンクマン監督 2003年
「カルメン」 ヴィセンテ・アランダ監督 2003年
「チボー家の人々」 ジャン・ダニエル・ヴェルハージェ監督 2003年(テレビ)
「きみに読む物語」 ニック・カサヴェテス監督 2004年
「ゴリオ爺さん」 ジャン・ダニエル・ヴェラーゲ監督 2004年(テレビ)
「悪女」 ミーラー・ナーイル監督 2004年(サッカレー「虚栄の市」)
「ヴェニスの商人」 マイケル・ラドクォード監督
「オリバー・ツイスト」 ロマン・ポランスキー監督 2005年
「プライドと偏見」 ジョー・ライト監督 2005年
「ベラミ」 フィリップ・トリボワ監督 2005年(テレビ)
「レディ・チャタレイ」 パスカル・フェラン監督 マリナ・ハンズ 2006年
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 デヴィッド・フィンチャー監督 2008年(フィッツジェラルドの短編)
「嵐が丘」 2009年(テレビ)
「ガリヴァー旅行記」 ロブ・レクーマン監督 2010年
「ジエーン・エア」 キャリー・ジョージ・フクナガ監督 2011年
「ファウスト」 アレクサンドル・ソクーロフ監督 2011年 ヨハネス・ツァイラー
「レ・ミゼラブル」 トム・フーパー監督 2012年
「危険な関係」 ホ・ジノ監督 2012年
「アンナ・カレーニナ」 ジョー・ライト監督 2012年 キーラ・ナイトレイ
「ベラミ」 デクラン・ドネラン&ニック・オーメロッド監督 2012年
「華麗なるギャツビー」 バズ・ラーマン監督 2013年
「ボヴァリー夫人」 ソフィー・バルデス監督 2014年 ミア・ワシコウスカ
「マクベス」 ジャスティン・カーゼル監督 2015年
「チャタレイ夫人の恋人」 2015年(テレビ) ジェド・マーキュリオ監督 ホリデイ・グレンジャー
「戦争と平和」 2015年(BBC)
「シンデレラ」 2015年 ケネス・プラナー監督
「ソフィア・コッポラの椿姫」 ソフィア・コッポラ監督 2017年
「アンナ・カレーニナ」ロシア エリザベータ・ボヤルスカヤ 2017年
「若草物語」 グレタ・ガーウィグ監督 2019年 エマ・ワトソン、シアーシャ・ローヤン、エリザ・スカンレン、フローレンス・ピュー
「レ・ミゼラブル」 ラジ・リ監督 2019年
「透明人間」 リー・ワネル監督 2020年(H.G.ウェルズ)
「シンデレラ」 ケイ・キャノン監督 2021年
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