カメラ発明記念日
フランス人のルイ・マンデ・ダゲールが1839年のこの日、銀板写真(ダゲレオタイプ)を発明した。その後10年も経たない1847年にはパリだけでカメラの売り上げ台数が2000に達した。1849年には約10万人のパリっ子がポートレート写真を撮った。大衆の熱狂ぶりを見た批評家ボードレールは「スクラップ金属に写ったとるに足らぬ自分の姿を一目見んものと狂奔する男のナルシズム、なんとおぞましいわが社会」と嘆いた。
1853年になるとアメリカにも1万人を超えるダゲレオタイプ写真家が誕生した。そのなかでもアメリカ北部出身の写真家、アルバート・S・サウスワースとジョシア・J・ハウズが芸術的にも技術的にも高度な水準であった。2人は1844年ボストンに合名会社サウスワース・アンド・ハウズ社を設立した。時の有名人、ヘンリー・ワーズワース、ロングフェロー、ハリエット・ストウ、元大統領ジョン・クインシー・アダムスなどが客として来た。作品「エマーソン学校」という写真は、ボストンのある女学校の陽の射しこむ教室で、授業を受けている少女たちを屋内写真に収めている。有名なエドガー・アラン・ポーの肖像写真(1848年)もダゲレオタイプで撮っている。
これほど人気を博したダゲレオタイプも10年後にはすたれてしまった。イギリスのウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットが銅板のかわりに紙を用いて画像を恒久的に定着する技法を発明したのである。タルボットはのちにカロタイプの名で知られるようになった写真法を考案するにいたった。これは近代写真術の基礎ともなったネガ・ポジ法を採用していた。しかしそれも、やがてガラス板を使って原版をつくる方法が発明され、カロタイプもすたれてしまった。(3月19日)
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