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2023年2月 2日 (木)

愛される女の顔だち

  1892年、浅草の凌雲閣で、女性の写真を展示して投票を行う「古今美人画展覧会」が開催された。日本初の美人コンクールである。その当時と今とでは、美人の基準がどのように変遷したのであろうか。「立川志らくのシネマ徒然草」248回「ソン・ヘギョ淡いままでいてください」(キネマ旬報1480)で、志らくは女優の顔を「濃い顔」と「淡い顔」に分類している。エリザベス・テーラー、ソフィア・ローレン、オードリー・ヘプバーンは濃い顔である。韓国女優のソン・ヘギョは「淡い顔」(薄い顔)であるという。慧眼である。

Photo_3    立川に限らず最近の日本男性はどうやら「薄い顔」を好むようである。そういえば電車の中吊り広告に見る女性誌の特集記事には「清楚」「モテ顔」「小顔」「あっさり顔」「癒し系」「童顔」「かわいい」「さわやか」「ナチュラル」「自然美」という語が肯定的に使われていることからも、薄いメイクでキツイ印象を与えない女性が当世風美人とされているようである。インドの女優の写真を見るとスゴイ美人が多いが、日本でスターとなった女優は一人もいない。しかし日本男性は昔から「薄い顔」が好みだったというとそうでもない。日本映画界最大の美人女優といえば原節子である。ところが原の顔立ちは鼻は大きく、あっさり顔というよりは「濃い顔」である。山本富士子も鼻が立派で「濃い顔」である。石原裕次郎の奥さん、北原三枝は「君の名は」で情熱的なアイヌ娘を演じて人気がでた女優である。やはり「濃い眉」が特徴である。当時、ヘプバーン旋風が日本を席巻していたが、サブリナの濃い眉を若い女性はまねをしていた。久我美子、岡田茉莉子、有馬稲子、司葉子、淡路恵子、根岸明美、青山京子、水野久美など皆んな眉は太く長く「濃い顔」をしている。この傾向は基本的には1980年代まで続いている。薬師丸ひろ子が一人勝ちの人気を誇った時代も、「濃い顔」で売れた。「跳んだカップル」の敵役の石原真理子の濃い眉は時代の象徴であった。現在のような「薄い顔」が好まれるようになったのは、何時頃からであるかは明言できない。例えば、飯島直子が濃い眉をしていたが、缶コーヒーのCMでブレイクしたときは、「癒し系」の顔立ちへと変化していた。一時期、韓国で活躍していた藤井美菜は「濃い顔」の美人だが日本ではあまり活躍していない。現在の「薄い顔」の象徴は小西真奈美であろう。長身で小顔。小さい目であっさりした顔立ち。モデルのShihoがさわやか系で人気をえたことも、「薄い顔」の成立に大きく貢献したかもしれない。最近は、「薄い顔」プラス「離れ目」が人気である。小松菜奈や古川琴音のように目と目が離れているのが可愛いといわれている。

    このように「薄い顔」が標準美人としてモテはやされる時代となったが、「爽やかな笑顔と明るいキャラクター」というだけでは女優としては物足らないように感じる。やはりハリウッドでは「濃い顔」「個性的キャラクター」が女優に求められる。美人系のキーラ・ナイトリー(「パイレーツ・オブ・カビリアン」)、アン・ハサウェー、ペネロペ・クルズは「濃い顔」であるし、ミラ・ジョヴォヴィッチ、アンジェリーナ・ジョリー、レネー・ゼルウェガー、ナタリー・ポートマン、二コール・キッドマン、シャリーズ・セロン、ジョデー・フォスターなどトップ女優は個性派(知性派とアクション派に分かれるが)が健在で「薄い顔」の女優は少ない。日本映画界のほうは、上野樹里、沢尻エリカ、長澤まさみ、田中麗奈、石原さとみ、宮崎あおい、綾瀬はるか、榮倉奈々、多部未華子、新垣結衣、堀北真希、井上真央、有村架純と2000年代以降の女優を並べてみたが、往年の映画女優の華やかさに比べると物足らなさを感ずるのはケペルだけだろうか。「薄い顔」でかつ「小顔」がモテる。乃木坂のメンバーをみても「清楚系」で「薄い顔」の小柄女性が多い。だが他方では、中条あやみ、新川優愛、広瀬すず、橋本環奈、黒島結菜ら「濃い顔」の女優が抬頭してきたし、沖縄や九州出身の「濃い顔」も依然愛される顔立ちである。

 

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コメント

おはようございます。
映画は面白いですね。見るのが大好きです。頑張って下さい。今日のお昼は、「さくら」の再放送の第45回と第46回を見ます。

おはようございます。
CMを見るのが楽しいですね。大好きです。頑張って下さい。今日のお昼は、「さくら」の再放送の第46回と第47回を見ます。

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