良寛忌
良寛は竹が好きだった。ある年のこと、庵の床下の地面に一本の竹の子が芽を出し、すくすくと育って床板に届くようになった。それを見つけた良寛は、すぐに床板を外して、成長していく竹の子を楽しんで見守っていた。やがてそれが天井を突くまでに伸びると、今度は天井板を破り、屋根まで壊して竹の成長を妨げないようにしてやった。雨が漏っても平気なものである。雪が吹き込む季節を迎えても、それを風流と受けとめて、庵に坐しながら、「大きくなった、大きくなった」と竹を愛で、夜には星をあおいで暮らしたという。
良寛(1757-1831)は越後出雲崎の人。40歳すぎまで20年余年間托鉢修行にすごした。帰国後は、村童を相手に、孤独純真のさとりにはいったらしい。彼の書も歌も、すべてその境地からの所産で、平易枯淡、内的生活のありのままの表現である。「かすみたつ長き春日を子供らと手まりつきつつ今日もくらしつ」(1月6日)
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