「東風吹かば」の歌は偽作!?
本日は「左遷の日」といわれる。901年のこの日、右大臣の菅原道真が九州の大宰府に左遷された。「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ」と詠み、この日、都を旅立った。そして道真は無念の思いを抱きながら、2年後に亡くなった。のちに道真は「学問の神様」として神格化され、全国各地に天満宮がつくられた。毎月25日は天神さんの日として縁日が開かれる。そのうち新年最初の1月25日は初天神として参拝客で賑わう。
道真の詩文には偽作と思われるものが数多くある。もっとも有名な「東風吹かば」の歌には2種ある。初出は「こちふかばにほひおこせよ梅の花 あるじなしとて春なわするな」(拾遺和歌集巻第14雑春)もう一つは「東風吹かばにほひおこせよ梅の花主なしとて春な忘れそ」(宝物集)。一般に「春な忘れそ」のほうが人口に膾炙していると思われる。歌は道真が宇多法皇に別れ際に詠んだとされるが、いずれにしても道真の死後から100年から180年も経って世に現れた歌である。漢学者の道真の真作であるとは考えにくいが、仮託が許される文学風土なので、この歌にケチをつける人は誰もいない。(1月25日)
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