円本ブームと作家たち
1926年のこの日、改造社が1冊1円の「現代日本文学全集」63巻の刊行を開始した。円本とは、改造社がこの「現代日本文学全集」の予約募集を開始したことによって起こった名称である。菊判で500頁を越える本をわずか1円で出すことは画期的なことで、60万部の予約部数があった。円本ブームは人気作家たちに高額な収入を与えた。作家の印税は現在の価格に直せば数千万円の収入があっただろうか。では作家たちは莫大な金を何に使ったのだろうか。
正宗白鳥や中村星湖は、欧州旅行に出発した。(正宗は夫人同伴)徳田秋声は自宅の庭の裏庭に接する土地を買ってアパートを建てた。谷崎潤一郎は兵庫県武庫郡岡本梅ヶ谷に豪邸を新築した。永井荷風はカフェーでの放蕩に明け暮れ、女給たちに散財した。
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