明治のうさぎブーム
明治初めの頃、生活の困窮した士族たちが困って珍商売やら、投機対象に何か儲け口はないか、「おぼれるものは藁をもつかむ」の社会状況であった。こうした折から、誰が思い付いたのか、うさぎを飼うことが、「カッコ」がいい、と言い出した。初めはうさぎを飼って育てることだったらしいが、やがて珍種に高値がつきだした。ウサギの流行は明治4年ごろから起こり、特に白地に黒い斑点の、「黒更紗」と呼ばれるウサギに人気があり、オスは15両、メスは5、60両、「孕兎」は7、80両という高値がついた。こうして兎ブームがおこり、明治6年4月ころになると、悪い連中がいて、外国から兎を輸入して一儲けしようという考えで、香港や上海などからいろいろの兎を輸入して、好奇心をあおった。色変わり、耳変わり等々大いに煽動した。あまりの過熱に、ついに東京市では、兎に税をかけることにする。一羽につき月一円。12月7日に通達がでるや、税逃れで兎を殺すものも現れた。値段は暴落し、明治6年の年末はウサギで大混乱となった。結局この兎投機ブームで儲けたのは一部の外国人貿易商人だけだった。(参考:白山映子「明治初期の兎投機 「開化物」とメディアから見えてくるもの」 東京大学大学院教育学研究科紀要51、2011年)
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