意外と知られていない有名人が広めた言葉
「最初はグー」「バツイチ」「ツーショット」「胸キュン」…私たちがいつも使っているこれらの言葉のなかには、実は有名人が広めたものがある。例えば、大宅壮一の「口コミ」。人の口から口へ個人的に伝えられる評判・うわさのことで、マスコミとの対比で造られた言葉であり、「口頭でのコミュニケーション」の略とみられる。大宅が1962年頃から使っていた。「イカす」は俗に魅力的な、かっこいいという意味だが、元は軍隊での隠語らしいが、石原裕次郎が1958年ころ映画で広めた。原義は「行かす」でとても素晴らしい世界へつれて行ってくれる、という意味の感嘆詞で使っていたらしい。豊かな乳房のことを「豊胸」というが、これを「ボイン」という新語で表現するようになったのは1967年のことで(最近はセクハラになるので死語化している)、これは大橋巨泉が「11PM」というテレビ番組で朝丘雪路の胸をみて使ったのが始まりといわれている。
「ネクラ」はタモリがタレントの九十九一を指して言ったのが最初らしいが、「笑っていいいとも」でミュージシャンの織田哲郎が出演のとき、学生時代に卓球部に所属していたことを明かすと、タモリが「卓球ってネクラだよね!!」とからかった。このことは社会的に大きな影響を与えたらしく、翌年(1990年)から全国の中学生の卓球部入部人員が激減したといわれる。そのほか、有名人が広めた言葉として、女子プロレスラー神取忍の「心が折れる」、ダウンタウン松本人志の「どや顔」や「へこむ」。「どや顔」はさておき、物体に対してのみ使われていた「へこむ」という表現を、精神的に落ち込むという意味で使ったのは松本が最初という説がある。しかし広辞苑の旧版を調べると、松本以前にも精神的に「へこむ」という意味は日本語として存在していたとみられる。「胸キュン」は歌手の山下久美子が最初だといわれる。デビュー曲「バスルームから愛をこめて」(1980年)のキャッチコピーに「胸のここんとこがキュウンとなるような歌が唄いたいよね・・・」と使っている。3年後にYMO「君に、胸キュン」が大ヒットして一般に広まった。
有名人がつくった言葉で今もなお広く使われている言葉は「団塊の世代」である。堺屋太一が1976年に発表した小説で使われた。
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