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2022年10月 5日 (水)

オペラ椿姫

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 ヴェルディ「椿姫」の「乾杯の歌」を聴く。この世では快楽こそすべて。杯と酒を楽しもう。生きがいは宴の中に。楽しくもはかなく哀しい内容である。「音楽に国境なし」とは広くいわれる言葉であるが、堂本光一は「ちょこっとサイエンス」という番組で「悲しい曲を聞いたら、世界のどの民族も悲しく感じるのか?」という疑問を投げかけていた。番組での回答はまだ見ていない。芥川也寸志によると「音楽的には同じ作者のリゴレットの方がはるかに充実しており、作品の高さという点でも問題にならないにもかかわらず、椿姫の方がずっと人気があるのは、一にかかって高級娼婦ヴィオレッタの感傷的な物語にあるようです」とある。数年前、南アフリカでサッカーのワールドカップが開催されたおり、民族楽器のブブカの音色は不快な雑音にしか聞こえなかった。楽しい音、悲しい曲と感じるのは民族によって相違があると思う。そもそも「短調は暗く、長調は明るい」というのは西洋クラシック音楽によって世界に広まったものであり、全民族共通の感覚というより西洋音楽が広まった結果に他ならない。明治の初めに来日した外国人の音楽教師たちは、江戸伝統の邦楽に親しんだ日本人は到底西洋音楽は理解できないと感じたらしい。それが150年経つとJ-POPとやらで若者と老人との間には音楽のジェネレーション・ギャップがあるみたいだ。しかしこんな実験結果もある。心臓移植をされたマウスにオペラ「椿姫」の「乾杯の歌」を聞かせると、モーツァルトの音楽を聞かせたマウスよりも拒絶反応が抑えられ生存期間が延びたという。帝京大学の新見正則教授はこの研究成果により2013年イグ・ノーベル賞を受賞した。

 

 

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