アイヌの墓
「氷点」という古いテレビドラマをyoutubeで見た。冒頭、テーマソングが流れるタイトルバックに異様な、木の棒のようなもの2本だけ映っている。不思議な感じを思い起こさせる。第何話だったろうか。主人公の辻口啓造が娘陽子を連れて、アイヌの墓地に行くシーンがある。「ここがアイヌの墓地だよ。旭川に住んでいる以上、一度は陽子にも見せたかったのでね」クワと呼ばれる木の墓標が並んでいる。アイヌに墓参りという概念はなく、死体を遺棄する墓地は、むしろ穢れた忌むべき場所だったようだ。先が尖っているのは男、平らなのは女の墓だ。木の墓標はいずれ土に還り、後は何も残らない。アイヌの世界観が垣間見えるような墓地の姿だった。
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