羅生門
世界のクロサワの名を知らしめた歴史的名作「羅生門」(1950)。だが当時、国内での評価は低かった。テレビの無い時代、日本人は娯楽を求めて映画館に来ていたので、複数の人間の語りによって展開する映画に戸惑いがあった。イタリアフィルム社長のジュリアーナ・ストラミジョーリはこの映画を観て感激し、ヴェネチア映画祭に出品した。1950年9月10日の受賞発表当日、しかし大映の重役は受賞を期待しておらず、日本人は誰一人も参加していなかった。ところが絶賛の嵐でグランプリ(ヴェネツィア国際映画祭サン・マルコ金獅子賞)が決まるとトロフィーを受け取るはずの日本人がおらず、困った大会関係者は急遽街を歩いていたベトナム留学生を黒澤明に見立てて何とか授賞式の格好をつけた。このベトナム青年の名前やその後どうなったのか、誰も知らない。
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