日本のいちばん長い日
玉音放送が流れた昭和20年8月15日正午に至る一昼夜に繰り広げられた歴史ドラマは数本ある。中でも半藤一利のノンフィクションを原作とした岡本喜八監督の東宝オールスター大作はヒットした。しかし、天皇の詔勅を録音したレコード盤の争奪だけの絞った作品であれば、東宝の5年前、1962年に東映が鶴田浩二主演で「八月十五日の動乱」を作っている。ただし、これには実名は出されず、フィクションとして描いている。14日から18日までに自決した軍人は次のとおりである。
8月14日夜、ポツダム宣言の最終的な受諾返電の直前に東京三宅坂の陸相官邸で阿南惟幾(1890-1945)陸軍大臣は、割腹ののち、みずから頚動脈を切り、自決した。「一死以テ大罪ヲ謝シ奉ル」。これが血に染まった阿南の遺書である。
16日未明、軍令部次長・大西滝治郎中将(1891-1945)が渋谷南平台の官舎で自決した。かけつけた軍医に対して「生きるようにはしてくれるな」と言い、介錯も拒んで長く苦しんで死ぬことを望み、あふれる血の中で10数時間後に死んだ。大西は特攻攻撃の発案者の一人だった。
敗戦とともに、多くの軍人がみずから命を断った。軍人軍属合わせてその数は600人を超える。階級も二等兵から大将までさまざまだった。主な軍人の自決者は次のとおり。
8月15日、阿南惟幾(陸軍大将)、吉本貞一(陸軍大将)、宇垣纏(海軍中将)、岡本清福(陸軍中将)、寺本熊市(陸軍中将)、北村勝三(陸軍少将)、8月16日、大西滝治郎(海軍中将)、隈部正美(陸軍少将)、8月17日、秋山義兊(陸軍中将)、渡辺馨(陸軍少将)、8月18日、中村次喜茂(陸軍中将)
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