推敲に推敲を重ねる
文章の字句をいろいろと練ることを「推敲」という。有名な故事に基づく。唐の詩人、賈島は、科挙の試験を受けに都に行ったとき、ろばに乗って詩を作り、「僧は押す月下の門」という句を思い浮かべた。しかし彼は、「推」の字を改めて「敲(たたく)」としようと思った。どちらにしたらよいか迷って、手を動かして「推す」しぐさと「敲く」しぐさをやってみたが、それでもまだどちらがよいか決まらなかった。思わず夢中になってしまい、都の長官の韓愈の行列に突き当たってしまった。そこで賈島は行列に突き当たってしまった理由をくわしく話した。それを聞いた韓愈が言ったことには「敲の字にしたほうがよいね」と。そして同じ詩人として気の合った2人は、仲良く馬を並べて詩を論じ合いながら行った。この故事の出典は「唐詩紀事」巻40(一説には宋時代の「苕渓漁隠叢話」)「推す」より「敲く」がなぜよいのか。月の下で音が響くから、音響的な広がりに風情が感じられるとしたのであろう。「推敲」は数ある中国故事の中でも最も有名なものの一つである。文章家には推敲はつきものである。とくに有名な作家はバルザック。コーヒーを何杯も飲みながら何度も推敲を重ねた。司馬遼太郎はカラーサインペンで推敲を重ねている。(Balzac)
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