無料ブログはココログ

« 沖田総司は美剣士ではなかった | トップページ | 「ブス」とはトリカブトの毒のこと »

2022年4月21日 (木)

「大型連休」にこだわり続けるNHK

 「リモートワーク」「ソーシャルディスタンス」「アプリ」「サステイナブルシティ」NHKで放送されている言葉も老人にはわかりづらい。71歳の男性が公共放送であるNHKが番組内で「リスク」や「ケア」など、外国語を使わなくても表現できる言葉を多用し、精神的苦痛があったとして141万円の慰謝料を求める提訴があったという。言いがかりのような気がするが、外来語の多用にも呆れることもある。コメンテーターなどが外来語を駆使したほうが賢くみえ、カッコイイ話法と勘違いしているふしがみえる。W杯初戦コートジボワールに敗戦。「ポテンシャル(潜在能力)を引き出す」「次回はパフォーマンスを見せる」「ポジティブになる」「プレッシャーをかける」「リスペクトする」とカタカナ語が氾濫していた。あさイチ特集「13人に1人がLGBT」で「カミングアウト」という外来語を多用している。最初の説明を聞き洩らしたのかもしれなが、途中からだと意味がわからなくて気になった。LGBTであることを告白するという意味で使っているらしい。最近よく耳にする「ハイブリッド」という言葉。もとの意味は「異なった要素を混ぜ合わせたもの」つまり雑種のこと。電気とガソリンで走るのでハイブリッド・カー。

   訴訟の例にあがった外来語はリスク(危険性)、システム(しくみ)、イブニング(夕方)、ケア(介護)、トラブル(問題)、コンシェルジュ(案内係)、アスリート(運動選手)、ディープ(深い)、コンプライアンス(法令順守)。いずれも今では頻繁に使用されているので、意味は解することができるが、この中で30年前なら日本語で使用した言葉がいくつもある。私が気になるのは「アウェイ」awayという言葉である。サッカーなどで相手の本拠地で戦うことで「敵地」。野球では「ビジター」といっていた。ドラマ「電車男」(2005)の中でオタク仲間が「場違いなこと」という意味で「アウェイ感がある」など使ったことから普及した。更にそこから派生して「苦手なこと」という意味でも使われる。「ビッチ」という言葉もわかりづらい。元来、性労働に従事する女性の蔑称であった。姦婦、淫売、売女を直喩的に罵しる言葉として使われた。すなわち、「男に媚び諂い、誰とでも同じ臥床で一夜を明かせる女子」という意味。ネットで使われる「ビッチ」は、単なる「糞女」という罵倒語。「モテキ」に使用する「ビッチ」も解釈は難しい。ドラマ版の小宮山夏樹(松本莉緒)は分かりやすいビッチだが、映画版の長澤まさみはビッチなのかピュアな天使なのか、解釈は二分している。

 NHKではわかりやすい報道を目指して外来語や佳カタカナ語を極力避けたいとする努力がされている。もうすぐ近づく「ゴールデンウィーク」だが、「大型連休」という言葉にこだわって使用している。

 

「ドメスティック」と聞くと瞬時に、「ドメスティック・バイオレンス」を連想してしまうが、本来domesticとは、「家庭的な」という意味。

 

She is a very domestic woman.

 

彼女はとても家庭的な女性だ

 

   「ドメスティック・バイオレンス」の影響で良いイメージのない外来語であるが、「ドメスティック」そのものに間違ったイメージを抱くことのないようにしたい。「ドメスティック・バイオレンス」も外来語ではなく、単に「家庭内暴力」と日本語を使うことをおすすめする。

« 沖田総司は美剣士ではなかった | トップページ | 「ブス」とはトリカブトの毒のこと »

ことば」カテゴリの記事

コメント

そういえば、政治家も普通に日本語で言えば良いものを、外来語を織り交ぜて政策理論を語るのが多いですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 沖田総司は美剣士ではなかった | トップページ | 「ブス」とはトリカブトの毒のこと »

最近のトラックバック

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31