「乾杯の歌」を聞くとなぜ生命の喜びを感ずるのだろうか?
ジュゼッピーナ・ストレッポーニは19世紀前半に活躍したイタリアのソプラノ歌手。のちヴェルディの後妻となる
1853年のこの日、歌劇「椿姫」がヴェネツィアのフェニーチェ劇場で初演された。準備不足などから、聴衆からも批評家からもブーイングを浴び、大失敗した。しかし、翌年の同地での再演では成功を収めた。台本を書いたフランチェスコ・マリア・ピアーヴェ(1810-1876)はデュマの小説に基づいて「ラ・トラヴィアータ」堕落した女という題名を名付けた。作曲家ヴェルディ(1813-1901)は右腕のリウマチになやまされていたにもかかわらず、この名作をわずか12日間で書きあげたといわれる(ヴェルディ研究家フランシス・トイの「ヴェルディの生活と作品」)。ヴェルディはこの歌劇のもとになった作品、デュマ・フィスの「椿姫」を異常なほど関心を持った。というのはヴェルディはそのころ、ジュゼッピーナ・ストレッポーニ(1815-1897)という人妻と同棲して、そのために父と不仲になっていた。歌劇の主人公である純粋な青年アルフレッド・ジュルモンとヴィオレッタの生活に似通った面があったので、右腕が痛くても、ものすごいエネルギーがでたのである。恋の力は偉大なものである。恋愛映画、メロドラマ、歌劇などを観賞するのも些かの効用があるだろうか。「乾杯の歌」を聞くと何故か精神の高揚を感じるが、ヴェルディ効果というものであろうか。(3月6日)
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