仮名が山田太郎なのは歌手山田太郎ではない
昨夜観た番組で気になったことがある。NHK人名探求番組「日本人のおなまぇ!」である。山田太郎という平凡な名前がある歌手が起源になっているというのである。この番組は最終回で、以前に放送されたものを再編集したらしい。「「ぼくの渾名を知ってるかい。朝刊太郎と言うんだぜ~♪」山田太郎のさわやかな青春歌謡が町に流れていたのは、昭和40年のことであった。その後もだいぶん経ってからは、テレビドラマ「山田太郎ものがたり」は高校生の山田太郎(二宮和也)。貧乏家族で6人もの弟妹たちの給食費を稼ぐため、アルバイトをして、節約し、貯金をためる。このドラマでは山田太郎はビンボー人の代名詞となっている。時代は変われど、山田太郎というありふれたネームは、ごく一般の庶民というイメージから、なんとなく親しみやすく、ユーモラスな感じのある日本人名前の典型となっている。いつ頃から山田太郎がありきたりな名前、仮名として使われたのか?なんと現実に全国でおよそ200人も山田太郎さんがいるという。NHK人名探求バラエティー「日本人のおなまぇ!」ではなぜ山田太郎が代表的な名前になったのかを2020年に徹底解明している。文書の記入例に多い説、ドカベン主人公説などこれまでの俗説を否定する。NHKが全国1896の市区町村に電話取材したところ、住民票の記入例に山田太郎を使用しているところは、わずか0.9パーセントであることがわかった。そして1963年デビューの「新聞少年」を歌った山田太郎が「山田=平凡説」のきっかけになったと結論する。当時、平凡の意味が今とは異なり、良いイメージだったという。本当に歌手山田太郎が代表的な名前となったルーツなのか、あるいは、それ以前から山田太郎が平凡名の典型だったのか、今後もさらに検証を要する課題である。個人的な記憶では昭和30年頃すでに山田太郎が典型的な形式の日本人の名前として、書類の記入例などに良く用いられていたと思う。戦前の作家、牧逸馬の短編小説「浴槽の花嫁」には「これも山田太郎的に、変名で候という変名だ」とあることから、昭和初期には山田太郎は典型的な仮名だったことがわかる。つまり山田太郎が平凡ななまえであるということは、歌手山田太郎が最初ではなく、昭和戦前期から既知の事柄だったのである。
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