日本歌謡史
日本の近代歌謡曲の歴史は明治に始まる。大河ドラマ「いだてん」で綾瀬はるかが自転車に乗って歌う曲は「自転車節」。明治41年の神長瞭月作詩・作曲だが歌詞が少し違う。「♪ 会いたかばってん会われんたい」というのは熊本弁。レコードのない時代、メロディーにのせてそれぞれ各地で歌詞が替えられた。子供のとき聞いたのは、漫才の砂川捨丸が「ハイカラ節」(チリリン節)だった。歌は世につれ、世は歌につれ」というが大衆に好まれ、ひろく歌われる曲は流行歌・歌謡曲は大正になってから。はじめは「はやり唄」と称され、明治からあった。「宮さん宮さん」は1868年に作成されトコトン節もしくはトンヤレ節ともいう。作詞は品川弥二郎、作曲は大村益次郎(品川の恋人・中西君尾が節をつけたという説もある)。「ギッチョンチョン」「コチャエ節」「ざんぎん節」「官員節」「梅ヶ枝節」「すててこ」「ダイナマイト節」「ちょんこ節」「さいこどんどん」「オッペケペー節」「日清談判」「法界節」「剣舞節」「春はうれしゃ」「レールエ節」「さのさ節」「東雲節」「魔風恋風」「ロシャコイ節」「ラッパ節」「チャカホイ節」「ああ金の世」「スカラー・ソング」「間がいいソング」「奈良丸くずし」とくに大正4年、松井須磨子が歌った「カチューシャの唄」は全国津々浦々に広まった。関東大震災の中、物悲しい「船頭小唄」が大流行した。昭和に入ると、歌謡曲は一段と飛躍した。音楽家が西洋音楽にようやく馴染み出し、蓄音機が普及し、それに加えてラジオの誕生が、大きな要素になった。「恋はやさし野辺の花よ」「ゴンドラの唄」「ばらの唄」「さすらいの唄」「新金色夜叉」「東京節」、「籠の鳥」、「復興節」、「ストトン節」、「ヨサホイ節」。藤原義江「鉾をおさめて」、二村定一「アラビアの唄」「君恋し」、佐藤千夜子「東京行進曲」、川崎豊・曽我直子「沓掛小唄」、二村定一「洒落男」、河原喜久恵「ザッツ・オー・ケー」、藤山一郎「酒は涙か溜息か」「丘を越えて」、小林千代子「涙の渡り鳥」、小唄勝太郎「島の娘」、松平晃「サーカスの唄」、東海林太郎「赤城の子守唄」、ディック・ミネ「ダイナ」、東海林太郎「旅笠道中」、音丸「船頭可愛いや」、ディック・ミネ、星玲子「二人は若い」、ディック・ミネ「上海リル」、渡辺はま子「忘れちゃいやよ」、美ち奴「ああそれなのに」、藤山一郎「青い背広で」、上原敏「妻恋道中」、淡谷のり子「別れのブルース」、楠木繁夫「人生劇場」、霧島昇、ミス・コロンビア「旅の夜風」、渡辺はま子「支那の夜」、岡晴夫「上海の花売娘」、高峰三枝子「湖畔の宿」、灰田勝彦「鈴懸の径」、小畑実・藤原亮子「勘太郎月夜唄」、近江俊郎「月夜船」、並木路子「リンゴの唄」、二葉あき子「夜のプラットフォーム」、笠置シズ子「東京ブギウギ」、近江俊郎「湯の町エレジー」、久保幸江「トンコ節」、伊藤久男「イヨマンテの夜」、二葉あき子「水色のワルツ」、美空ひばり「越後獅子の唄」、津村謙「上海帰りのリル」、美空ひばり「りんご追分」、神楽坂はん子「ゲイシャ・ワルツ」、織井茂子「君の名は」、春日八郎「お富さん」、島倉千代子「この世の花」、三橋美智也「りんご村から」、三波春夫「チャチキおけさ」、フランク永井「有楽町で逢いましょう」、水原弘「黒い花びら」、西田佐知子「アカシアの雨がやむとき」、坂本九「上を向いて歩こう」、水原弘「黒い花びら」、村田英雄「王将」、北島三郎「なみだ船」、舟木一夫「高校三年生」、梓みちよ「こんにちは赤ちゃん」、都はるみ「アンコ椿は恋の花」、美空ひばり「柔」、マイク真木「バラが咲いた」、ジャッキー吉川とブルー・コメッツ「ブルー・シャトー」、ピンキーとキラーズ「恋の季節」、森進一「港町ブルース」、菅原洋一「今日でお別れ」、尾崎紀世彦「また逢う日まで」、宮史郎とぴんからトリオ「女のみち」、南こうせつとかぐや姫「神田川」、さくらと一郎「昭和枯れすすき」、布施明「シクラメンのかほり」、山口百恵「横須賀ストーリー」、ピンク・レディー「UFO」、ゴダイゴ「ガンダーラ」、西城秀樹「ヤングマン」、ジュディ・オング「魅せられて」、海援隊「贈る言葉」、寺尾聡「ルビーの指輪」、あみん「待つわ」、細川たかし「矢切の渡し」、玉置浩二「ワインレッドの心」、テレサ・テン「時の流れに身をまかせ」、吉幾三「雪国」、光GENJI「パラダイス銀河」、美空ひばり「川の流れのように」、「おどるポンポコリン」、「情けねぇ」、Dreams Come True「晴れたらいいね」、Mr.Choldren「innocent world」、安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」、SMAP「夜空ノムコウ」、宇多田ヒカル「Automatic」、サザンオールスターズ「TSUNAMI」、スピッツ「チェリー」、SMAP「世界に1つだけの花」、夏川りみ「涙そうそう」、一青窈「ハナミズキ」、秋川雅史「千の風になって」、ゴールデンボンバー「女々しくて」、西野カナ「会いたくて会いたくて」、植村花菜「トイレの神様」、EXILE「Ti Amo」、AKB「ヘビーローテーション」、いきものがかり「風が吹いている」、星野源「恋」。だが、ここ数年、歌謡曲・演歌には大ヒット曲がなく、日本レコード大賞も低調になっている。はたして演歌はこのまま滅亡の運命をたどるのか。平成になって氷川きよし、水森かおりが登場し、カラオケブームによって昭和演歌は歌い継がれている。山内惠介、三山ひろし、福田こうへい、純烈などの個性的な演歌歌手が牽引して新しい演歌の道の模索がなされている。真田ナオキ「渋谷で・・・どう」は近年のヒット曲。令和の時代は一部の熱烈なファンに支えられている状況である。
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