定九郎
BSプレミアムで今夜放送される「忠臣蔵狂詩曲№5」。実話をベースにした話で中村勘九郎が初世中村仲蔵を演じる。斧定九郎とは、 (歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」五段目に登場する人物で、斧九郎兵衛(大野九郎兵衛の捩り)から勘当されて、百姓与市兵衛を殺して金をうばう、放蕩無頼の武士や、泥棒、追いはぎのこと。初世中村仲蔵(1736-1790)が五段目の定九郎に新演出を試み、大入りを呼ぶ人気狂言の一つになった。もともと定九郎の出番は殺人をしたあと、勘平にイノシシと間違われて鉄砲に撃たれて死ぬだけの役であったが、古典落語「斧定九郎」では、つまらない山賊の役をあてがわれた仲蔵が、癪にさわり一念発起、現代のような定九郎像をこしらえる逸話をモチーフとしている。定九郎については、有名な話が残されている。ある日にわか雨に会った仲蔵は本所南割下水のそば屋で雨宿りをしていると、浪人が駆け込んできた。破れた蛇の目をさし、黒羽二重の引解の単物を着て朱鞘の大小という態、五分月代にふくんだ雨をわが手でしぼる様子を見て、これを定九郎の扮装にとりいれた。初演以来の山岡頭巾に夜具縞の広袖という山賊さながらの姿を、浪人風に変えて大成功をおさめたのである。もちろんあくまで話で、この演出の工夫は仲蔵が師と仰いだ四代目団十郎が毎月開いていた修行講の所で示唆されたというのが真相のようだ。
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