詠めない漢字「薊」
山には山の愁あり 海には海のかなしみや ましてこころの花園に 咲きしあざみの花ならば
伊藤久男の「あざみの歌」である。作曲家の八洲秀章が自身の歌唱で昭和24年8月8日から1週間放送し、その後、のど自慢等で歌われるようになり、昭和26年に伊藤久男の歌唱でレコード化された。歳月は経て、倍賞千恵子や芹洋子などが愛唱して、現在では叙情歌の鉄板ソングとなっている。
ところで花のことはよく知らないので、アザミとはどんな花なのか画像で見る。綿毛のついた紫やピンクの花を咲かせるヒナギク科の植物である。ギザギザとしたトゲ状の緑の葉をつけ、固い茎を持っている。アザは八重山語でトゲ、イラ(刺)の意で、アザミは刺多い物の意、とする説がある。漢字で書くと「薊(けい)」を当てている。
アザミの種類はたいへん多く北半球に約250種が分布する。英語ではシスル(thisle)という。「旧約聖書」にはアダムとイブがエデンの園からイバラとアザミだらけの荒れ地に追放されたと記されている。英語聖書を調べると、weed(雑草)、thotn(棘のある植物)とある。
アザミには棘がある。13世紀スコットランドでは、ノルウェー軍が夜襲をかけて来た際、素足の敵兵が暗闇でアザミを踏んで悲鳴をあげたことから、敵の接近を気付き、スコットランド軍は大勝した。このためアザミはスコットランドの国花となり、今でもブローチやタペストリー、陶器などのデザインにアザミの花が用いられている。
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