ハザール謎の帝国
ハイネ、メンデルスゾーン、マルクス、フロイト、ロスチャイルド、アインシュタイン、シャガール、エリア・カザン、キッシンジャー、スティーブン・スピルバーグなどなど。これらの有名人は「白人系ユダヤ人」といわれる。むかしから「白人系ユダヤ人」というのがよく理解でなかった。モーセやダビデ、ソロモン、そしてイエスは非白人(オリエンタル)で人種的に「セム系」と呼ばれている。一般にユダヤ社会では、白人系ユダヤ人を「アシュケナジー系ユダヤ人」と呼び、オリエンタル(アジア・アフリカ系)ユダヤ人を「スファラディ系ユダヤ人」と呼んで区別している。8世紀以前の世界には、ごくわずかな混血者を除いて白人系ユダヤ人はほとんど存在していなかった。それがなぜか8・9世紀を境に突然、大量に白人系ユダヤ人が歴史の表舞台に登場したのである。いったいなにが起こったのか?それはコーカサスからカスピ海北岸にかって存在した遊牧民国家、ハザール国と大きく関係している。ハザールはイスラーム商人を通じてスラブ人奴隷を輸出して繁栄していた。だが11世紀になると、イスラム帝国とビザンツ帝国が東西に対立、そしてローマ教皇は聖地エルサレム奪回のため十字軍を派遣した。キリスト教とイスラム教の東西両陣営は、ハザール国に圧迫を加えた。そのため、ハザール国王のオベデア王は、国民をまとめてユダヤ教に改宗させた。理由は、キリスト教もイスラム教もユダヤ教を母体にした宗教だから、ユダヤ教は中立国として安全と考えたのである。ハザール国は両陣営からの干渉をなんとか逃れたが、結局10世紀前後にモンゴル人の攻撃を受け、滅亡した。このとき大量の難民が生まれて、西へ西へと移動し、東欧に着いた。これが「アシュケナジー系ユダヤ人」のルーツと考えられる。つまりナチスに虐殺されたほとんどのユダヤ人たちは古代イスラエルの子孫ではなく、ハザール国の末裔であるという説が存在する。しかしこれはあくまで仮説の段階であって、世界史の教科書には記されていない。おそらくユダヤ資本を中心とするアメリカ金融界にとってハザール国の存在は都合の悪い事実なのであろう。(参考:フリエート・二ェヴァ「ハザール謎の帝国」)
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