ソクラテスの妻は悪妻ではなかった!?
紀元前399年のこの日、ソクラテスは毒杯をあおいで死についた。これに因んで本日は「哲学の日」または「悪妻の日」になっている。(日本だけらしい)「ソクラテスの妻」という言葉は、悪妻の代名詞になっているが、妻のクサンチッペは、プラトンの「パイドン」によれば、情愛の深い女性である。クセノフォンも「ソクラテスの想い出」のなかで、悪妻説をとっているわけではない。アレキサンドリアの学者たちが、クサンチッペを頑迷で口ぎたなく気性の荒い女として伝えているのが、真実かどうかわからない。
ソクラテス(前469-前399)は彫刻家ソフロニスコスと助産婦ファイナレテの子としてアテネに生まれた。彼が結婚したのはおそらく中年であったろう。彼が死刑になったとき、17歳ないし18歳ぐらいのラムプロクレスという息子と二人の幼児があったことになっている。それゆえ、クサンチッペと結婚したのは中年になってからといえるであろう。
次のようなソクラテス悪妻説の逸話がまことしやかに伝えられている。あるとき友人がソクラテスに、「奥さんががなりたてるのを、あなたはうるさいと思わないのですか」ときくと、ソクラテスは笑って、「うるさいのは承知です」といった。「承知のうえで奥さんにしたというのですか。よく我慢しておられるものですね」「馬術に長じようとする者は、悍馬を選んで乗るでしょう。悍馬を乗りこなすことができれば、ほかの馬を御することは容易だからです。クサンチッペは、その悍馬のようなものですよ。あの女を耐え忍ぶことができれば、ほかのどんな人に対しても耐え忍ぶことができるようになるでしょう」
悪妻クサンチッペは有名だが、彼にはもう一人、義人アリステイデスの娘ミュルトとも結婚し、二人の子どもをもうけたという言い伝えもある。(参考:駒田信二「世界の悪女たち」)Socrates、4月27日
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