建国記念の日
本日は「建国記念の日」。1874年以来、紀元節として奉祝されてきたが、1948年に姿を消す。その後、1967年に「建国記念の日」として復活。いまだこの日は全国各地で、紀元節奉祝行事と建国記念の日に反対する集会に分裂している。「日本書紀」にみえる辛酉年春正月庚辰朔に由来する西暦紀元前660年といえば、お釈迦さまも孔子もまだ登場していない時代から皇室が「万世一系」であるとは考えにくい。神日本磐余彦尊が日向の高千穂から東へ向かい、大和の豪族長髄彦を破り、橿原の地で即位した。戦前、津田左右吉は神武天皇以前の神代史の記述は帝紀を基礎とした、8世紀初頭の天皇制を正当化するための創作であると実証したが、有罪判決を受けた。もちろん他の学者も神話であることは理解しながらも、皇国史観批判に繋がるため、タブーとされてきた。戦後、津田は左翼からも支持されるに至るが、津田自身は雑誌「世界」に論文「建国の事情と万世一系の思想」を発表し、天皇制維持論を展開し、左翼勢力を落胆させる。津田は記紀の創作性は実証したが、日本神話そのものを否定したわけではない。どこの国にも建国説話はある。「出雲の国譲り」「天照大神の岩戸開き」「瓊瓊杵尊の天孫降臨」「海幸彦・山幸彦」など日本神話は日本人の心のよりどころである。世界各国の建国記念日をみると、アメリカは7月4日。1776年に独立宣言が公布された。中国は10月1日。1949年の国慶節。フランスは7月14日。イギリスは建国記念日にあたる祝日がない。(2月11日)
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